■『仮面ライダーブレイド』感想まとめ1■


“ここにあるものは希望?絶望?
 Round Zero 始まってる。”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーブレイド』 感想の、まとめ1(1〜5話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
 なお、サブタイトルが存在しない為、全て筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい。

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◆第1話「剣崎、住所不定になる」◆ (監督:石田秀範 脚本:今井詔二)
 後半良くなった、と聞いたので、本放送時に序盤で脱落した『仮面ライダー剣』に再挑戦。
 1話、うむ早速、危険なほど面白くないぞ!
 この面白くなさは、なかなか凄い領域。
 冒頭、砂浜をバイクで疾走する仮面ライダー、てかてかした照明の中で殴り合う、もう一人の仮面ライダーとコウモリ怪人。
 あえて「変身」やライダー登場の衝撃をクライマックスに持ってくるのではなく、ごく普通に仮面ライダーが戦っている (そこに存在している)というのをやりかったのでしょうが、結果としては非常につまらない入りになりました。
 変化をつけてくる事自体は評価したいのですが、変化していればいいというわけではなく、そこは面白さを求めたい。
 そして続けて、ただでさえ多い登場人物を画面上に全部いきなり置いてどさっと見せてしまって、誰が誰やら全くさっぱり、 更に後半は何故かひたすら、これもまとめて立っているライダーが、踏ん張ってひたすら素振りをしているだけ、という、 シリーズ歴代でも最悪といっていいのでは、というOP映像。
 今見てもこのOPは、どうしてこうなったのか理解に苦しむ出来。
 あまりに酷い。
 (※教えていただいた所によると、OPの映像は徐々に細かく変化していくそうで、それ前提の作りだった模様。ただし、 だから良いというわけではない)
 コウモリ怪人との戦闘は、敵がコウモリだから暗い洞穴戦なのでしょうが、乱反射させた青い照明が非常に見づらく、かなり辛い。 狭い洞窟の中でバイク走らせて銃撃、とか戦闘のアイデアそのものは悪くなかったのですが。
 そして、
 「おまえの歯が立つ相手じゃない」
 と、先ほどまで一方的にたこ殴りにされていたのに、急に強気になるギャレンさん。
 ギャレンさんは謎とか伏線とか通り越すレベルで、終始意味不明。
 主人公の滑舌が今でもネタにされる今作ですが、演技とかアフレコがどうというよりも、台詞そのものがあまりに酷い。
 状況も感情も、全てを台詞で説明してしまう作りで、根本的に脚本(台本)のレベルが酷すぎます。
 例えば、中盤の喫茶店で、虎太郎と姉の家族が会話する所で
 「それ、亡くなった兄さんのカメラじゃない?」
 さて、この場に居るのは、弟、姉、その娘、そこに「ただいま」「おかえり」という台詞でやってきた青年、の4人であり、 この後の流れを見ると全員「兄が亡くなっている事」は知っていると考えるのが自然です。
 では、「亡くなった兄」という台詞は誰に説明しているのかといえば、視聴者に説明してしまっている。
 これはいっけん劇中の登場人物の台詞のようで、実はナレーションによって視聴者に語っているのと同じ、という典型的な悪い意味の説明台詞。
 更にこの後、姉の台詞でくどくどと、夫(兄)が死んでいる事を語らせており、屋上屋を重ねてしまっています。
 ここはまず「兄さんのカメラじゃない?」というのが自然な台詞であり、その後の会話で既に亡くなっている事を示す、というのが、 まともな脚本。
 演技が学芸会、という揶揄はありますが、何が学芸会かといえば、シナリオが学芸会。
 また、石田監督がやや迷走気味というか、全体的に演出が悪いのも、会話シーンの酷さに拍車をかけています。とにかく、 何でもないシーンで無駄にカメラ動かしすぎ。元来、こんな酷い監督ではない筈。もっとも、 ヒーロー番組初期というのは役者さんのキャリア的問題もあり、喋っているだけでは画面が造れない(間が持たない)ので、 ある時間以上の台詞のやり取りがあると、カメラを動かすしかなくなるのですが。
 橘さんと偉い人の怒鳴り合いのに時に、カメラをぐるぐる回していたのは、よくある誤魔化し手法なのですが、この辺りも、 脚本と演出の噛み合ってなさを思わせます。
 極端に言うと、戦隊とかでキャリアのある役者さんや声優さんを長官ポジションや悪の親玉にあてるのって、 多少長い台詞でも間が持つ人に語りをやってもらう為なのですが、どうも脚本の方とそういう基本的摺り合わせが出来てなかったのでは…… という気さえします。
 終盤、虫の群れの演出は悪くなく、1話で唯一面白かったところ。
 ただし、クライマックスバトルも、夜間照明が鬱陶しい(^^;
 まあ、私がこういう演出苦手というのもありますが。
 物語の方は、組織と仮面ライダーの関係も、剣崎と橘の関係も全く描けていないのに、「裏切り」だの「橘さんを信じる」 だの言われても全くピンと来ず、非常に置き去り感全開。
 変化を付けようとしたり、衝撃の展開、をやりたかったのはわからないでもないのですが、通して滑りまくり、という他ありません。
 後、1話で若い男が4人登場して、シャッフルされたらもう区別がつかない、というキャスティングもどうなのか。 同じ二枚目を並べるにしても、もう少し主要キャラの顔立ちにバラエティーを持たせるものだと思うのですが、どうしてこうなったのか。
 ……というわけでかなり険しい道のりになりそうですが、書く事書いたらだいぶスッキリしたので、 むしろここからどうやって持ち直したのかを楽しみに、頑張ってみようと思います(笑)

