■『キカイダー01』感想まとめ5■


“発見! 敵の基地
行くぞ嵐の急降下”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『キカイダー01』 感想の、まとめ5(25話〜30話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕


◆第25話「悪魔の子ザダム 月世界基地発進」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳)
 「まんーーげつよ、あかーい満月よー。生み月は来た。今こそ産み落とせぇ!」
 虫歯菌もといビッグシャドウが月に向けて朗々と吠えるシーンから始まり、やはり、 オカルト系組織なのではないか、シャドウ。
 月世界基地で完成し、地球へと飛来したザダムは、横に並んだ二体の悪魔が胴体部分でくっついているという、 着ぐるみの内部的にペスター(『ウルトラマン』の怪獣)体型で、見た目的には面白いのですが、動けるのか……?
 「今日よりおまえは、我がシャドウの最高幹部。おまえの下にハカイダーとシャドウナイトが付く」
 ビッグシャドウは早速の辞令を下し、最高幹部ハカイダー……降格、早かった(笑)
 「「ビッグシャドウ様に代わって、お前達に第一の命令を与える」」
 ザダムの順応も、早かった(笑)
 「ええいザダム、おまえに勝手な真似はさせん!」
 「行くぞーザダム!」
 降格した二人の、反抗も早かった(笑)
 「「ばーかめ」」
 蹴散らされるのも、早かった(笑)
 まさしく電光石火の人事異動により、あっさりと最高幹部の座を失ったハカイダーと、完全に出世レースから脱落した感のあるナイトに、 新たな上司から下される命令、それは――
 「「俺が月世界基地より、発進したところを見ている天文学者たちが、数多く居る」」
 おいザダム。
 「「月世界に我がシャドウの基地がある事を、人間共に知られるのは好ましくない。全て殺してこい」」
 ……大変雑だった。
 かくして上司の尻ぬぐいもとい天文学者狩りの雑用を始める降格コンビは、ミサオとヒロシが上がり込んでいた天文学者の家に乗り込むが 、イチローの悪のあるところセンサーにかぎつけられてしまう。
 不自然さの解消の為か今回のオチの布石か、書き割りとバンク映像でジローが久方ぶりに参戦し、窓際コンビを蹴散らす兄弟だが、 天文学者父娘はさらわれてしまい、罠とわかって飛び込むイチロー。
 「命を賭けても人を助ける。それがキカイダー01の使命です」
 ヒーローのアイデンティティを確認するイチローだが、ザダムの仕掛けた罠により、父娘ともども、まさかの宇宙へ。
 イチローらを閉じ込めたロケットが発進するシーンで、右下にアイキャッチタイトルが出てAパート終了、というのは、 淡々加減が妙に面白かったです(笑)
 「あのロケットを、月世界基地に、送ってやるんだ」
 Bパート冒頭では、既に月へと近付くロケットの姿が映し出され……悪魔の使者ザダム、 初陣にしてイチロー兄さんに一番与えてはいけないものを与える大失策で、今後が大変心配です。
 某どこかの次元戦団のように、嫌な上司の出現により友情パワーに目覚めたハカイダーとナイトは、 上司の足を引っ張り寝首を掻いてやろうと、一斉にケチをつけて責任問題に言及。
 「「よかろう。それほど心配なら、お前達も月世界基地に送り込んでやろう」」
 藪蛇だった(笑)
 「「この俺は超能力者なのだ」」
 そして、また余計な事を(笑)
 月世界では低重力がスローモーション?で表現される一工夫が入り、地球に帰還するべくロケットを修理しようとしたイチローは、 妨害に現れた月面シャドウマンと戦っている内に、基地破壊センサーの赴くままに月破壊基地の内部に侵入。
 「よし、基地を爆破してやる」
 案の定、シャドウにとっては最悪の化学反応が発生し、基地爆破の準備を整えたイチローはロケットの元へと帰還するが、 そこには超能力で月面に送り込まれたハカイダーとナイトが待ち受けていた。
 「いくらおまえでも、自力で地球まで帰る力はあるまい」
 「ははははははは、ここが貴様の墓場だ!」
 「その前に、貴様達の墓場を作ってやる!」
 父娘を救うべく、修理を終えたロケットを発射させたゼロワンは、シャドウの部隊と激突し、 月面に見立てたセットでのアクションシーンは画面に変化がついて悪くない感じに。地球を背負って戦うゼロワン、 というのも独特の画になりました。
 「貴様の言う通り、俺の命もここで終わりだ! パワーを残しておく必要は無い。俺の持っている全てのエネルギーを使えば、 10倍のパワーになるという事をよーく覚えておけ!!」
 潔いというか諦めの早いイチロー兄さんはとんでもない事を言い出し、群がる戦闘員を次々デストロイ!
