■『仮面ライダーブレイド』感想まとめ3■
“誰より今信じてみる 自分の未来を
目覚めて行く心誰にも 止められない”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーブレイド』
感想の、まとめ3(11〜15話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
なお、サブタイトルが存在しない為、全て筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい。
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- ◆第11話「ギャレン、タマネギを轢く」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:宮下隼一)
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当初からの助っ人予定だったのか、軌道修正の為の戦力投入かはわかりませんが、宮下隼一が参戦。
とはいえ、切れ目らしい切れ目の無い今作なので物語の針路がいきなり劇的に改善されるわけもなく、
前回からの流れでごく普通につまらないし、演出は酷いし、どうすればいいのか。
鈴村監督はそもそもあまり合わないタイプなのですが、ううーん、とりあえず、余った空間に照明を置く、
みたいのは眩しいだけなのでやめてほしい(^^; 伊坂さんだけ、とかならともかく、所構わず色々な人が光っているし。……まあ、
『ブレイド』は全体的に演出陣が困っている傾向があるので、あまり監督だけ責めるのもあれですが。
転職先の上司の呼び出しを受けて休日出勤した橘ギャレン、デートを邪魔された怒りを拳に込めて、ブレイドに連続パンチ。
(迷いが見えない。強くなってる)
やっぱり橘さんの事、貧弱なチキン野郎だと思っていたな、剣崎!(涙)
「これが俺だ! 俺の力なんだ!」
今日は銃も撃つギャレンさんだったが、結局戦闘はぐだぐだになり、最後は虎太郎が割って入って水入り。
なお現場には広瀬さんも居たのですが、虎太郎が割って入って水入り。
重要な事なので、重ねて書きますが、
虎太郎が割って入って水入り。
広瀬さんのヒロイン力の有無について、国会を臨時招集したい。
始の新しい家主である変態メガネは、路上ギタリストであった事が判明(初登場時にギターケース持ってはいましたが)。
始はアンデッドの気配に気付いてヒョウ柄アンデッドと交戦するが、逃げられてしまう。
小夜子さんはへたれの髪の毛から拾ったモズクの分析を頼んだ結果、それが地球上から絶滅した筈の植物である事を知る。
果たして橘はどこへ消えてしまったのか……橘を捜す小夜子は研究所跡で剣崎と出会い、農場に招かれて情報交換。
この辺りは小刻みに場面を変えて展開。それぞれのポジションがある程度明確に離れた事で、
ようやく複数ライダー体勢が落ち着いてきました。
農場からの帰り道、ヒョウ柄アンデッドに襲われる小夜子だったが、ブレイドが駆けつけてこれを助け、ヒョウ柄を撃破・封印。
小夜子を助ける事でブレイドにヒーロー性をプラスする、戦闘中に剣崎の独白が入り戦いの流れを見せる、
しっかりとクライマックスとしてアンデッドを封印する、など、さすがに色々まずいと思ったのか、明らかに修正が入ってきています。
特にこれまで、アンデッドによる被害描写をしっかり描くという方向性は悪くなかったと思うのですが、
そちらばかりに偏ってブレイドらがあまりにも、人を助けるシーンの無いヒーローだったので、
小夜子を助ける事でかなり露骨に“ヒーローっぽさ”を出しに行ったのは今後の為に良かったと思います。良かった、というか、
マイナスから0に近づいたというか(^^;
定番のストレート以外を投げたくなるのもわかるのですが、
とにかく今作はストレート投げる前に変化球と暴投ばかりでそもそもストライクゾーンを見失っていたので、
遅まきながらまずはストレートを投げてストライクゾーンの確認からやり直す、というのは正しい軌道修正だと思います。変化球は、
それから投げればいい。
前回ぐらいから徐々に変わってきているので全体的な修正傾向もあるかと思いますが、この辺りは宮下さん投入効果か。
転職先でお薬のプールに浸かってテンション上がったギャレンは、上司の指示で、同時に現れたもう一体のアンデッドと交戦。
それはカテゴリーエースの蜘蛛アンデッド。
これまでと別格のアンデッドという事でか蜘蛛は造形に凝っていて、後頭部で足がわしゃわしゃ動いているのは格好いい。
一方、船上ライブを企画する変態メガネから、「俺たちの世界を作るために一緒に海へ出ましょう」とヤバげな告白を受けた始さんの背後に、
サザエの壺焼きアンデッドが迫っていた……。
前門の変態、後門のアンデッド、始さんの安住の地はどこだ?!