◆第2話「剣崎、無職になる」◆ (監督:石田秀範 脚本:今井詔二)
 ブレイドは辛くもバッタ怪人を倒すが、研究所は崩壊。剣崎とオペレーター女は、残された監視カメラの映像から、 ギャレンさんが所長を連れ去った事を知る(意図的に残された不自然映像っぽいけど)。それから数日後……。
 いきなり、自称フリーライター(無職)とお友達ライクに話しているオペレーター女(無職)。崩壊した研究所は、 「上からの力」(笑)で数日で整地されたが、丁度あったトラックで解析できそうな機材を失敬して運び込んできたそうなんですが、 あまりに強引で時間も整合性も吹っ飛びすぎ。
 また、百歩譲って彼等が出会って数分で馴染んだにしても、劇中で初対面???の二人が前振りなしに気さくな会話を展開していて、 またまた視聴者は置き去りです。なんかもう、大学時代に同級生だったとか設定つけてしまった方が、いっそ不自然ではないレベル。
 そして失意の剣崎さん(無職)はいきなり、
 「なあ、聞いてもいいか? おまえ、今まで人に裏切られた事、何回ぐらいある?」
 と、訥々と、如何に自分が人の良い男か、を語り始める。
 ここから一連の会話は、なんかもう、ギャグの世界で、突き抜けて破壊力抜群。
 冒頭の戦闘後、突然、俺なんの為に働いていたんだろう……とむしろ視聴者が剣崎に聞きたい事でオペレーター女をなじり始めたり、 ほぼあらゆる会話シーンで、登場人物の頭に虫が湧いているとしか思えない感じで、凄まじい。
 そんな剣崎に、「いやー僕は何度騙されても人を信じ続ける人の方が好きだな−」と自称フリーライターが返し、 お互い外でニヤニヤしあう男二人(気持ち悪い)。
 よく考えろ剣崎、その男は、君から得た情報で本を書いて一発当てる気満々なんだぞ!
 君が騙しやすければ騙しやすいほど、その男の思う壺だ!
 その時、ニヤニヤする二人に、オペレーター女から凶報がもたらされる。起動したアンデッドサーチャーが、 近くの天文台に出現したアンデッドを探知したのだ。しかし戦う意味を見失っている剣崎が出撃を渋り、それに平手打ちを食らわす女。
 いきなり「貴方が傷ついているのはわかる」とか言い出す人は、120%信用できないぞ剣崎!
 あと、「それがライダーの仕事じゃないの」と言うなら、

