■『仮面ライダーブレイド』感想まとめ8■
“探した答えは 変わり続けてく
生まれ変わるほど 強くなれる”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーブレイド』
感想の、まとめ8(36〜40話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
なお、サブタイトルが存在しない為、全て筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい。
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〔まとめ6〕 ・
〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ9〕 ・ 〔まとめ10〕
- ◆第36話「たった一人きり君の存在が」◆ (監督:諸田敏 脚本:會川昇)
-
ブレイドの前に現れた新たな人造アンデッド・トライアルE。へたれ遺伝子を元に作られたので当然へたれかと思われたトライアルEだが、
ブレイドの攻撃パターンを先読みした攻撃に、ジャックフォームすら撃ち落とされてしまう。
「おまえの攻撃は……予測しやすい……」
キングフォーム登場のあおりか、ここまで圧倒的だったジャックフォームが、思わぬ敗北。
短い、短い烏丸フィーバーだった……!
……いや、キングフォームも所長のお土産で発動しているのですけど、誕生に関わっていない感が強くて、どうも、
所長のお陰という気がしません(^^;
一方、ジョーカーはマンティスアンデッドと戦闘中。盛り上がるマッチアップで、山中での戦いはなかなか格好良い。
ジョーカーは参戦したレンゲルを蹴り飛ばし、ざっくりとカマキリを撃破して封印に成功。
「まさかおまえが持ってるとはな」
ば・れ・たー
しかしジョーカー/始は、それ以上睦月の相手をする事なく、カリスの姿になると立ち去っていく。
「これで帰れる……あそこへ……」
エースの力でジョーカーを押さえ込み、人間の姿となった始の足は、あの場所へと向かう……。
一つの戦いが終わった一方、変身解除まで追い詰められた剣崎(しましま)は、消化器を使った目くらましで、
何とか羽美を連れて脱出。虎太郎に電話で連絡を取り、怪我をした羽美を任せようとするが、いきなり血ぃ吐く羽美。
……え、なに(^^;
怪我の表現なのでしょうか。だとすると、内蔵やられている事になりますが。その割には、凄い余裕あって愚痴ってるし、謎。
自分の側に居るとトライアルEとの戦いに巻き込まれる可能性があるが、羽美をこのまま放っておくわけにはいかない。
剣崎は羽美に、家族を失った自分の過去を語りながら、病院へ連れて行こうとする……。
その頃、しょぼくれた睦月は、女王様にせせら笑われていた。
「カードが……カードが足りなかっただけだ。貴様を封印して、俺の力に」
睦月はレンゲルに変身して女王様に襲いかかるが、素手で突撃を止められる。
「封印するだと……その逆だっ!」
そして女王様、アンデッド体に変身。
世紀末風味なモヒカンピアスですが、普段着がヒョウ柄だし、パンサーアンデッド?(虎でした)
「今までに封印したアンデッドを解放してもらう。バトルファイトは選ばれしものを決める神聖な戦い。
ライダーシステムなどはそもそも存在しなかった。ライダーに封印されたやつらは……元に戻すべきだ!」
レンゲルをしばきまくるタイガーアンデッド。
信念を持ってアンデッド大戦に臨む新しいタイプでしたが、これはこれで面倒くさい人でした。
苦戦するレンゲルは、一挙に5体のアンデッドを封印からリリース。タイガーに襲いかかるかと思われたアンデッド集団だったが、
レンゲルの命令を受けてその場を走り去る。
「なんのつもりだ?」
「解放しろと言ったのはおまえだろ! あいつらにジョーカーを探せと命じた。早く追わないと、
ジョーカーがあいつらにやられてしまうぞ」
「正々堂々と戦うという事を知らないのか」
タイガーは5体を追って姿を消し、トンネルの壁に拳を打ち付ける睦月。
「俺は……最強なんだよ」
じり貧になってきた課金兵ですが、何の同情も湧かないのが、人徳の薄い所です。
よろよろしながらも喫茶店目前まで辿り着いていた始は、自分を狙って解き放たれたアンデッドの気配に気付いてしまう。
「俺を……俺を呼ぶな」
微笑から表情が一転し、音楽も切ないタッチで、始の心境の変化がはっきり描かれるようになってきました。
「やはり……駄目か」
またここで、本能の赴くままにアンデッドを狩るジョーカーの戦いから、“相川始”の居場所を求める戦いへ、
と「始の戦い」の意味も生まれ始めてきました。
剣崎の元へ車を走らせていた虎太郎は、喫茶店から距離を取ってふらふらしていた始と遭遇。
「俺は……もう1人の俺を、いつまで抑えていられるか、わからない」
「新たな強大な力が、生まれようとしている。ジョーカーはそれと呼応している」
「もし今度俺がジョーカーに戻ったら、天音ちゃんでも、見分けがつかないだろう」
その為に喫茶店から離れ、姿を消す始――。
一方、羽美を背負って病院へ向かう剣崎は、聞かれるままにアンデッド大戦について割とベラベラと喋っていた。
「なーんだ、つまりみんな、自分の為に戦ってるだけなんだね。どっちも、正義なんかじゃないんだね」
「正義かどうかは知らないけど、俺は人間を守る為に戦っている」
「言うのは格好いいけどさ、全ての人を守るなんて、出来っこないじゃん」
「出来ないとか、「無駄だから」、そんな理由で諦めたくない」
剣崎の理想論に、いや、剣崎が理想論を“”信じ続ける”事に、苛立った羽美は背中を飛び降り、
前回デート中に買っていたジュースを地面にぶちまける。
ああ、謎の吐血は、こっそりジュースを口に含んで血を吐いたフリをした、という事だったのか(演出としては、
剣崎の背後でジュースを口に含む動作が描写されている)。
……そうとう無理があったと思いますが、まあ、剣崎だったら騙されても仕方ない。
「なんでそんな事を……」
「ヒーローぶってるあんたを困らせたかった。ヒーローなんてどこにも居ないって、笑ってやるつもりだったの!」
走り去る羽美だったが、トライアルEに捕まってしまう。
「これで、剣崎くんを誘き出す事ができる」
「かえって剣崎の怒りに火を点ける事になりますよ」
と言いながら忍者屋敷に帰ってきたへたれは、本格的に何がしたいのか。
剣崎を心配しているという割には自分で剣崎の所に向かうわけでなく、結局モニター見ながら、トライアルどうなのよー、
周り巻き込むだけじゃないですかー、と忍者とだべってるだけだし。
……もしかしてあれか、バイクのガソリン代が尽きたのか。
「……すみません広瀬さん、1000円、貸してもらえませんか?」て言いに戻ってきたのか。
「羽美ちゃんを……離せ!」
羽美を人質に取られ変身を制された剣崎は、生身でトライアルEの銃撃を受ける。
「逃げちゃってよ! あたしはいいから!」
「……よくないよ」
撃たれながらも、一歩一歩前進していく剣崎。銃弾を受けて地面を濡らす血しぶきがはっきり描写されており、恐らく、
この枠ではギリギリの表現か。
「もうやだ……本当にいいんだってば……どうせあたしなんか……誰も守ってくれない! ヒーローなんて居ない!!」
「居るよ……」
「だったらパパとママとお兄ちゃんを、どうして助けてくれなかったの!」
「居るよ……」
羽美を勇気づけるべく、いい笑顔を浮かべる剣崎だが、非情な弾丸を浴びて遂に地面に倒れてしまう。
「ほら……ヒーローなんて来ないんだから。バカ剣崎……」
羽美を放し、動かなくなった剣崎に近づくトライアルE。
役立たずは金欠で棒立ち、始は熱射病、課金兵は攻略サイトを検索中……現実は常にあるがままで、誰かのピンチに都合良く現れ、
奇跡的に助けてくれるヒーローなんて、存在しない。
――だけど。