 「「むぅん? まずい。このままでは二人とも殺される。どうせゼロワンは地球へは戻れない。ハカイダー達は助けてやるか」」
 戦いが盛り上がってきたところで、物語の流れが思い切りよく断ち切られて月面をモニターするザダムの視点が唐突に割り込み、 再び場面が月面に戻ると、既にイチローが変身を解除して戦闘が終わっている、という超編集が今回も炸裂するのですが、 あまりにも冷静かつざっくりな死亡判定と慈悲深い回収作業により、上司としてのザダムの株は上がる事に(笑)
 そして、月面に独り残るイチローは地球を見つめ……
 「さよなら、アキラくん。さよなら、ヒロシくん」
 事ここに及んでも清々しい笑みを浮かべるイチローですが、アキラと同列に扱うほどヒロシと会話した記憶が無い事もあり、 どちらかというと、アキラとヒロシが退場する前振りに思えて困ります。
 果たしてこのまま、イチローは冷たい月面に取り残されてしまうのか……?
 ナレーション「この時、突き進んでくる飛行体があった!」
 だが勿論、兄さんの危機には宇宙空間だって突っ切るぜ! とジローが回転しながら飛んできたのかと思ってドキドキしましたが、 やってきたのはダブルマシン。体内コンピュータで兄の危機を知ったジローが、エネルギーを補給したダブルマシンを、 月へと送り込んできたのであった!
 イチローに何かあるごとに体内コンピューターから「イチロー兄さんが洞窟に!」「イチロー兄さんが今度は海底に?!」 「う、宇宙……?!」とメールが届くジローのヒーロー人生も、なかなか大変です。
 シャドウの月世界基地が爆炎に飲み込まれる中、遂に宇宙で基地破壊を成し遂げたイチローは、ダブルマシンにまたがり、月を後にする。
 「これで、シャドウ月世界基地はなくなった。月は誰のものでもない。……月よ、いつまでも、夢と憧れの世界であってほしい」
 作品のトーンからすると妙に情感たっぷりに月に別れを告げるイチローですが、 1969年に有人月着陸を成功させたアポロ計画が1972年のアポロ17号を持って終了し、 冷戦の緊張緩和も影響して米ソの宇宙開発競走が終焉に向かいつつ合った時代であり、そんな世相を反映、 あるいはスタッフの思い入れがイチローの言葉となったのかもしれません。
 地球ではアキラ達が空を見上げ……イチローの帰りを待っているのかと思いきや、「俺も父ちゃんがほしい」と 全く関係のない話題を持ち出して唖然とするのですが、もはや、アキラくんの心のケアに必要なのは、 メモリーポリスなのではないか。
 「「おのれゼロワン! このザダム様の、初めての作戦を打ち砕くとは」」
 負け犬の遠吠えコーナーを奪い取ったザダムが、ゼロワンを「超能力で倒す」と不穏な発言をし、 月面決戦で最終回の危機を乗り越えたイチローの、果てしなき戦いの旅はつづく!
 ここ数話、五里霧中のどん底を這い回っていた『01』ですが、リエコ退場で何か吹っ切れたのか、比較的軽快に進行。 クライマックスバトルで超編集が炸裂してしまいましたが、ジャイアントデビルを窓から放り捨て、 「新幹部ザダムの罠がゼロワンを苦しめる」という明確な指針があった事も手伝って、スピード感のあるトンデモ展開が、 序盤を想起させる変な面白さの領域に到達し、なかなか楽しむ事ができました。
 ザダムが前線に自ら打って出ず、ハカイダーとナイトを手足として扱う事で、 今作必殺の、悪役デフレスパイラルに巻き込まれなかったのも、良し(笑)
 その代償として、ビッグシャドウへの忠誠回路が埋め込まれた筈のハカイダーが、 ビッグシャドウの任命した上司に歯向かう頓珍漢な事態となり、合わせてマネジメントの雑すぎるビッグシャドウの株価がまた下がりましたが、 組織の人事は、コーヒー占いで、決めています!!