- ◆第12話「広瀬、年齢を気にする」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:宮下隼一)
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意気揚々と出撃するも、今日も快調に蜘蛛アンデッドに叩きのめされる仮面ライダーへたれ。駆けつけたブレイドも参戦するが、
蜘蛛に翻弄されて終わる。
ギャレンとブレイドの攻撃がろくに通用しない、とこれまでに無い強さを見せる蜘蛛は、カードを使おうとする所を糸で妨害する、
などアクションも面白い。
ギャレンは上司命令でカテゴリーエースを追う……前にしつこく呼び止めるタマネギに銃撃一発。
なんかブレイドは段々、自分を捨てた彼女の足下にすがりつく昔の男、みたいになっています(笑)
「全ては究極のライダーを作り出す為。奴には文字通り、その人柱となってもらう」
恐怖心を克服するお薬の影響で、戦闘本能だけが増大してしまっているという橘。果たしてその行き着く先は、
そして暗躍する伊坂の真の目的はなんなのか。
一方、親子連れを襲うサザエの壺焼きを蹴り飛ばした始さんはカリスに変身して戦うが、サザエには逃げられてしまう。
助けた親子に手を伸ばすも怯えてはたかれて、ちょっとショックを受ける始さん。ここで、
物陰から見ていたメガネに仮面ライダーである事を知られる。
そして、カリスがカードで相川始に変身しているという描写。
大きな謎の一端が解明されましたが、ここは凄くさらっと、しかしわかりやすく見せた、のは良かった。
そんな始に接触してくる、メガネ父(前回から登場)。辣腕音楽プロデューサーであるメガネ父は息子は「自分から逃げている」
だけであり、音楽の才能が無い事を認めて、自分と同じプロデュースの世界に入る事を望んでおり、
手切れ金として始に白紙の小切手を渡す。
白紙小切手を渡す、とか久々に見ましたよ! ちょっと格好いい(笑)
「わからないんだ。人間ってやつがさ。やはり俺には理解できない」
家族ゆえの愛情、家族ゆえの束縛、始は人間同士の感情のやり取りに惑う。
自分を狙うサザエの壺焼き、近づきすぎた人間関係、ここに居るのも潮時だ、と去ろうとする始だったが、メガネがそれを引き留める。
「俺は、おまえと違って人間じゃない」という始の告白を、「仮面ライダーって事は秘密にするから」と軽く請け合うメガネだったが、
そこへサザエの壺焼きが現れ、その攻撃で船が炎上。必死に火を消そうとするメガネを押しとどめ、始はカリスへと変身する!