「……君の言う通りかもな……。待ってても、ヒーローなんて来ない」
重傷の剣崎は、近づいてきたトライアルEの腕を掴んで立ち上がる。
「だから、だから、俺がみんなを守るって決めたんだ!!」
ヒーローは、居ないかもしれない。
ヒーローは、来ないかもしれない。
けれど、ヒーローを待っている人達がいる。
ならば、俺が行く。
俺が、ヒーローになる。
「たとえ今は……君1人守るのがやっとでも、諦めない……運命に負けたくないんだ!」
絶望の運命を覆す、ヒーローになる為に。
今は君1人のヒーローでも、いつか、全ての人を守るヒーローになる――
ヒーローが来ないならば、ヒーローになろうとする男、剣崎一真。
初期からの「仮面ライダー」へのこだわりとも繋がり、実にいい流れになりました。これは、格好いい。
実際には今井脚本の時に、そこまで信念があるならどうしてその台詞……というのはあったりするのですが、
それらを吹き飛ばして忘れさせる勢い。
トライアルEに組み付くもスタン攻撃を喰らって階段下に落とされ、追撃を受けそうになる剣崎だが、咄嗟に羽美がへたれ獣に飛びつき、
弾丸が逸れた隙にブレイドへ変身。キングフォームとなると、銃撃をものともせずキングファイヤーパンチから、
ロイヤルストレートフラッシュ。今回は5枚のカードで加速してのダッシュ斬りで、トライアルEを一刀両断。
「剣崎……俺は……!」
なんか、へたれ遺伝子が断末魔のうめき声を(笑)
そして忍者屋敷では、今回もTV観戦しながら、意味ありげな会話を続ける2人。
「更に危険は増したようだな」
「このままでは、剣崎は本当に……」
しかしまあ、本気で剣崎を捕まえたいだけなら、他に幾らでもスムーズな手段はありそうなので(多分、
普通に近づいて会話しながら睡眠薬とか飲ませたら一発)、広瀬父はわざとトライアルを突っかからせている感はあります。
……役立たずは、役立たずなので、仕方ない。
剣崎を迎えに行った筈の虎太郎が音信不通になっていたので自ら剣崎を探しに出た広瀬さん、剣崎と羽美を発見して回収。
キングフォームの後遺症か、またも倒れた剣崎、銃撃のダメージもあって、さすがに入院。
「あたし帰ります。あの、起きたら、またデートしてね、て伝えてください。あと……ありがとう、って」
去り際、病室の入り口で振り返る羽美。
「広瀬さん……ヒーローって、居ると思います?」
「さぁ……でも、ヒーローになろうって、頑張ってるやつなら、知ってるよ」
羽美は眠る剣崎を無言で指さし、頷く広瀬。
「それに……」
そんな羽美を指さす広瀬。
自分に指を向ける羽美。
たった一人きり 君の存在が――
「違った? だって剣崎くん、守ってくれたんでしょ?」
いつか 世界の全て 変えるだろう
たった1人のヒーローは、全ての人を守れないかもしれない。
けれど、皆がヒーローになる事を諦めなければ、いつか全ての人を守れるかもしれない。
ヒーローは待っていても来ないけど、ヒーローになろうとする事は誰にだって出来るのだから。
誰だってヒーローになれる。そしてヒーローとは、ただ力が強いという事ではなく、なにより意志であり、そしてその魂は、
伝わるものである。というテーゼの見せ方としては、実に鮮やか。
個人的にこういうテーマが好きというのもありますが、キングフォーム登場編からの一連の流れは、
會川昇のヒーロー愛が迸っていて、素晴らしい。
羽美が笑顔で去って行きしばらく、甲斐甲斐しく布団を直したりして広瀬さんがヒロインゲージを稼ぐ病室へ、
任務を放り出していた虎太郎がやってくる。途中で始と出会ったという虎太郎の言葉に目を覚ました剣崎は、始からの情報として
「大いなる力」について聞く。それはいったいなんなのか……その時、アンデッドサーチャーに5体のアンデッドが反応し、
怪我を押して強引に出撃した剣崎は、フラフラしている始と遭遇。
移動中に始とたまたま遭遇、を1話に2回やってしまったのは、ちょっといただけない所(^^; まあ、虎太郎の時は喫茶店の近く、
今回は戦闘現場へ向かう途中、と一応の説明はつきますが、シチュエーションとしてご都合が重なる形になってしまいました。
1回なら許容範囲で、3回なら運命ですが。
「来るな! もうすぐ俺は、アンデッドを倒す事しか考えられない、獣に戻る」
エースのカードを取り戻した始だが、もはやその力でも、ジョーカーを抑える事は出来ない。
「剣崎、おまえの新しい力は、危険だ……」
詳しい説明前にジョーカーに変身した始は戦場の匂いに走り去り、その姿が、この前殴りかかったアンデッドである事に気付く剣崎。
「新しい力……危険……?」
困惑しつつも、その後を追う剣崎。
ところで、生身で足をざくざく撃たれて血しぶき描写までしていた割には剣崎が超回復してしますが、
ライダーシステムの影響という事なのでしょうか。ハッキリ血しぶきまで描いたのは、
そこに違和感を覚えさせる意図も含んでいるっぽいので、なんらかの伏線か。橘さんは、生身で睦月に土手から投げ飛ばされた時、
入院してたしなぁ(むしろあそこは、え? それで入院するの? と驚いたけど(笑))
状況をモニターしつつ、戸惑う橘。
「どうすればいいんだ……。このままでは、剣崎がジョーカーに……」
とりあえず、役立たずは出撃すればいいと思います。
未だ視聴者には明かされない広瀬父からの衝撃情報による混乱というのはあるようですが、
橘が「仮面ライダーとしての本分を見失っている」ように見えるのは、単に物語進行の都合なのか、意図的にそう行っているのか、
気になる所。出来れば後者であってほしい。
「その時……何が起こるかな」
広瀬父が台詞と共にライトを反転させるのは、ハッタリが効いて格好いい演出でした。
レンゲルを探している最中に何かイラッと来たのか、シーサイドなスポットで、カップル撲滅! みたいに暴れ回る5体のアンデッド。
ヒロイン力のなせる技か、どういうわけか現場に居た天音は、殺戮に巻き込まれてしまう。
「バトルファイトの始まりね」
その光景を見下ろしてほくそ笑む女王様だったが――そこへジョーカー来襲。凄まじいスピードと戦闘力で、
ばったばったと5体のアンデッドを薙ぎ倒していく。
ここはジョーカーの強さを見せるシーンではあるのですが、あまりの早業で、
折角の復活アンデッド達が何が何やらわからなかったのは残念(^^; 最初の被害者がサザエで、
次がツタツタな所まではわかったのですけど。
瞬く間に5体のアンデッドを封印したジョーカーだが、その牙は人間――逃げ遅れて取り残された天音にまで向けられる。
「ジョーカーめ、破壊に酔っている。人間もアンデッドも区別がついていない。ふんっ」
興味を失う女王様。
天音へ近づく破壊者。
「助けて始さん……助けて」
その時、駆けつけるヒーロー。
……そういえば剣崎、天音ちゃんの前で活躍するの初めてのような。と思ったら、
活躍する前にクイーンのカードをスロットインしたところで、つづく。システム上、クイーン入れた所でシーン切ると、
ジャックかキングか二択になるという、巧い引き方。
それにしても、33話の広瀬さんの「橘さんは、頼りにならないし」以降、本当に橘さんが1マイクロミリも役に立たなくて、
會川昇が血も涙もない。
- ◆第37話「Mの惑星」◆ (監督:長石多可男 脚本:會川昇)
-
前回ラスト、一応2択で引きましたが、へたれ遺伝子に敗北したジャックフォームなど既に眼中にないのか、
迷わず悩まずキングフォーム発動。
「思い出せ……。おまえはジョーカーに戻りたくなかった筈だ。おまえは……人間になろうとしているんじゃないのか」
防御に徹し、最低限の反撃を加えながらジョーカーをいなすキングフォーム。両者の戦いを見つめる女王様。そして、
やってきた睦月もキングフォームを目の当たりにする。
「剣崎さん……またあの人だけが強くなったのか」
猛攻を緩める気配のないジョーカーに、ブレイドはやむを得ず反撃。2〜6のカードで放つのは、二刀流によるストレートフラッシュ!