◆第26話「南紀の死斗!! ザダム超能力発揮」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳)
 露天風呂に天狗怪人が転がり落ちるのは、タイアップとして有りなのか問題。
 亡きウチヤマ博士の開発した念力遮断回路がゼロワンに組み込まれるのを阻止せよ、というザダムの命令を受け、 博士の娘・カツラを狙うハカイダーとシャドウナイト。
 もはやごく普通に同行しているアキラ・ヒロシ・ミサオの3人組は船旅の途上でカツラと知り合いになり、 かくれんぼの鬼になったミサオが「もういーかい」とやって目を閉じると、効果音と共に周囲に白と黒のスーツの集団が背中を向けて現れる、 というのはなかなかエキセントリックな演出。
 ……まあミサオは、特にリアクションせずに普通にかくれんぼを始めてしまうのですが(笑)
 このぐらいの認知のねじれは、『01』世界ではふつー、ふつーです。
 「俺はシャドウロボット背番号307。天狗ムササビ!」
 白いスーツに天狗面を被った怪人はカツラを狙い、名乗ると共に怪ロボットへ変身……と思いきや、 山伏姿に天狗面の怪人へと変貌し、絵面の面白さを優先して、着ぐるみ怪人の存在を否定してきたぞ! (※天狗としては、こちらが普段着、とはいえますが)
 天狗山伏軍団に取り囲まれるカツラ達だが、その時、トランペットの音色が響き渡る。
 「誰だ?!」
 「俺か? 俺を悪を滅ぼす正義の戦士――俺の名は、キカイダー01! そして俺の使命は、貴様達のような、悪を懲らしめる事だ!」
 イチローが現れると天狗は逃走し、フェリーの旅を終えた一行は、超能力学会研究発表会の行われる南紀勝浦はホテルながやまに辿り着く。
 南紀勝浦においての襲撃では、天狗ムササビが怪ロボットの姿を披露(……まさか、荷物の関係で船内に持ち込めなかった……?)。 そこに今日も書き割りのジローが現れるとバンクで変身し、なんだか色々、制作陣の開き直りが窺えます。
 カツラをガードするゼロワンの前にはザダムが姿を現し、瞬間移動と強烈な念動を操るザダムに、さしものゼロワンも苦戦。 念動力でゼロワンの左腕をもぎ取り、その動きを支配したザダムだが、 ゼロワン敗れたりと姿を消した後にキカイダーが助けに来る毎度お馴染みの身も蓋もない展開で、 出てきたら出てきたでキカイダーが大抵のトラブルを解決してしまうのがどうにも締まりません。
 カツラの厚意により念力遮断回路を入手するイチローだが、もはや狙われる理由が無くなった、 と南紀観光を楽しもうとするカツラ達は、ザダムの命令を受けた天狗ムササビが失敗すると気分がいい、 というだけの理由でハカイダーとシャドウナイトに襲われ、元最高幹部の二人が積極的に株を下げる事で、 現最高幹部の株を上げる、『01』ミラクル(笑)
 まとめて爆殺されかける4人だが、念力遮断回路の調整を終えたイチローが駆け付けると、チェンジゼロワン。 厚い友情に燃える降格コンビはもはや前座扱いでゼロワンカットでまとめて叩き伏せられ、 天狗ムササビはあっさりブラストエンド。
 天狗面×白スーツ、という絵面の面白さが全てで、これといった能力もないただのお邪魔虫という、実に今作らしい雑な怪人でありました。
 だが、カツラはザダムによって捕らえられてしまい、ブラック前座ーズの二人は、背番号37地獄河童と組んでゼロワンを倒せ、 とザダムより命じられるのであった……。
 次回――「この作戦の核弾頭となる、地獄河童。シャドウナイトの、眼力殺人光線が光る時、この地獄河童は、体全体が水爆となる」
 3日間徹夜明けのテンションで書かれたような予告で、果てしなき戦いの行方はどっちだ?!