メガネの親子関係のもやもや、始の戸惑い、夢への出航、それを奪う炎……と劇的な段階を踏んで、
感情の高まりの曲線にしっかり上昇カーブを描かせた所で戦闘への突入、と基本のド基本なのですが、
ドラマの流れの中にしっかりと戦闘が入るだけでこんなに気持ちいいのか、と(笑)
トルネードチョップで壺焼きを撃破するカリスだったが、戦闘中の負傷で流した緑の血に、船炎上のショックが重なって、
激高するメガネ。
「来るな! 本当だったんだな……人間じゃないって」
いきなりの手の平返し。
……うーん、ここで手の平返すなら何の為のキャラだったのか、という感じですが、ドラマの構造自体も変えていくという事なのか。
「アニキ」「アニキ」って慕っていた人間も正体を知った途端に態度が変わって始はやはり孤独の道を歩む……という流れをやるだけなら、
4話も使う必要ないですし、予定通りだとしたら少々中途半端。まあ、このメガネの退場自体は歓迎ですが!(笑)
ただこの後、再びやってきたメガネ父がメガネの「それでも自分の限界を試したいんだ」という言葉に何となく満足げに去って行く、
というのは、メガネ父を単純に身勝手で理解のない父親、にせずに、今作における人物の描き方では、今までで一番良かった。
一方、蜘蛛アンデッドが再び登場し、現場へ向かうブレイドだったが蜘蛛の強さはブレイドを寄せ付けない。
「カテゴリーエースは俺のものだーーー!!」
そこへ、偶然遭遇した小夜子を振り切って突撃してくるへたれ。
しかし勿論、へたれ一人増えた所で何の役にも立たない。
というかバーサク状態で、近づいてくるとブレイドも殴るので、むしろ邪魔。殴られるのがわかっていて、
「橘さん!」とかしがみつくブレイドもいい加減、捨てられた事を理解してほしい。
それにしても、お薬キメて復活展開の後も、なんとかシマウマ倒しただけで、相変わらず出てくる度に叩きのめされるのですが
ギャレンはどれだけ役に立たないのか。ライダーシステムに不備はないかもしれないけど、
ギャレンはそもそも欠陥商品ではないのか。
中の人(橘朔也さん)が根本的にへたれだからなのか。
放映当時、ギャレンのソフビ人形だけ鈴なりで余っていたのではないだろうか、とか余計な事まで気になります。
タマネギとクワガタが蜘蛛にあしらわれている頃、始はメガネの元を脱出して独りバイクを走らせていた。
「俺も、もう、俺から逃げない。俺は、俺だけで生きる。俺だけで、戦う!」
TVに映っていた始を捜して街へ出た天音とそれを追った虎太郎は、燃えてしまった船に辿り着くが、擦れ違い。
ここで天音の足下に緑の血痕、という演出は良かった。
そしてモズクに関して新たな事実を知った小夜子に迫る伊坂の影。薄幸そうなオーラ漂う、へたれカップルの行く末や如何に。
現状面白いかどうかは別にして、だいぶ修正傾向が目に見える形で出てきましたが、
あとは毎度通り魔すぎるアンデッドにもう少し差別化が図られるといいなぁ。
- ◆第13話「閃光! ブレイド復讐の一撃」◆ (監督:長石多可男 脚本:今井詔二)
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「余計な事はするな。これは警告だ。橘の邪魔をするな」
小夜子さんちの窓ガラスを吹き飛ばすが警告で済ます伊坂さん、意外といい人。
ここでパズルに目線を動かした所から、イントロの格好いいBGMを入れるのはなかなか良かった。
逃げた蜘蛛を追い、バイクで走るギャレンとブレイド。
「目を覚ましてくれ、橘さん」
何を思ったのかブレイドは、急加速したバイクでジャンプすると、前を走行中のバイクに
前輪ぶつけてギャレンをはたき落とす。
え?