金色カブトムシ戦での二刀流はここまで意識した仕込みだったのか、それとも格好良かったので再利用したのか、
大剣といつもの長剣による二刀流も決まっており、キングフォームはいちいち格好いい。
両者の攻撃がぶつかり合い、倒れたジョーカーは始の姿に。封印カードを手に、悩むブレイド……最初にとりあえず、
殴られた時の事を思い出す(笑)
アンデッド大戦の決着に、始を封印する以外の方法が無いならば、その時は自分が封印する――決めていた筈の覚悟だが、心は揺らぐ。
その時、ジョーカーが再び立ち上がって咆吼し、突然、背後からブレイドに躍りかかる女王様。
「ブレイド、アンデッドとの融合を解け!」
女王様によると、ジョーカーを凶暴化させているもの、それはキングの力。ブレイドのキングフォームはジョーカーの力に近く、
キングフォームの誕生がジョーカーを活性化させ、エースのカードでも抑えきれない力を生み出しているのだった。
「どうすればいい」
アンデッドに聞くな(笑)
「知らないな」
混乱の最中にジョーカーは姿を消しており、女王様もまた去って行く。そして戦況を傍観していた睦月は、天音の姿に気付く。
ストレートフラッシュとジョーカーの攻撃がぶつかりあった余波で、大量の砂埃を浴びた天音は、一時的に視力を失っていた……。
女王様と睦月が去った後、またも倒れた剣崎を、広瀬と虎太郎が回収。積極的な理由は無いといえば無い気はしますが、
女王様と睦月が剣崎の寝首に興味を示さない描写は、何か欲しかったところ。女王様は正面から全力で戦う以外は卑怯、
という事なのでしょうが。
「剣崎が、またあの姿に変身してしまった。このままでは、剣崎は本当に人間じゃなくなってしまいます」
「そのために、新たな改造実験体を用意してるよ」
忍者屋敷では、役立たずがさらっと重大発言。カテゴリーキングの細胞から造り出したというライダー顔のトライアルFを見た橘は、
そもそもトライアルシリーズに用いているアンデッドの細胞はどこから入手したのかを問う。広瀬父は、橘を研究所の一室に連れて行くと、
隠し戸棚に収められた物を見せる。
それは――2枚のアンデッドカード。
3年前のあの日、全てのアンデッドが解放されたわけではなかったのだ。広瀬父はその内の1枚がハートのキングである事を見せ、
橘はもう一度、剣崎の説得に農場へと向かう……。
1話に出てきたボードの研究所は、バッタアンデッドの攻撃で壊滅した後に更地にされたとか言っていた気がしましたが、
広瀬父の部屋が烏丸所長の部屋に似ている気がするのは、意図的に匂わせているのか、ロケ地の都合か、私の単なる気のせいか。
なんにしろ、これまで描写されていなかった忍者屋敷の研究エリア以外が表に出、ほぼ個人で研究している様子の割には、
えらく金のかかっていそうな場所である事が判明しました。
一方農場には、ボード筆頭駄目人間である烏丸所長から、メールが届いていた。
タイトル:剣崎のキングフォームについて
なにその件名(笑)
広瀬さんは、まめに所長にメールで現状報告とかしているのか。橘さんの悪口とか、ある事ない事書いているのか。
所長によると、ラウズアブソーバーは上級アンデッドの力を制御する為の装備だが、
想定していたキングフォームはあくまでキング1体と融合するものであり、13体との同時融合はあり得ないという。
所長の予想を超える剣崎のキングフォームとは何なのか? そこで剣崎は、もし始が13枚のカードを揃えたら、
自分同様に思わぬ変化が起きて、ジョーカーの力を押さえ込めるのでは、と一縷の希望を思いつく。
まずその為には……睦月しばいてカードを取り戻す! と、飛び出していく剣崎。
その睦月は、とうとう、小学生女子を誘拐していた。
ジョーカーを誘き出す為の餌として、視力を失った天音の身柄を確保した睦月。そして何故か、
紳士ハウスにふんぞりかえって人間の脆弱さを嗤っている女王様。やっぱり睦月は、
踏まれた時に何かに目覚めてしまったのではないだろうか。
「虎の惑星かよ」
「文句ある?」
前回、パンサー? と書きましたが、女王様は虎でした。虎と言われてみると、確かに虎っぽい性格な気がしてきた。
新たな力を求めている内に新たな性癖に目覚めてしまい、すっかり大人の階段を駆け上がってしまった睦月は、
近づいてくる剣崎の気配に気付き、自ら迎え撃ちに出る。
一方、剣崎が飛び出していった農場を、役立たずが訪れていた。
凄く自然に、牛乳をタダ飲みしながら……!
どうやら本格的に金欠。
「でも、何かしてあげたいのよ。剣崎くんは彼のために。橘さんみたいに、倒せばいいと思えないのよ」
剣崎が始の為にハートのKを探しに行ったと聞いて眉をひそめる橘に、ぶつけるつもりで内角への直球を投げ込む広瀬さん。
「橘さん! あなたは何を考えてるの」
「剣崎の体は俺が預かる。それがあいつの為だ」
脈絡ないので、凄く変態みたいに聞こえます!
その頃、睦月と接触した剣崎は、戦う気はないけどカードを渡せ、と無茶苦茶な事を言っていた(笑)
ならばアブソーバーと交換だ、と睦月の出した条件を剣崎はあっさり呑み、トレード成立。後はハートのKを手に入れるだけだ、
と当てもなく走る剣崎の前に、そのハートのKを手にした橘が姿を見せる。広瀬の話を聞いた橘はハートのKを忍者の元から勝手に持ち出した上で、
剣崎の真意を改めて問う。
「あいつは人間になろうとしている。自分の運命と闘っているんです!」
橘は剣崎がこれ以上変身しないようにベルトとカードを回収、要件が済んだら自分と一緒に来るように約束させると、
ハートのKを渡して、忍者屋敷に帰還。
勿論お怒りの広瀬父ですが、基本的に橘さんはあらゆる局面において信頼度0なので、
そんな橘さんに、秘密アイテムの隠し場所を教えた方が悪い。
だが広瀬父もまた、橘の帰還を待たずに、トライアルFを剣崎へと差し向けていた……。
始を探す剣崎の前に、現れるトライアルF。今作ではあまり無かった生身格闘の後、
変身できないので……
轢いてみた。
……えーまあ、バイクによる質量攻撃は昔から定番といえば定番なのですが、剣崎の場合、
アンデッドと仮面ライダーに全く同じノリでバイクぶつけるので、凄く怖い(笑)
トライアルFを轢き倒した剣崎は、広瀬からの連絡を受け、アンデッドサーチャーの反応へと向かう。
山の中で凶暴化の一途を辿るジョーカーに襲われながらも、取り返してきたカードとハートのKを渡す剣崎だったが、
そこにまたも現れるトライアルF。再び軽く生身格闘……もしかしなくても、弱くないか、トライアルF(笑)
「始! これを使え! 俺を信じろ!」
剣崎の必死の言葉が届いたのか、ジョーカーはまず、カリスに変身。そして、ハートのキングをベルトへ通し――ブレイド同様、
全てのアンデッドカードがその全身に融合する! 金色の輝きに包まれて生まれたのは、
アルティメットフォーー……じゃなかった、ワイルドカリス。
ブレイド同様、全体的に金色が増加した上で、緑と赤紫が目立つようになり、微妙にギャレン寄りの配色に。
色使いは以前の方が好みですが、腰に二刀、というのは格好いい。
ワイルドカリスはその刃を抜き放つと、トライアルFへと向ける――!