 給料払え。

 ブレイドは天文台にやってきたツタツタアンデッドと交戦するも逃がすが、そこへ現れた第三の仮面ライダー・カリスが女の子を助ける。
 カリスのデザインは格好いい。
 しかしホント、なぜみんな、中途半端茶髪なのか。
 画面に3人並べると、「え?」みたいな絵になってしまって、演出も辛そう。
 自称フリーライターが見事な似顔絵を披露し、女の子の聞き取りから自分の知らない第三のライダーの存在を知る剣崎。 ここでカリスの正体が半年前にふらっと現れた謎の下宿人である事が判明しますが、「悲しい目をしていたから貸した」とか、 洒落たつもりで書いているのかなー……(^^; このお母さんが、自分に酔うタイプという設定なのかもしれませんが。
 その後、喫茶店からの帰り道にブレイド&虎太郎とツタツタアンデッドが遭遇し、ブレイドが自分の戦う理由を叫ぶものの、 「仕事」「仕事」こだわっているけど、会社がないよ! という、反応に困る展開
 勿論、そこで「仕事」と言わせる事でヒーローの持つ嘘くささを減じ、 主人公自身もストレートにヒーローを語ってしまう恥ずかしさから解放されている、という作劇なのでしょうが、 それが面白さに繋がっていないし、最初から崩壊しすぎ。……それとも崩壊したのは支社で、 別にある本社から給料が振り込まれているのでしょうか? それならそれで、彼等を回収しに来ないのが不自然ですし、 そんな事ないとは思うのですが。
 普通に戦闘始まるとさすがに映像は悪くなく、ブレイド変身時に、カードの光をバリアに使ったりするのを、 うまく戦闘の導入に組み込んでいるのは面白い。
 最後は再びカリスがやってきて、アンデッドを撃破・吸収。カリスは近づいてきたブレイドを殴り飛ばし、ブレイドと虎太郎の元には、 オペレーター女から通信が届くのであった。脳波にコンタクト、とかバーチャルがどうこう、とか、何か譫言を申しております……。
 物語の筋が酷い、という以上に、台詞が軒並み酷い、という未踏世界。
 都合20分強で、これだけ頭の悪い会話が連続するという作品もなかなか見た事がなく、段々クラクラしてきます。
 ホントどうしてこうなった。

 心は仮面ライダー(会社夜逃げで無職)
 元オペレーター(会社夜逃げで無職)
 自称フリーライター(退職して無職) (※ただし土地持ち)
 謎の青年(きっと無職)

 どうしてこうなった?!

◆第3話「橘、無実を訴える」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:今井詔二)
 見所は、未亡人とその娘から「お父さんに似ている」攻撃を受ける始さん。

 なんか、追 い 詰 め ら れ て る!