あまりの事に、素でビックリしました(笑)
殺 す 気 か
……まあ、よくよく考えると、前々回、思いっきり轢かれたし、前回から殴られっぱなしだし、
これぐらいは有りだと思ったのかもしれない。
「わかってください、橘さん。あのアンデッドは、渡すわけにはいかないんだ」
燃料を投下するだけ投下して走り去るブレイドだったが、結局蜘蛛には逃げられてしまう。
そしてその蜘蛛は、街に大量の子蜘蛛を放つのであった――。
蜘蛛のデザインは造形凝っていって格好良く、見せ方もしっかりしています。他のアンデッドも毎度このぐらい、
しっかり描いてくれるとまた違うのだけどなぁ(^^;
小夜子は剣崎達にモズクについての情報を提供。それは中枢神経を刺激する成分を出す古代の藻で、ボードの研究資料によれば、
古代アンデッド大戦でも闘争本能を高める為に使われていた……だが、成分が強すぎて、
使い続けるとやがては細胞や精神が破壊されてしまうという。
すっかり、ダメなヤク中扱いとなる橘さん。
とにかく何とかしてあのへたれの性根をたたき直さなくてはならない……決意を新たにする剣崎達だが、新たなアンデッドが出現。
野球少年達を襲撃したライオンアンデッドはあの子蜘蛛をユニフォームにつけたコーチをさらって姿を消す。実はここ数日、
10〜20代の男性が怪物に襲われたという目撃情報と共に姿を消す事件が続発していた。
一連の事件はアンデッドの仕業に違いない……しかし何故、アンデッドが人をさらうのか? 現場を調べていた始を見つけた剣崎は、
それが伊坂の差し金である事を知る。
「奴を止めないと恐ろしい事が起こる。伊坂が適合者を探している」
蜘蛛アンデッドが放つ子蜘蛛は、適合者を探すためのものだった。伊坂はそれを利用し、
子蜘蛛が選んだ人間をライオンに命じて拉致させていたのだ。
その蜘蛛は、ストリートでバスケットに興じる少年と遭遇。「レンゲル……レンゲル!」と叫ぶと、光って姿を消す。
剣崎はライオンに襲われていた少年を見つけると、ライオン撃退。お礼を言われるも名乗らずににやっと笑って去る、
というのをやって大満足してみる。
「今のが……仮面ライダー」
一方、拾ってきた人間をテストする伊坂だが、適合レベルの足りる素体を見つけられずに居た。
「最強のアンデッドに適合する人間などいないのか」
そんな中、再びサーチャーに反応する蜘蛛アンデッド。出撃しようとうする剣崎だが、同時にもう一体のアンデッドが市街地に出現する!
「体は二つ無いんだ。いったいどうしろって」
「カテゴリエースは、人里離れた山の中。それより、目の前で傷つけられようとしている人を」
「ストップ! 人間を守る、わかってるって」
わざとらしく愚痴っぽく言った後に、やたら格好つけて口にする剣崎。
最初から黙って街へ行け。
たぶん、まっしぐらに蜘蛛の方へ向かうへたれヤク中との対比で、ヒーロー格好いい、みたいなシーンのつもりなのかもしれませんが、
そもそも橘さんはライオン知らないため「選択」をしていないので、剣崎サイドの「選択」だけ描いて二人で笑顔を見せ合っても、
剣崎と広瀬の自己満足三文芝居にしか見えません。
先日の『メガレンジャー』の「君たちは選ばれた戦士だ」ではないけど、二人とも、
“用意していた台詞を言ってみた”というようにしか見えなくて、いっそ気持ち悪い。
せめて「体は二つ無いんだ」のくだりは全く不要で、放映約3ヶ月に至ってもつまり脚本がおかしい。
蜘蛛退治に山へ向かう橘、の前に立ちはだかる始さん。
「おまえたちにカテゴリーエースは渡さん。奴を封印するのは俺だ。――変身」
始はカリスに変身し、ギャレンと激突。
ライオンと接敵したブレイドは、今回から武器に読み込んだカードの描写が細かく入り、マッハダッシュ稲妻キックでライオンを撃破。
序盤から、それぞれのライダーの技に合わせて封印するアンデッドの配分スケジューリングなどあったのでしょうが、
これまで各アンデッドの特殊能力がさして特徴づけられていなかった為、いまひとつ面白くならず、勿体ない。
一方、カリスvsギャレンに、クジャク乱入。
「ここがおまえの死に場所だ。覚悟しておけ」
これまでカリスとは直接対立は避けていた伊坂ですが、なんか、面倒くさくなってきた?