ところでクライマックス戦闘で流れる挿入歌の歌詞が、以前から
「テキ屋・ファイト!」
に聞こえて仕方ありません。
たぶん違うのだろうけど、『ブレイド』はテキ屋と縁が深い作品なので間違っていないような気もしているアルティメットフォーーーム!
- ◆第38話「橘朔也、オンステージ」◆ (監督:長石多可男 脚本:會川昇)
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今回は、橘さん面白すぎ。
「ジョーカー……カリス――排除!」
相変わらず謎の飛び道具を放つトライアルシリーズだったが、アルティメット・カリスはFビーム攻撃をあっさりガードすると、
二刀が弓と合体。更に13枚のカードが1枚のカードとなり、新必殺技・ビューティーセレインアローでトライアルFを滅殺。
もはやお約束になった爆風の衝撃で吹き飛んだ剣崎は気絶し、そこへやってきた橘さん、ギャレンに変身すると、
剣崎に近づいていたカリスを殴る、撃つ。
……多分一応、助けているつもり。
そのままギャレンがバイクで剣崎を回収していき、始さんは人間の姿に戻ってにんまり。
……もしかしたら今ちょっと、剣崎の事を忘れている。
川面にヒューマンの姿となった自分を映して安らぐ始さんのシーンで、手前に花入れているのは監督の趣味だろうけど、
その花が曼珠沙華、というのが凄い(笑)
橘は拾った剣崎を忍者屋敷へ運び込み、広瀬父に紹介。
「この人のお陰で……俺たちは、人類は!」
「確かに……私はアンデッドを解放した」
久々にいきなり喧嘩腰となる剣崎に向け、広瀬父の口から3年前の出来事が語られる――。
不治の病に冒された妻・小百合を救う為、アンデッドの研究に没頭していた広瀬父だったが、3年前、とうとう妻が死亡。
衝動的な狂気にかられた広瀬父は、アンデッドの肉体を生で分析する事で不死の秘密を手に入れれば妻を甦らせる事も出来るかもしれない、
とカードの封印を解こうとする。だがそこを別の職員達に見咎められ、もみ合いになっている内に勢いに任せて鷲掴みにしたカードを機械に突っ込み、
豪快に解放されたアンデッドにより、研究室はすし詰めの満員電車状態に(笑)
一挙に解放されたアンデッド集団は、酔っ払いのようにふらふらと外に出て行き、この惨状の始末を付けるために、
理事長と呼ばれる男が、烏丸のライダーシステムの採用検討を決意する……。
と、新たな人物が登場した他は、特に意外な要素は無し。ちょっと勢いでやってみたら、
もみ合っている内に思わぬ大事故になっちゃった、てへっ、という回想ですが、これもあくまで広瀬父主観の語りなので、
烏丸トークばりに、信用していいものかどうかは、何ともかんとも。
「確かに、広瀬さんがやった事は過ちだった。だが、人の過ちをただせるのは、同じ人だけだ」
最近どちからというと人を信じやすい橘さん、いきなりの上から目線で剣崎を説得。
この事件で生死不明となり、ボードを離れて独自にアンデッドの研究を続けてきた広瀬父は、
ライダーシステムの恐ろしい危険性を発見する。
また不備か!
そもそもライダーシステムとは、アンデッドと融合して自らの力へ変えるジョーカーの能力を限定的に再現するというものだった。
だがその適性(融合係数)が人並み外れて異常に高い剣崎は、限定された筈のライダーシステムを通しながら、
アンデッドと融合しすぎてしまうのだ。すなわち――
「ライダーに変身し続けると君は、やがてもう1人のジョーカーとなる」
「俺が……ジョーカーに……」
ここまで隠されてきた、橘と広瀬父が剣崎を確保しようとする理由が判明。ライダーシステムがジョーカーをモデルにしているならば、
畢竟、使いこなせばこなすほど、その果てにジョーカーそのものに近づいていく。剣崎の強さがイコール危険なのである、
と話を繋げてきました。
またここで一つ重要なのは、そもそもライダーシステムは対アンデッドの戦闘手段、というわけでは無かったようである事
(多分ここまで、明確に語られてはいなかったと思う)。アンデッド解放事件からのタイミング考えればその方が自然なのですが、
どうやらアンデッドの不死の秘密を探るアプローチの一つとして研究された、人間とアンデッドの融合手段、という事のようで、
もともときな臭いのに、ますますきな臭くなってきました。
そんな話はつゆ知らず、ラウズアブソーバーを手にしてニヤニヤしている課金兵。
「使うには、カテゴリークイーンが足りないんだ」
「カテゴリークイーン? ははははははっ! 私か。封印する、私を?」
……ええと、本当にどうして、虎の女王様は睦月と同棲しているんですか。
お互いの目的が一致しているとも思えない上に、女王様はレンゲル睦月を嫌いな筈だし、さすがに意味不明すぎます(^^;
まあ新しい性癖に目覚めてしまった睦月が踏まれたいのはわかるけど(待て)
ちなみに、橘さんは120%Mだろうし、剣崎もいけるクチだと思われ、
虎太郎は詰られプレイとか間違いなく好きなので、『ブレイド』男性陣はM分高め。特に橘さんと女王様の接触は、
全力で避けた方が良いかと思われます。
睦月と女王様が牽制し合う中、始のものらしき足音を聞いて、外へふらふらと出て行く天音ちゃんと、それを追う女王様。
……いやどうして、女王様、天音ちゃんの面倒見ているの(笑)
視力の回復しない天音ちゃんは、外の階段を踏み外した所を始に助けられるという、すさまじいヒロイン力を発揮。
最近、広瀬だか栞だかいう年増がアピールしてきていますが、まだまだ負ける気はない……!