 あと、子供におちゃらけてみせるぐらいの社交スキルが判明し、愛想が無い、のではなく、 たぶん虎太郎が嫌いな事も発覚。
 その頃、烏丸所長を拉致し何かを聞き出そうとする橘は、体の異常に苦しみ診察を受けるが、数値的にはいたって正常。
 「でも憎めないんだよね――こうして同級生を尋ねてくれる。君が安心して眠れるのが、ここだけっていうのが、 ちょっと嬉しいんだよね」
 申し訳ないけど、脚本家に全くセンスを感じないというか、洒落たつもりで書いているとおぼしき台詞が、 軒並み壊滅的に痛い。その上、どこかで借りてきたような台詞丸出しで、正直、 書いていて恥ずかしくならないのかなぁ、というレベル。
 勿論ある程度定番の言い回しというのはあってそれを否定するわけではないのですが、 そういうのは一種の「必殺技」のようなものであり、前振りを積み上げて盛り上げた所で置くから効果を発揮するのであって、 初めて出てきたキャラクターが唐突に口にしても、安っぽくしかなりません。
 必殺技を最初に使うと破られる、のと同じ。
 定番の台詞こそ、使い方が重要。
 台詞の価値というのは内容よりも、それをどこでどう使うか次第で、幾らでも安くも高くもなるのです。
 勿論、台詞そのものが素晴らしい、という場合もありますが、それにしても、そこへどう導いていくか、というのが重要。
 この点に関しては、現場の都合や監督判断、演出などの影響もあるので脚本に全ての責を負わせる部分ではありませんが、 それにしても全体の質の低さを見るに、脚本家は滝で顔を洗って出直してくるレベル。
 台詞の価値を高める為の仕掛けも努力も全く見えないし、流れを作るセンスが絶望的に感じられません。
 面白いとか面白くないとかいう以前に、酷い。
 酷いといえば剣崎。
 剣崎はどうして、家主にやたらと攻撃的なのか。
 と思ったら、オペレーター女にも攻撃的だった。
 なんか、上司にはへこへこしているけどバイトと女性社員にはやたら言動のきつい駄目社員みたいで、 リアルに嫌な感じ。今のところ、剣崎に好感持てる要素が一つも無いのですが、どうしてこんなに態度悪いのか(^^;
 囚われの烏丸所長の脳波に「double joker」のパスワードでアクセスした3人組は、烏丸所長からライダーシステムの真実を聞く。
 1万年前――53種のアンデッドによる、アンデッド最強決定戦が行われた。人類はそれに勝利する事で地上に繁栄していたが、 3年前、アンデッドを封じ込めていたカードの封印が解かれてしまう。ライダーシステムは、 解放されて人間を襲い始めたアンデッドに対抗し、再びカードに封印する為のシステムだったのだ。
 カードの封印が解かれた理由は所長いわく「悲しいアクシデントが色々重なったから」(笑)だそうですが、何故かいきなり、 「橘の野郎のせいだな!」と噴き上がる剣崎。……えー、それだと橘さん、3年前に自分でアンデッドの封印解いた後、 自分で仮面ライダーとして戦っている事になるのですが、どうしてそういう発想に行き着いたのか。 主人公が好感の持てない単細胞一直線で、どういう顔をして見ていればいいのか、わからなくなって参りました。
 烏丸所長の行方を追う3人は、既に廃棄された初代の人類基盤史研究所を調査する。ここで最初に作られたライダーシステムがギャレンであり、 研究員だった橘が仮面ライダーとなった事、次に作られたブレイドの適格者として剣崎がスカウトされた事、が判明。
 一気に色々と説明されましたが、アンデッド大戦含め、基本の基本情報なので、3話で明かすぐらいなら、 1話か2話で明かしてすっきり、で良かったような。てっきりもっと引っ張るのかと思っていました(^^;
 調査中にアンデッド反応があり、現場へと走るブレイド。そこではギャレンさんが、 トナカイアンデッドにめっためたにされていた。
 いつ見ても、安定の弱さ。
 戦いに乱入するブレイド、それを見つめるカリス。
 トナカイさんの放電攻撃に苦しむギャレンとブレイドだったが、最後はバッタキックで撃破。
 「人を守ろうとする愛……その時ヤツの力は全開する、か」
 始さんも一気に恥ずかしい人に!
 始さんが最初から恥ずかし路線ならいいのですけど、そうでないのに、第3話で「愛」とか使ってはいけないわけで。
 その台詞を使っていい世界観を構築したり、段取りを踏まえる事をせずに、それっぽい台詞を置いているだけだから、 全体の雰囲気がとにかくおかしい。
 変身を解除し、よたよた逃げていく橘を問い詰める剣崎。
 「封印を解いたのはな、俺じゃない。烏丸たちだ」
 そんな剣崎に、自分視点の“真実”を告げる橘だが、剣崎はそれを信じない。
 剣崎が橘を信じないのはわかるとして、烏丸所長をやたらめったら信じている理由はよくわかりません。 まあ雇い主は雇い主なのですが、会社でのお仕事が描かれたわけでなく、二人の間に会話があったわけでなく、だからどうして、 1話で会社倒産させてしまったのか。
 証拠を見せろ、という剣崎に、アンデッドが解放されて慌てて作ったライダーシステムの為に自分の体はぼろぼろだ、 と主張する橘被告。
 「そんな……」
 ……え? それはすぐに信じるの(^^;
 とにかく、剣崎と橘にしろ、剣崎と烏丸にしろ、関係性を一切描いていないので、剣崎の、 信じる/信じないの基準がさっぱり意味不明。
 見せるべき段取りを見せずに、台詞のやり取りだけで済ませすぎです。
 いや確かに、橘さん目の前でよろよろしているけど、二日酔いかもしれないわけですよ。
 そんな橘に対して、つい先ほどまで頭ごなしに否定していたのに今度は鵜呑みにして「俺もぼろぼろになるのか?」 と大ショックを受けて膝を付くとか、あまりに思考回路が突飛に過ぎます。
 まあ前回、俺は人を信じやすいいい奴なんだ、と剣崎は主張していましたが、人が良い、というより、 脳が動いていない。
 そもそもギャレンんさんが輝いていた頃を視聴者は一度も見た事がないので、「体調万全なら、 あんなアンデッド瞬殺に決まってんじゃん、ばーか」とか言われても、脳の可哀想な人にしか見えません。
 この展開を成立させる為には、「橘さん、最高っす! 格好いいっす! 俺、尊敬するっす!」 的なシーンを先に入れておかないといけないわけですが(1話のコウモリ戦がそのつもりだったのかもしれませんが、 全くそんな感じにはなっていなかった)、そういう訳ではなく、いったいぜんたい、どうしてこんな構成になっているのか、 どうするとこういう構成になるのか。
 全てが破綻しすぎていて、頭痛くなってきた……(笑)
 なんかその内、「あの頃の輝いていた俺たち」編みたいなのが、数話入ったりするのかなぁ……(^^;
 橘が逃亡し、剣崎がガックリしている頃、下宿先に戻った始を異変が襲う。謎の粒子が部屋の中に降り注ぎ、燃え上がる写真。 その身辺に、蛾アンデッドが迫っていた……。