ギャレン一人ならともかく、クジャクを加えた二対一に、さすがに追い込まれるカリス。そしてギャレンの、
ファイアー分身重力キックが発動。直撃を受けたカリスは、橋の下の深い谷底へと落下していく。
「伝説のアンデッドも、遂に息絶えたか。ふふはは、ふふははははは」
どうやら始さんは、「?! あ、あいつは一夜にして暴走族を壊滅させたという噂のある○○高のカリスー?!」
みたいな存在だったらしい。
- ◆第14話「薬と泪と男と女」◆ (監督:長石多可男 脚本:今井詔二)
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アンデッドサーチャーの反応を追って、ギャレンの戦闘跡にやってきたブレイド、橋の下に落ちている始を目視で発見。
意外とごく普通に落ちていた。
気付け、伊坂(笑)
剣崎は負傷した始をあばらやに運び込み、甲斐甲斐しくお世話。もしかしてここ、剣崎の生家でしょうか? と思ったけど、
火事になった割には保ちすぎか? しかしそうでなかったら、手近の適当な廃屋に運び込んだというのも滅茶苦茶ですが(^^;
「目の前で人が倒れててるの、見捨てるわけにはいかないだろ」
一人暮らしが長かったので料理には自信あり、とおかゆを差し出したり、薬を買って手当していたり、いい人モードを発動する剣崎。
剣崎って、ちょっとガラ悪くて喧嘩っ早いけど、根本的にはこういう奴なんだよ、という意図はわかるのですが、わかるのですが、
前回もそうだけど、剣崎と始のこの前の接触って、〔「アンデッドなおまえを許さねえ!」→お互い殺意全開の殴り合い→
別のアンデッド反応があったのでこの決着は今度また!→一発撃たれる〕だったと思うのですが、
そこから一体どういう心境の変化があると、始への態度がこんなに柔らかくなるのか。
記憶が長持ちしないのか、剣崎。
まあ、怒りとかの感情が持続しないタイプっていますし、何度橘さんに殴られてもすがりつく所を見るに、
本気で喧嘩しても三日で忘れる性格という可能性はありそうですが。
で、にこやかに話しかけるけど相手は当然まだ怒っていて→また裏切られたー、という不器用な人生。
要するに剣崎って物語の都合に合わせてその場その場のシーンに合わせて別々の性格が起動しているだけで、
物語を通して人格が連動していないのですが、2クール目に入ろうかというのに、主人公の人格が破綻しっぱなしというのも実に酷い。
連絡が取れない剣崎を探しに出た広瀬と虎太郎は、始の世話をする剣崎を発見。天音の事もあり相変わらず始に攻撃的な虎太郎は、
怒りの演技を修正してきていて、やはりメインキャストでは虎太郎の人が一番、演技ができる。
その頃、小夜子はまた、橘と通りすがっていた。
ついつい小夜子の行動範囲を走っている辺りが、橘朔也、実にへたれ。
そして結局、あの藻の情報は留守電に入れたらしい。
しかし最高にハイな気分ですっかり薬の喜びに目覚めてしまった橘は、藻の危険性を知ってもなお今の充実生活を捨てる気にならず、
「打ち上げ花火のように生きたい」とか語り出す。
「私は……道ばたの花みたいにひっそりでいい。そんな風に生きていきたいの、あなたと」
「俺と? ………………ごめん、生き方が違ってしまったんだ。君とはもう一緒に生きられない」
小夜子の元を走り去る橘……明らかに、本気告白にへたれて逃げ出した!
上司命令で蜘蛛の元に向かう橘と遭遇する剣崎だが、クジャクの襲撃を受ける。
「橘の邪魔をするな」
伊坂さんは段々、部下を心配する親切な上司みたいになってきたな(笑)
クジャクに一発はたかれた剣崎は始の元へ行き、エースアンデッドについて改めて確認する。
子蜘蛛を放って適合者を探し続けるのはエースアンデッドの習性。蜘蛛アンデッドが活動を続けていても、
既に適合者が見つかっている可能性は、ある――。
「俺は一人で戦いを続ける。でも」
「でもなにさ?」
「君のお陰で助かった。ありがとう」
剣崎に礼を言って走り去る始さん、未亡人と小学生女子のハートをばっちりキャッチしているだけあって、
人間としてのコミュニケーション能力は明らかに剣崎より高い(笑)
一方、橘を止めようとその姿を探す小夜子の前に伊坂が姿を見せ、攻撃。衝撃波の直撃を受けた小夜子は地面に倒れる……
そんな事が起きているとは知らず、蜘蛛アンデッドと戦うギャレンは、ファイアー分身重力キックで遂に蜘蛛を撃破・封印。
引っ張った割には、えらくいきなり倒してしまいました(^^;
そこへ現れ、蜘蛛のカードを渡すように要求する伊坂だったが、何を思ったか、橘は上司命令を拒否。
「あんたの命令にそこまで従う義理は無い」
義理だらけだと思うぞ!