「今の奴からはアンデッドの気配が全くしない……」
それを目にした女王様は敢えて手出しはせず、始は天音を背負って喫茶店へ。一方、携帯電話に謎の連絡を受けた睦月は外出し、
天音が出て行ってしまった事に気付かぬも、始との接触を免れる。お陰で、マジギレ始さんによるジャッジメントを受けずに済みました。
もし遭遇していたら、危うく日曜朝に放送できないバイオレンスな消毒シーンになる所だった。
忍者屋敷では、橘が忍者から受け取った剣崎の血液サンプルを分析し始める。
「剣崎、おまえをジョーカーになどしない……」
……そういえば、研究者だった、役立たず。
ところが橘に仕事を与えて目を逸らせた隙に、忍者は眠らせた剣崎をベッドに乗せて運び出す。そこへ現れたのは、
電話によって呼び出された、上城睦月。
「本当に剣崎が、もう1人のジョーカーなのか……」
姿を見せぬまま声だけで、もう1人のジョーカーであるブレイドを倒して封印すれば、今日から君が最強だ、とそそのかす広瀬父。
「なんで橘さんにやらせないんだ」
「彼は へたれ 優しすぎる。それに君の方が強い。違うかね?」
その挑発と誘惑に乗り、剣崎を蹴り起こす睦月。
「見せてよ、ジョーカーの力を」
橘が回収した筈のベルトとカードも剣崎の手元にあり、剣崎はブレイドに変身。睦月もレンゲルとなり、ブレイドへと襲いかかる……!
一方、始は喫茶店に天音を連れて帰り、虎太郎と接触。
「剣崎は、どうしてる?」
「橘さんと一緒に行く約束があるとかって……」
「橘が?」
さっき、殴られたキガスル。
その時、ブレイドとレンゲルの戦闘の気配に気付く始。
「今度は……俺の番か」
始は即座に駆け出し、久々に、というか、始さんはホント、すっと格好良くなって、役得。
(感じる……剣崎、おまえを必ず連れ戻す)
研究所では、レンゲルがブレイドをいたぶり、自らラウズアブソーバーを投げつける。
「キングフォームにならなければ、死ぬだけだ!」
冷凍ガスキックを受けたブレイドはレンゲルの殺意を悟り、キングフォームを発動。その姿を見ながら闇の中で嗤うのは――広瀬父。
「いいぞ。もうすぐ剣崎くんの肉体は限界だ。剣崎くんはアンデッド全てを取り込んで――
ジョーカーとなる」
忍者から始接近の報を受け、立ちふさがる役立たず。
「来たか……ジョーカー」
「なぜ剣崎を変身させた」
「剣崎が変身している? そんな筈はない」
駄目だこの人。
脚本も演出も意図的だと思うのですが、こんな時に限って力強くキリっと断言する姿が、なまじ二枚目だけに、半端のない絶望感(笑)
「剣崎は戦いの中に居る。だが……俺が止める」
始は役立たずの横をバイクでスルーし、その姿に状況の変化を悟る役立たず。
「相川始の心を取り戻したのか? じゃあ、あいつの言った事は!」
……あ、一応気付いた。
その頃、
「ふハははハっ、HAはHAハはははッ!!」
(これが剣崎?!)
肉体と理性の限界か、キングの力に飲み込まれて狂気の哄笑をあげるキングブレイドは、暴虐無比な力でレンゲルを圧倒。
そこに駆け込んだ始はカリスに変身し、邪魔なレンゲルを押しのけようとするが、背後からブレイドに切られて乱戦に。
一方、現状を確認しようと忍者の部屋へ向かう橘だが、そこは既にもぬけの殻であり、
隠されていたもう一枚のアンデッドカードが消えている事に気付く。研究室へ向かった橘は、誰か居ませんかーと覗き込んで、
トライアル冷蔵庫に閉じ込められる(笑)
わざとか! わざとやっているのかッ?!
「おーい、誰だ! 開けろ!」
覗き窓から顔を見せる広瀬父。
「広瀬さん、これはいったい?!」
「間もなく剣崎くんはもう1人のジョーカーとなる」
「それを阻止する為に、今まで俺たちは! ――まさか」
橘さんの、俺見えない所で地味な裏方仕事を超格好良く頑張っていた筈なのに、ええっ?! みたいな顔が、
面白すぎます。
「あなたの本当の目的は……」
「人間がアンデッドと融合し、その結果ジョーカーになる時、その人間の細胞を分析すれば、
永遠の命が手に入るとは思わないかね?」
広瀬父がトライアルを剣崎に差し向けていたのは、その身柄を確保する為ではなく、剣崎を追い詰め、
キングフォームを発動させる為のものだった。そして、剣崎をジョーカーにする、すなわち、人間をアンデッドそのものに変える事で、
人が不死になりえる秘密を解き明かす――。
「あと少しだ橘くん。剣崎くんがジョーカーになれば、彼の体から永遠の命の秘密が明らかになる。妻も、君の愛する者も甦る」
「俺は……そんな事望んじゃいない!」
橘の望みはあくまで、剣崎を破滅の運命から救い出す事。そして、広瀬父を、優しい父親として広瀬栞の元へと返す事。
……ああ成る程、最近やたらに、広瀬さんが橘さんを「このウジ虫野郎!」みたいに扱うのを強調すると思ったら、
言われた通りに広瀬父の事を秘密にしつつどうにか親子の関係を丸く収めようと奮闘しているけど空回り気味も決して愚痴らず罵倒に耐える橘さんの男の哀愁、
が裏の軸になっていたわけですね。
気を遣えば遣うほど、裏目に出る男、橘朔也。
「永遠の命が手に入れば、娘も喜ぶ」
もはや交渉不成立、と橘はギャレンに変身して冷蔵庫を強引にぶち破るが、いきなりの忍者パンチで反撃を受けて吹き飛ばされる。
「なんだ、あの力は……」
紫の燐光をまとった自らの拳におののきながらも、その場を逃走する広瀬父。ギャレンはとりあえず、ブレイドを巡る戦いに参戦し、
それによって生じた隙を利用して、カリス、エボリューション。
アルティメット化したカリスは、後ろから殴りかかってきたレンゲルを手の平一発(笑)
「どうした、剣崎……おまえはそんな弱い人間か。やってみろ、剣崎。ジョーカーに支配されるようでは、俺を倒せはしない」
カリスに向けて振り下ろされるブレイドの大剣。だが、その刃は頭上すれすれで止まる。剣崎は自らの力で暴走を押さえ込むと、
変身解除。ジョーカー化の回避に成功する。課金兵は3人に追いかけられるが、「俺はまだ、あんた達に負けたわけじゃない」
と捨て台詞を残して逃走。
始の暴走、橘の迷走、剣崎の逆走、と続いた危機と混乱もひとまず収まり、
一試合終えたスポーツマンみたいな感じで何となく和やかな雰囲気になる3人。
「おまえはもう、戦わなくていい。広瀬さんに騙されたとはいえ、俺はおまえに取り返しのつかない事をしてしまった。すまない」
「人の過ちをただすのは人、でしょ?」
とくだいのブーメランがたちばなさくやにちょくげきした!
かいしんのいちげき!!
32617のダメージ!!
始がジョーカーの暴走を乗り越えて新たな進化を遂げたように、自分にもそれが出来る筈。全ての人を守れるものになる為、
剣崎は戦い続ける事を宣言する。
「俺の中のジョーカーに勝てれば、キングフォームは最強の力になる」
「ああ、そうだ」
「俺は、仮面ライダーです。――これが運命なら、負けたくありません」
そして……逃亡した広瀬父は謎の施設に辿り着き、その前に、3年前の回想シーンにちらっと登場した“ボード理事長”
天王路博史が姿を見せる。何故か、サングラスがサイバーパンク(オーバー気味のテクノロジーを持っているという描写でしょうか?)。
「君が二人目のジョーカーを誕生させようとした時、変化が生じた。神が気付かれたようだ」
ここに来て、非常に思わせぶりな“神”という言葉が登場。
「私の……私の体に何をした、天王路さん」
広瀬父がシャツを開くと、その下にあったのは、生身ではなく機械の体。
「それが君の、本当の姿だ」
「俺は人間だ!」
「人間、広瀬義人は死んだ。君はその記憶を持った、トライアルBじゃないか」
冷淡に告げる天王路の前で、膝から崩れ落ちる忍者。
「栞……」
アンデッドの不死の秘密を探る為、剣崎をジョーカーにしようと画策していた広瀬義人の正体は、改造実験体トライアルBであった!