◆第4話「俺の気持ちをどう思う」◆ (監督:鈴村展弘 脚本:今井詔二/今井想吉)
 何度見ても、OPの最初で、皆がマネキンのように固まっているシーンで吹いてしまう。
 橘の発言について口喧嘩を始める剣崎と広瀬。冒頭から感情的なだけの罵り合いを見せられても楽しくもなんともないのですが、 ホントなんなのでしょう、この人達。烏丸を信じる広瀬は怒って部屋を飛び出していき、イライラを募らせる剣崎。
 「俺の気持ちをどう思う!」
 いや剣崎、男(虎太郎)にいきなり、そんな事聞くな(笑)
 虎太郎も君の気持ちとか、受け入れたくない(多分)。
 なんというか全体通して、「突然、会社が無くなってしまった人達」の情緒不安定という事なのかもしれませんが、一言でまとめると、 フィクションのエンタメで、情緒不安定な人々を延々と見せられても楽しくない、とこれに尽きます(笑)
 どうしてこうなった。
 一方、飛び出した広瀬は謎のイメージシーンから烏丸所長について回想。亡き広瀬父が烏丸の研究仲間であり、 広瀬は所長を父代わりに慕っていたらしい事などが判明。
 しかしこう、見ればみるほど、可愛くないな、広瀬さん……。
 剣崎と虎太郎は姉の家から連絡を受けて、異変の起こった部屋を調べる。
 虎太郎に「どいてろ」とか言って触った割に、
 「確かに溶けている。だとしたら、凄い熱を受けたことになる」
 と見ればわかる事しか言わないのに、始が理由はわからないけど自分が解決する、と言うと
 「じゃあ解決のしようがないだろ! あんまり安請け合いするなよ! 気休めにもならない!」
 ってどうして、剣崎は全方位に喧嘩を売るのか。
 誰か、剣崎の脳を修理できる人は居ないのか。
 付け加えると、怪事件に不安な小さい女の子の前で、その女の子が慕っている青年のまがりなりにも「解決する」 という言葉に罵声を浴びせるとか、剣崎さいてー、普通にさいてー。
 始は外に出てアンデッドの気配を探り、広瀬はかつて父が働いていた研究所で橘と接触、生命維持装置に繋がれた烏丸の姿を見る。 橘被告は「所長を恨んではいたが、襲ってはいない」と容疑を否認。研究所を襲ったバッタアンデッドと所長が戦おうとした為、 強引に連れ出して逃げた、との事。
 「困るんだよ。俺は、この男に死なれると」
 自分の体の為にも、烏丸には意識を取り戻して、アンデッド解放に関する秘密を語ってもらわなければならない……。
 「俺も本当は夢を持っていたんだ……剣崎のように」
 だからどうして皆、親しくもない相手を前に、急に中学生みたいな独白を始めるのか(笑)
 そして広瀬は、烏丸の研究仲間であった亡き父が、母の病気を治す為にアンデッドを解放したのではないか、と疑念を抱く……。
 その夜、剣崎と虎太郎はまたも星空の下でニヤニヤしながら語り合っていた(気持ち悪い)。
 「俺……不器用でさ。あんまりうまく、友達作ってこれなかった。でも、虎太郎は心配してくれる」