伊坂のファイアーボールをかわすギャレンさん、3ヶ月たってようやく盛り上がる。
「甘く見るな! 今までの俺とは違う!」
だが。
(力が出ない……)
「だから言ったろう、タイムリミットだ」
調子にのってすんませんでしたぁぁぁ!
お薬の効果が切れたギャレン、あっという間に叩きのめされて蜘蛛カードを奪われる。まあそもそも、
最高にハイな時でもクジャクに勝てるとは思えないのですが。
「しょせんおまえなど俺の敵では無い。力を得たければいつでも私の元へ来い。待ってるぞ」
反抗の事実すらスルーされる、ゴミクズ扱い。
3分ぐらい盛り上がったのに!!
更に間の悪い事に、アンデッド反応でやってきた剣崎に、最悪に情けない所を見られてしまい、無言でとぼとぼ去って行くへたれ。
そのダメダメな様子に、伊坂の手にエースのカードが渡ってしまった事を剣崎は感じるのだった……。
「何が起こるんだ……」
その頃、虎太郎は無人の喫茶店に落ちた天音のランドセルを発見する。謎のアンデッドがカリスを呼び出す為に、
母娘を人質にとったのだった。虎太郎から連絡を受けた剣崎と、アンデッドの声を聞いた始は、バイクを急がせる……。
そして、ロンリーブレイクハート中の橘は、道の途中に放置された小夜子の車を発見、瀕死の状態で転がっている小夜子を目にする。
橘に看取られながら、その腕の中で息絶える小夜子……初登場時から死にそうなオーラを全力放出していた小夜子さん、遂に死亡。
……うんまあ、これだけ死にそうな行動しか取ってないと、むしろよく保った感しかしないのが、困った所(^^;
次回、新たなるライダー誕生? そして橘リストラの危機! まあ、正直、リストラされても(以下略)
- ◆第15話「月がとっても青いから」◆ (監督:諸田敏 脚本:今井詔二)
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世界観合わせの為に演出陣で方向性を統一する、というのは割とあるし良い事だと思うのですが、
パイロット版(1・2話)とOPの演出をなぞった結果、次から次へと変なスポットライトの使い方で合わせるのは、正直、
そろそろ勘弁してほしい(^^;
見所は、ダークスーツ(喪服)の橘さん、格好いい。
小夜子を失った怒りと悲しみで潜在的な恐怖心を乗り越えた橘は伊坂の研究所に殴り込んで、お薬風呂を破壊。
エターナルラブパワーで伊坂アンデッドに激しいラッシュを叩き込むが、後一歩の所で逃げられてしまう。
基本的に精神力の問題という指摘でしたので、もうチキン野郎とは呼ばせない!
またここのバトルが、桜の咲き誇る公園、というのは良かった。
小夜子の死をぽんこつトリオに報告した橘は、クジャクアンデッドのサーチを広瀬に頼む。その広瀬になぐさめの言葉をかけられて、
「ありがとう、いい奴だなおまえ」
もうやだこの職場!!!