そしてその背後にちらつく、ボードの影。人類基盤史研究所とはいったい如何なる存在なのか。ライダーシステムの生みの親、
烏丸の真意はどこにあるのか。かつてない大きな闇が口を開き始める中、広瀬栞はまだ何も知らず、母の名の花を、机に飾っていた……。
次回、忍者、変身。
半年間今井脚本の相手をしていた為か、後半戦に入って正直、會川脚本と長石演出が今ひとつ噛み合っていなかったのですが、
今回ようやくテンポがあった感じ。春田純一さんの好演もあり、全体に漂う不気味な雰囲気が巧く出ました。真紅の曼珠沙華で始まり、
大輪の白百合で締めた演出も、実に監督らしい。
物語の方もいよいよ最終クール突入を控え、これまで裏で蠢いていた存在が、表に姿を見せ始めました。
そろそろ春田純一さんがリタイアしそうな気配ですが、入れ替わるようにベテラン(森次晃嗣)の登場も嬉しい。
ここからどうまとめるが本当の勝負になってきますが、期待します。
……それにしても、今回は、橘さんが凄すぎました。
余計な介入をして剣崎を回収→「だが、人の過ちをただせるのは、同じ人だけだ」と他者を赦す男の度量を見せる→
久々に研究者っぽい仕事で張り切る→知らない所で上司からまたへたれ扱い→「剣崎が変身している? そんな筈はない」→
冷蔵庫に閉じ込められる→「まさか!」→久しぶりに格好良く変身したのに、おっさんのパンチ一発で吹っ飛ばされる→
乱戦に参加してみるが特に役に立たない→弟子に話を聞いてもらえない→後輩のカウンターでこめかみにブーメランが直撃する
過去に数々の残念キャラ、へたれキャラ、ぽんこつキャラを世に問うてきた東映ヒーロー作品ですが、
1エピソードでこれだけやってのけたキャラクターは、なかなか記憶にありません、
まさに、へたれの中のへたれ、キング・オブ・へたれ、
すなわち既にキングフォーム。
ここに永世へたれ名人の称号を謹んで贈るとともに、殿堂入りを認定したいと思います。
次回、更なる高みを目指して――睦月、縛られる。
◆第39話「叔父にも愛を、そして希望を」◆ (監督:石田秀範 脚本:宮下隼一)
ここに来て、12話以来となる、お久しぶりの宮下さん。そして19話以来の石田監督(劇場版を担当して離れていた模様)。
前回、広瀬父が逃げ込んだ謎施設は、水族館?でした。奥で魚が泳いでいるけど、
ロケハンにこだわりのある長石監督の見つけてきた謎施設かしら。
「私がトライアルB……バカな……そんな筈が……」
「では、その体を、どう説明する?」
「という事はやはりあの時……私は死んだ?」
広瀬父の記憶と意志を受け継ぎ、永遠の生命の秘密を解き明かすべく、ブレイドをジョーカーにしようとした、広瀬父/トライアルB。
その業績は神の御許に届いた、と天王路理事長は告げる。
「トライアルであろうと、君は広瀬義人その人だ。広瀬義人のすべき事を、続けるのだ」
「私は……広瀬……広瀬義人のすべき事を続ける……」
一方、剣崎と橘は広瀬父を探し出し、なんとか広瀬の元へ連れ帰ろうと考えていた。
にこやかに現れた虎太郎、橘さんに超感じ悪く存在をスルーされる。
始さんは、目の完治した天音ちゃんとデート中。ヒューマン状態の安定した始さん、すっかりノリノリで遊園地に。その途中、
通りすがりの変態紳士と遭遇し、狼狽した後で睨んでくる睦月だったが、天音ちゃん、「さいってぇ」
の台詞からあっかんべえして横をスルー、という会心の一撃で、始さんからも路傍の石扱い。
「あははははは、さっいこう」
背後に現れた女王様、更に追い打ちを入れる(笑)
「相変わらずねぇ坊や。少しはこの戦いを、面白くしてくれるといいけど」
引き続きよくわからない虎の女王様ですが、レンゲルが開封能力を持っているという事を含めて、泳がせている、
という補強なのか。積極的に戦うわけでもなければ状況をかき回すわけでもなく、敢えて言えば、
女王様ライフを満喫されています。
分担して忍者を探している途中、トライアルBの襲撃を受ける剣崎。橘さんに電話してみるが、
「ただいま、電波の届かない所に……」
トンネルの中を走っていた。
役立たずめっっっ!!
トライアルBに追われる剣崎は、折角だからやってみる? みたいな感じで、39話にして、生身で火薬の間を激走。
「変身!」に合わせて大爆発させたり、今作としては珍しい火薬祭り。
トライアルBは白黒の配色に、一つ目+クラッシャーというデザインが格好良く、アクションも見栄えして良い感じ。
広瀬経由で連絡を受けたギャレンが駆けつけ、トライアルBは逃走。そして広瀬の元には睦月が現れ、
“自分を強くしてくれる存在”として、広瀬父の居場所を聞き出そうとしていた。
「頼むよ……どこにいるんだよ、教えてくれよ」
父が死亡したと思っている広瀬は睦月の案内で前回の戦いの現場となった研究所へ向かい、それを背後から見つめる女王様。
擦れ違いで農場に帰ってきた剣崎と橘は、虎太郎から広瀬が睦月に連れ出された事を聞き、慌てて研究所へと向かう。
「睦月のやつ……喋ったんだ!」って、睦月がそういう奴だってのはもうわかっているのに、放置した上で広瀬さんに事情を隠したまま、
うまく事態を処理できると思っていたのだとしたら、ぼんくらコンビが、自分達の能力を高く見積もりすぎです。
特に橘さんはいい加減、気を遣うと裏目に出る人生を認めるべき。
「もーーー、どいつもこいつも! どうなってんだよいったい?!」
放置プレイを受ける虎太郎、久々に超ぞんざいな扱い。
研究所では、睦月と広瀬の前に、忍者が登場。突っかかってきた睦月を投げ飛ばすと、レンゲルに対し、トライアルBに変身。
ニンジャパワーでレンゲルを叩きのめすと気絶した睦月を連れ去っていく。後を追った女王様は、謎の研究所に連れ込まれた睦月が、
二つ並んだベッドの上で何らかの処置を受けている光景を目撃。
天王路「ようこそ、レンゲル」
トライアルBに、睦月を拉致させた理事長の目的は果たして何なのか……?
「すいません、お父さんの事、内緒にしてて……悪かったです」
「いや! 元はといえば俺が……」
農場では、駄目男二人が、遠巻きに広瀬さんへ謝っていた。
背中向けっぱなしの広瀬さんは「買い物に行く」と言って出て行き、
「やっぱり、内緒にしてたのが……」
遠回しにへたれに抗議する剣崎。
そこへ、農場居間のパソコンへ直接、画像が送りつけられてくる。それはどこかの倉庫に縛って吊された睦月。
そしてその下に立つトライアルBの姿だった。橘は飛び出していき、剣崎は始に連絡を入れるが、電話の向こうから聞こえてきたのは、
天音ちゃんの快気祝いに華やぐ、栗原家の声。
勿論、叔父さんは呼ばれてません、呼ばれてませんよ、ええ(泣)
割と本格的に酷い(笑)
この前のシーンで農場に乗り込んできた睦月に対して、天音ちゃんの為に怒りをぶつけるも軽くスルーされていたりするだけに、
ますます切ない。
「剣崎、俺は今……」
というか睦月とか、どうでもいいんだが。
さすがの剣崎も状況を理解し、橘と二人で工場へ向かう事に。一方、買い物へ行くと言って農場を出た広瀬は、
どこかでパソコンをいじっていた。
…………どこ?