 「心配するよ……君は、大切な 取材源 友達だから」

 態度と脳の具合が悪いのを、「不器用」で誤魔化したッ!
 それはどうか。
 だいたい冒頭で「俺の不安な気持ちを理解しろ」みたいな事を出会って数日の相手に強要していたのに、 ちょっと心配されたら「今まで人に心配された事がない」みたいなハイテンションになる剣崎の脳の構造が本気でよくわかりません。
 剣崎に友達が居なかったのは間違いなく、「不器用」以外の理由だと思う。
 ここで、橘の言った事について考えていた剣崎が、「世界を守ってぼろぼろになって滅びるならヒーローみたいでそれもいーかな」 と言って虎太郎が即座に「いいわけない」と返すのは良かったのですが、剣崎が空元気で言っているのか本気で言っているのか、 いまいちわからず。話の流れからすると空元気なのですが、後のフォロー無しを考えるとどうも本気らしく、それならそれで、 もっと真面目に言わせても良かったかと思います。
 ふだん恥ずかしい台詞を恥ずかしげもなく垂れ流しまくっているのに、どうして、肝心な所で恥ずかしがるのか。
 あと、男2人が星空を見上げるロマンチックシーンはいらないから。
 夜が明けて、蛾アンデッドと接触した始は、本編初のカリス変身。自分を心配してくれた広瀬を「友達2号」 認定した剣崎は現場へと走り、ブレイドは今週もバトル乱入。カリスはそんなブレイドを囮に利用すると、 アンデッドの弱点を見定めて狙撃。怒りのブレイドはカリスに突っかかるが殴り飛ばされ、 ここに場外乱闘第二ラウンドがスタートするのであった。
 始さん視点で行くと、「大家さんと大事な娘さんの前で、生意気言ってくれたじゃねえかこのくされタマネギ野郎? あぁん?」 みたいな感じなので、まあ、制裁を受けても仕方がない。
 一方、烏丸の回収を目論む広瀬は、虎太郎を連れて研究所へと赴くが、その目の前で所長の体が燃え上がる……!
 うーん……脚本家の人の特撮もののイメージが、ジュベナイルなのかなぁ……これ、キャラクターが全員、中学生だと思うと、 色々な発言に納得できない事もないでもありません。剣崎と虎太郎の描き方とか、「(フィクションにおける)中学生男子の友情」 だと思うと、なんかわかる。
 設定年齢は知りませんが、全員、見た目から5〜10歳若いと思えば、突飛な言動も、いきなりの恥ずかしい独白も、ああうん、 みたいな。(方向性のニュアンスがわかる、という意味であって、ジュベナイルならこれでいい、という意ではありません)
 さて、なんとなく文章が始さん押しになっていますが、カリスのデザインが好きというのと、主に今のところ、 多少なりとも好感持てる登場人物が始さんしか居ない、という、事情によります。誰か早く剣崎を治療して下さい。