一方、トンボアンデッドから母子を守った始は「側に居ると巻き込む」と再び姿を消そうとするが、
「そうじゃない。守れよ、君が」
という剣崎の言葉に考えを改め、再び居候の身分に戻る事に。
ここは剣崎のキーワードである「守る」が始の心を揺り動かすと、珍しく、ちゃんと積み重ねてきた要素が繋がりました。
始の帰還を知り、衝動的に始の正体を暴露しようとする虎太郎であったが、剣崎に止められる。
「あの二人を守れるのはあいつだけかもしれない」
その言葉に思いとどまりつつも、大切な人達を守れない自分への憤りに、髪をかきむしって絶叫する虎太郎。
そんな虎太郎を、後ろから抱きしめる剣崎(待て)
あまり言いたくないけど、この二人は初期から露骨に「こういうの入れるとウケるんでしょ?」すぎて、引きます。
アンデッドサーチャーの反応に飛び出す剣崎、そして連絡を受ける橘。
究極のライダー作りの為の被験者狩りをしていた伊坂達と遭遇したブレイドは、その中に行方不明の烏丸の姿を見る。
格好良くスパイ活動するぜ! と言って姿を消した所長は、あっさりと伊坂に捕まってマインドコントロールを受けていたのだ!
もはや烏丸所長は、真の黒幕でなければ、ただの迷惑なおっさんです。どちらがよりマシか、非常に悩ましい。
そこへ、へたれ改め愛戦士が駆けつけ、ブレイドは逃げた所長達を追い、愛戦士は伊坂アンデッドと戦う事になる。
小夜子の仇を討つべく、決意を込めてギャレンへと変身する愛戦士・橘朔也。
「小夜子、君との思い出は、数えるほどしかないが……」
数えるほどしかないのか!!
「君を思い出させるものは、数え切れないぐらいある。そして何より……何り君の笑顔が忘れられない。遅いかな、
今頃になって言うのは。俺は――俺は……俺は君が好きだった! 君の事を大切に思っていた」
すみません、散々引いた上にあまりに直球な発言で、ちょっと吹きました。
台詞としては、前半分で良かったかと。
いやしかし、なんかもう、ホントこう、前から思っていたけど、小夜子さんは惚れた相手が最低すぎました。橘の場合、何が最低って、
失ってみて初めてわかった、とかではなくて、自分も気があって相手はダダ漏れなのに、へたれだから見ない振りをして逃げ続けていた、
という辺りが最低。まあ小夜子さんが明らかに駄目でへたれな橘くんが好きな人だったので、
外野がとやかく言う所ではないですが(だからまあ、小夜子さんへの好感度もいまいち上がりようがないままだったんですが)。
ここで仮面ライダーだから、というのが挟まるとまたちょっと変わるのですが
(もしかしたら書いている方は挟んでいるつもりかもしれない)、橘さん、明らかに、ただのへたれだし。
心の中で超直球な告白をした愛戦士は、ラッシュ攻撃から最近お気に入りの必殺キックを発動。
「さよこーーーーー!!」
恐怖と絶望を超えた愛と哀しみの反へたれエネルギーがクジャクアンデッドに直撃し、伊坂大爆発。
…………え、あれ?
伊坂アンデッド、勢いで封印。
………………悪い意味で衝撃の展開。
敵の扱いが雑なのは今作の特徴ですが、ここまでの最重要悪役の扱いとしては、あまりに雑。酷い。
そしてどうにもこう、とにかく『ブレイド』は、見ていて感情が同期しません。多分この戦闘いいシーンなのだろうけど、なにぶん、
話があっち行ったりこっち行ったり錯綜しすぎて劇的な盛り上がりの曲線が形成されていないので、見ていて盛り上がりきれない。
小夜子さんがあまりにギャレンの踏み台すぎますし。
これは脚本の責任ばかりではないのですが、複数主人公による大河群像劇という基本構成にこだわりすぎ。
今回で言えばここまでやるなら、もっと橘の話に絞れば良くて、そこが絞りきれないので、対する伊坂の方まで、
扱いが軽く見えてしまう。そして伊坂の存在感が物語の中で軽くなれば、相対的にここまでの物語そのものが軽くなってしまう。
その辺りの、重量バランスがどうにも取れていない。
要するにまあ、いつもの結論になるのですが、劇の構成が稚拙すぎる。
言い方を変えると、料理の仕方が下手すぎる。
→〔その4へ続く〕
(2014年2月14日,2014年2月16日)
(2017年3月19日 改訂)
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