多分、睦月に案内された研究所の、広瀬父の部屋なのですが、意図的な可能性も含め、どこなのか凄くわかりにくい見せ方。
そして父の部屋だったとしても、そもそもそこにどうやって入ったのか、
忍者が這々の体で逃げ出したにしてもボードは全部放置しっぱなしなのか、色々データの入っていそうなパソコンも放置なのか、
と色々と謎は尽きません(^^;
そして広瀬はPCの中に、両親と自分の思い出の記録映像を発見する……。
ギャレンとブレイドは倉庫でトライアルBと激突。その戦闘をモニターする天王路。
「橘くん、それが私に対する態度かね。君には 金を貸して 色々教えてあげたじゃないか」
トライアルBは広瀬義人の姿へと変わり、剣崎と橘も変身解除。話術で翻弄しつつ不意を打とうとする忍者だったが、
そこへ広瀬が駆け込んでくる。
「騙されないで! そいつは父じゃない。父の記憶を盗んで、父になりすました偽物よ。倒して!」
「困った娘だ……」
それぞれ変身した三者は、再び激突する――!
えー……後半戦に入ってから會川昇に任せきりで、サブライター準備するの忘れていたのではないかというぐらい、
宮下脚本が後半戦の流れを、いまいち汲めてません(^^; またそこに、
劇場版でTVシリーズから離れていた石田監督が演出という事で、輪を掛けてしまった感じに。
虎太郎の扱いのぞんざいさとか1クール目の頃を思い出させるのですが、宮下さんにしても凄い急なヘルプ要請で、
ここ最近の展開を追っていなかったのでは疑惑。
そしてここしばらく、広瀬さんにも可愛げをキャンペーンが展開されていましたが、いざ真っ当にヒロイン展開されると、
え?
となるなぁやっぱり(笑)
石田監督がまた、嫌がらせのように野暮ったい衣装を着せるし(いや、監督の責任ではないかもですが)。
まあ、広瀬さんどうも、割と出っ張りのある体型のようなので、あまり体のラインが出る衣装もなぁ、
という配慮もあるのかと思われますが、その結果どうして、もっさりトレーナーになるのか。
もう少し衣装は色々と工夫できたのではなかろうか。例えば『電王』はその辺り、結構頑張っていたと思うのですが。
これは『ブレイド』前半戦からの問題点の一つなのですが、広瀬栞が飾り気のないキャラクターである、というよりも、
広瀬さんを可愛く描写するのが面倒くさいから飾り気のない女という事にしているというのがどうも強い。
それで広瀬さんが“飾り気の無い女”(から広げた人格のキャラクター)として描かれているのなら構わないのですが、
特にそういうわけではないので、話の中心に持ってくるにはあまりにも、その場その場の展開に都合が良いだけのピースにしかすぎません。
お洒落させれば、とかそういう事ではなく、ちょっとした台詞回しや描写、
演技のさせ方で幾らでも女性らしさや可愛げを付加できるわけですし(例えば前回ラストの花を飾る広瀬さんの図は、
これまでの描写からすると唐突ではあるものの、広瀬さんに焦点が当たるならもう少し可愛げをという意図だったと思われる)、
逆に“可愛げを出さない”事でキャラクターを立てる方向性もあるわけです。問題の本質は衣装ではなく(この場合、衣装というのは、
即効的な手段の一つ)、見せ方とその蓄積になるわけですが、しかしそういった事をしてきたとは言い難い。
ここ最近の広瀬さんは、剣崎のヒーロー性を担保するキャラとして機能させていましたが、
「広瀬栞」という個人を物語の本筋と絡めるだけの仕込みと流れの構築が足りていたとはとても言えず、前半戦からのツケが、
改めて浮き上がってしまいました。
橘さんと剣崎が、やたら広瀬さんの為に盛り上がっているけど、正直ついていけませんし(笑) え、二人とも、
そんなに広瀬さんの事気にしてたの? レベル。
橘さんなんかはここ数回、その見ていて共感しにくいズレを背負ったまま転げ回っていたわけですが、そういう諸々のズレが、
脚本×演出の責任ばかりでなく、色々なタイミングの重なりで、凄く大きく出てしまった回となりました。
◆第40話「GはゴミみたーいのG」◆ (監督:石田秀範 脚本:宮下隼一)
再び変身したトライアルBと激突する、ブレイドとギャレン。ブレイドが広瀬の方にトライアルBを蹴り飛ばしたせいで、
人質にされる広瀬さん。
もう少し、考えて戦え(笑)
それともこれは、増大していくヒロイン力が呼び込んだ奇跡の業なのかッ?!
人質になったという事は!
私がヒロインという事だ!!
広瀬を盾にされて手を出せなくなるぼんくらコンビだが、縛られていた睦月が、頑張って変身。鎖をほどいて落ちてくる。
「睦月」「睦月」
なんだ、ぼんくらコンビのその、「あ、10円落ちてきた」みたいな反応。
「よくも、よくも俺を……」
レンゲルは問答無用でトライアルBに殴りかかり、B撤退。更に興奮状態でそのままブレイドとギャレンに襲いかかるが、
そろそろ本格的に面倒くさくなってきた駄目師匠、撃つ。
「いい加減にしろ!」
ブレイドも本気パンチを放ち、吹っ飛んだレンゲルは変身解除。
橘「俺だって人質にされたら悔しい! 気持ちはわかる。けど……」
…………そういう話なのですか、これ。
「うるさい! 助けられたなんて、絶対思わないからな」
事態を役立たず視点で語られてしまい、結局また、とぼとぼ去って行く睦月。
駆けつけた広瀬がどこかのパソコンで確認していたのは、広瀬父の記憶データであった。ノイズ混じりのそれからわかったのは、
広瀬父の記憶データが盗まれ、トライアルBに移植された事で、偽の広瀬義人を生み出した事。
えー…………すみません本気で意味がわかりません。
何がわからないって、広瀬さんがノイズ混じりの映像データ見て何がわかったのか、さっぱり意味不明。
前回広瀬さんが正確にはどこへ忍び込んで、どういう思いつきでパソコンを調べて、
そこにあった映像データを見てどうして記憶が盗まれているのがわかったのか、の全てに理由の説明が無い為、
広瀬さんが何を根拠に何をおっしゃっているのかさっぱり。
これはかなり演出が悪いのですが、演出が悪くてわからないというよりは、どうあがいても意味不明な為、
演出が故意に曖昧にして誤魔化した感じさえあります。
例の第2話における、「脳波にコンタクト」とか「バーチャルがー」という台詞と合わせて考えるに、
『ブレイド』世界の基本設定として、脳の研究や記憶のデータ化技術が進んでいるとかそういったものがあって、
宮下さんは初期に聞いていた世界設定に合わせてそのまま書いた、という可能性がありそうですが、
そういう説明や描写はこれまで一切無かった為、謎の地平線に突入。
世界設定としてのファンタジーや超テクノロジーがあるのは別に構わないわけですが(そもそもライダーシステムがそうですし)、
そういった提示がされていない為に物語内部で二重に意味がわからない、という凄く困った事態になってしまいました。
レンゲルに殴られて撤退したトライアルBは、研究所へ。そこでは、拉致した睦月の遺伝子データから造り出された新たな改造実験体・