◆第5話「ヒロイン・サバイバル」◆ (監督:長石多可男 脚本:今井詔二)
 広瀬さんがもうちょっと可愛かったら、色々こう、もう少し違うのではないかな、と思う今日この頃。現状、 悩めるヒロインポジションなのですけど、この率直なところ見た目が可愛くないのと、 演出や脚本で可愛くしようという努力が一切感じられないのはどうか。
 そんな眉間に皺系ヒロイン広瀬の前で炎上し、灰となった囚われ系ヒロイン烏丸所長……だが現れたか弱い系ヒロイン橘は、 現場に越されたマグネシウムの粉から、それが発火装置を使ったトリックであり、燃え上がった烏丸はバーチャル映像、 本物の烏丸の身柄はどこかに運び出されたに違いない、と推定する。
 なんかどうも脚本家の中で、「バーチャルだ」と言うと色々解決する事になっている模様(^^;
 一方、カリスと激突するブレイドであったが、烏丸炎上の件を虎太郎が伝えに来た事で水入り。カリスはいずこかへと姿を消す。 ……ライダー同士が殴り合っている所に平気で話しかける虎太郎の脳にも、治療が必要かもしれない。
 亡くなった人の声が聞こえるという噂の、呼子の洞窟へと行きたがるほだし系ヒロイン天音だったが、 人妻系ヒロインである母に拒否され、虎太郎の元へ。最初は断る虎太郎だったが、父親の声を聞く為に一人でもどうしても行く、 という天音に折れて、一緒に行く事に。
 この際、ちゃんと正面から、噂はおそらく風の音や波の音を都合よく解釈した幻想である事、「行ったら二度とそういう事言って、 お母さんを困らせない。約束できる?」と小学生の女の子に話せる虎太郎は、なかなか立派。 取材源とはいえタチの悪い無職二人を同居させていたり、劇中で最も器の大きい人物なのかもしれません。
 そこへにっこり笑って、何故か呼子の洞窟への同道を申し出る剣崎。
 「俺も行くよ」

 来なくていいよ!

 どうしてこの男は、身内のデリケートな話に首突っ込もうとしますか。
 結局3人で洞窟へ向かう事になるが、そこへ天音を連れ戻そうとやってくる始。
 「良かったら一緒に行くか、君も」
 「好きじゃないんです、人とつるむのが」
 「ああそう! 悪かったね俺たちは、つるんでばっかりで!」
 今日もひたすら、喧嘩を売り歩かずにはいられない剣崎さんであった。
 道中、剣崎の両親は火事で死んでいた事(初回からイメージシーンで何度か挿入)、
 「その日からなんだ……俺が欲張りになったのは。みんな助けたい、全部俺の手で助けたい、って。そんな能力もないんだけど」
 という辺りが語られるのですが、毎度の事ながら、キャラクターの肉付けがそれ単独で突然挿入されるので、 ついていくのが大変です(^^; そこで剣崎の背景を語るなら、 出発前に始に憎まれ口叩かせて剣崎の性格悪いアピールを積み重ねなくていいと思うのですが、とにかく流れがちぐはぐで、 物語進行の為の会話と設定説明の為の台詞が分裂しすぎて、主人公の人格がひたすら安定しません。
 というか、小学生の女の子に、重い砲弾を投げ返すな。
 立ち入り禁止の鉄条網をくぐって呼子の洞窟へ入った3人だったが、 洞穴内で人々を襲っていたムカデアンデッドの毒液を浴びて天音が倒れてしまう。剣崎はブレイドに変身して戦いムカデは逃げるが、 天音が原因不明の高熱を出し、二人は慌てて病院へ。
 役に立たない二人は始さんにマウントポジションで泣くまで叩きのめされるべき。
 病院で二人の口からムカデアンデッドの存在を聞いた始は「抗体が必要だ」と走り出し、説明を求める剣崎を殴り飛ばす。 アンデッドの毒を治療するには、生きているアンデッドから抗体を取り出さなくてはならない。しかし、 定宿にしているどこか不幸系ヒロイン女医さん宅で原因不明の病気が連続しているという情報にアンデッドの存在を感じた橘ギャレンが、 いちはやくムカデと交戦状態に入っていた。
 ギャレンにムカデを倒されると抗体を手に入れる事が出来ない……急ぐ始だったが、大丈夫、その人、弱いから。
 カリスはギャレンとムカデの戦いに乱入し、始を追っていた剣崎もその場に辿り着く。 自分の体を治すにはアンデッドを倒して封印し続ける事が必要だ、と是が非でもムカデを倒そうとするギャレンを止めるべく、 ブレイドに変身する剣崎。二人が後方で掴み合いを演じる中、カリスは必死に、抗体の在処を探り出そうとしていた。
 ……て、抗体って、血液とか体液の中に含まれるものではないのでしょうか? ムカデ抗体袋みたいなものがあるのか。

→〔その2へ続く〕

(2014年2月14日)
(2017年3月19日 改訂)
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