トライアルGが完成していた。スパイ中の女王様はGの攻撃を受けて傷を負い、紳士屋敷に帰ってやけ酒。
「どんな戦いにも、ルールがあるわ。このバトルロワイヤルに、人間も、あんなヤツも要らない。これは、私達の、
戦いなんだから……」
くだまいた末に、傷が元で倒れる女王様。
重傷を負ってもなお、M月の調教具合を確かめるという、凄いプレイだ!(待て)
で、アンデッド大戦の事をさらっと「バトルロワイヤル」と言っているのですが、劇場版が「バトルロワイヤル」だったそうなので、
監督が劇場版準拠に変えたのか。
ここまで「バトルファイト」連呼された後だと、もう、どっちでもいいですが(笑)
一方、沈み込む広瀬の携帯電話に、忍者からメールが入る。
[栞 会いたい 父]
敢えてこの誘いに乗って囮となる事を決意した広瀬は、忍者を思い出の場所へと呼び出す。
この花畑は、(花とかさっぱりわからない為、何の花かわかりませんが)一面の花の中を土の道が通っていて、
そこにぽつんと椅子が置いてある、という映像が印象的で、非常にいいロケーション。
思い出の場所で、向き合う父娘。剣崎と橘を花畑に潜ませた広瀬は、忍者に近づかないように告げるが、
忍者はそれを無視して強硬に迫り、逃げ出す広瀬さん。
落とし穴が仕掛けてあったらどうしようとドキドキしましたが、そんな事はありませんでした。
遂に広瀬に掴みかかる忍者は、パンチで反撃を受け、泣き叫ぶような声とともにトライアルBに変身。
そこでようやく追いついたぼんくらコンビ、ダブル無職キックを炸裂させる。
わざわざ近くに隠れていたのに、役に立たないぃぃぃ(仕様です)。
その頃、“見よう見まね”で天音ちゃんに披露したギターに触れていた始は、その戦いの気配に気付く。
以前に、多分ヒューマンアンデッドの体に染みついていた記憶でタコ焼きを作っていた始さんですが、ここでのギター演奏は、
ギター抱えた変態眼鏡の登場した11・12話を拾った形か(同じ宮下脚本)。
ケーキ食べすぎたし、カロリー消費してくるか、と立ち上がった始は、ちょうど飲み物を運んできた天音と遭遇。
「天音ちゃん。……行かなくちゃ」
「あたし、我慢するのやめたんだからね! 始さん、帰ってこなかったら、あたし待ってなんかいないんだからね!」
「――絶対帰ってくる、約束するよ」
当座のヒロインには負けまいと、女力に覚醒する天音ちゃん。
ブレイド、ギャレンとトライアル忍者の戦いには、トライアルGが参戦し、それをモニターする理事長。
そしてM月から傷の手当てを受けた女王様は、M月をその戦いへと案内し、トライアルGの姿を見せる。
「どう、自分をコピーされた気分は?」
B&Gに苦戦するブレイドとギャレンですが、ブレイドがキングフォームになるのを躊躇うのはまだわかるとして、ギャレンは早く、
ジャックフォームぐらい使ってみせてもいいんですよ? どうせ役に立たないかもだけど、チャレンジ精神を失ったら、
そこで試合終了ですよ?
戦いは広瀬も巻き込み、Gの攻撃から広瀬をかばって倒れる、ブレイドとギャレン。その姿を目にしたBの脳裏に、
一つの記憶が甦る――。
「栞を頼む……」
それは、ベッドに横たわる広瀬義人。
「栞ぃ!」
Gのマジカルステッキが広瀬に向けて振り下ろされた時、その身を挺してかばったのは、トライアルB!
ここは、戦場を移したにも関わらず無意味についてきた広瀬さんが、全く無駄にしゃしゃり出てきて余計なピンチになる、
という駄目NPCアクションをパーフェクトに行ってしまい、成り行きは非常に残念。
今エピソードの転機となるシーンだっただけに、もう少し工夫して欲しかった所です。
プライドを傷つけられた怒りのレンゲルが乱入してGへ突撃し、倒れたBは、広瀬義人の姿へと戻る。
「思い出した。……私は、あの人に造られた……」
トライアルBを造りだしたのは、広瀬義人その人であった。3年前の事件後もアンデッドの研究を続けていた広瀬父だったが、
自分の余命が幾ばくもない事を悟ると、自らの意志で、その記憶をトライアルBへと移植。トライアルBは、
義人が娘を守る為に誕生させた、自らのコピーだったのだ。だが、誕生したトライアルBは理事長によって記憶の一部を改変され、
広瀬義人の「アンデッドの不死の秘密を解明する」という目的だけを遂行する為に活動。その託された最も大切な想いを、
忘れ去っていたのである。
しかしそれは、ギリギリ間に合った――。
「貴様よくも!」「許さん!」
前回今回は、よく二人で一緒に突撃する、ぼんくらコンビ(笑) そして走り込んできた始さんが、カリスへ変身。40話にして、
4人のライダーが共通の敵に対して揃い踏みするのは初でしょうか。約1名は腹立たしいから暴れているだけだし、
約1名は役立たずですが。
ブレイドとカリスはそれぞれエボリューションし、W必殺技でトライアルGを滅殺。その光景を見届け、去って行く女王様。
なるほど、最初何と言っているかわからなかったのですが、カリスの必殺カードは「WILD」と言っているのか。
「栞……無事で良かった。これで、お母さんの側にいける」
最後の最後で広瀬義人となった、トライアルBは、消滅。涙する広瀬の手には、父の結婚指輪だけが残される……。
そして深い深い闇の深淵、
「終わったのではない。始まったのだ。本当の戦いが……ふっ、ふふふふふふははははは、ハハハハハハハハ!!」
高笑いする理事長は、懐から一枚のアンデッドカードを取り出すのだった――。
最後は、広瀬さんがよそのパソコンから盗んできたらしい父の記憶データを削除、本当の記憶はいつものこの胸の中にある……
みたいなオチなのですが、だからそのデータは何なのか、という肝心な所が意味不明だった為、何とも締まりきらない感じになってしまいました。
解釈はできるけど、納得はしがたい。
後半戦に入って存在感ある暗躍ぶりを見せてくれた広瀬義人(春田純一)、リタイア。
東映で春田純一さんというと、どうしてもアクションする役を振りがちになりますが、演出側もそれを封印し、
不気味で淡々とした役柄を抑えた演技で好演。トライアルBだと自覚してからの、視線に強い力を込めた表情の見せ方も良く、
今作に不足していた中年男性分の補充という点も含め、非常に良い配役となりました。
もともと山路さん(烏丸所長)にどれぐらい出て貰える予定で配役していたのかはわかりませんが、
今作のメインメンバーにはやっぱり最初の方から、キャリアのある役者さんを絡めてあげたかったなぁ、と。栗原母は基本、
喫茶店から動きませんし。前半に意識的に、若手とベテランを絡めて芝居を作る要素を入れられなかったのは、
色々と勿体なかったと思います。今井脚本でそれが成立したかはまたともかく。
次回、女王様、理事長と逢い引き。
→〔その9へ続く〕
(2014年8月6日)
(2017年3月19日 改訂)
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