◆第27話「秘境の激戦!! ザダムの地獄の罠」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳)
 瀞峡観光ウォータージェット危機一髪! ホテルながやま自慢の黒潮焼きに人間爆弾の罠が待つ!!  ……みたいな感じで、やりたい展開とタイアップ上のオーダーがこんがらがった挙げ句に、 観光地のど真ん中で水爆が弾け飛ぶカタストロフを迎える南紀勝浦後編。
 「馬鹿め! 俺の体には、もう、念力遮断回路が組み込まれている。貴様の念力も、俺には通用せん!」
 イチロー兄さんはザダムに対して勝ち誇り、こういう時の兄さんは本当に愉しそう。
 デザインの都合で身軽に動けないザダムが短距離瞬間移動能力でそれを補うのは成る程というアイデアで、 ゼロワンに念力を直接ぶつけるのではなく、落石により間接的に攻撃するという知謀も見せるが、ゼロワンキックを受けて逃走。
 改めて地獄の罠作戦を展開する事にしたザダムは、ゼロワンをデスポイントに誘き寄せる為に、 時限爆弾内臓の地獄ベルトを取り付けたカツラを解放。一方のイチローは、ザダムと戦った手応えから、 月で開発されたザダムの弱点に見当を付けていた。
 「日光の下では、5分と保たないに違いない」
 もうだいぶ慣れましたが、作戦スタートと黒潮焼きを挟んで、突然、海岸線で一騎打ちが始まって大変謎(笑)
 (2分……ザダムは、苦しさを隠しているな。あと何分保つ)
 鬼畜な笑みを浮かべながら、ゆっくりとカウントダウンするイチロー。
 (2分半……)
 ザダムが念力を放とうとすると、イチローは体内に蓄積されている太陽電池のエネルギーをヘルメットから放出し、 それをまともに浴びたザダムは撤収。
 「日光の下での限界時間は、3分間」
 キカイダー01と裏返し、という意図なのか、早くもかなり致命的な弱点が発覚し、ザダム……そして、 ゼロワンの弱点は現在ほぼ有名無実になっているので、あまり裏返しになっておらず、ザダム……。
 基地に逃げ戻ったザダムは、弱点バレたら困るでしょ! とビッグ社長から怒られ、 最高幹部なんだから前面に出ないで部下を使いなさい、と今更ながら経営体制の見直しが行われる事に。
 その頃、ホテルながやまに運び込まれていたカツラが目を覚まし、ザダムに暗示された時限爆弾解除の為に瀞峡へと急ぎ、 罠作戦が進行中に突如としてザダムの弱点を確認する為だけの一騎打ちが挟み込まれ再び罠作戦が再開するという、目眩のする構成。
 「「既に、地獄の罠作戦は開始された。シャドウナイト、よいな、おまえはこの地獄河童と組んで――」」
 「断る!」
 「「なに?!」」
 そして、部下との意思疎通は全く出来ていなかった。
 あと20分で約束の3時になるんだよ?! とザダムは、一度目標の背中に張り付いたら離れない(実験のサンプルとなり、 地味にそして確実に格を下げる事に余念の無いハカイダー……)地獄河童の能力を紹介し、 ゼロワンに対する恐るべき罠に納得したナイトは出撃。
 瀞峡観光ウォータージェット上では、イチローが地獄ベルトの取り外しに成功するが、 その一瞬の気の緩みに付け込んで背後から襲いかかった地獄河童がイチローの背に張り付き、 チェンジ01しても振りほどく事ができない。そこに計画通りにナイトの眼力殺人光線が突き刺さり、シャドウの超魔術により、 全身が「水爆」と化す地獄河童!(着ぐるみから姿を変えた造形が怖い)
 「ふふははははははは! 飛べ! 早く飛べゼロワン! 俺はこの地獄の罠作戦の仕上げに入る! 貴様はバラバラの部品になって、 くたばるのだ!」
 吊り橋の上で最後の一撃のタイミングを計るナイトの言い回しはなかなか格好いいのですが、お望み通りに飛び上がったゼロワンは、 ナイトが何をするよりも早く、ゼロワンアッパーからの連続攻撃を叩き込み、 ナイトが倒れている隙にゼロワンドライバーの高速回転により河童を吹き飛ばしてしまう(笑)
 地上で唯一の特殊能力を打ち破られた地獄河童は川に落下すると大爆発してバラバラの部品となり、ここで主題歌が入るのは、 なんだかんだと格好いいヒーローのターン。
 「シャドウナイト!」
 「おのれゼロワンめ! 地獄の罠を破るとは」
 そしてとうとう、これといって目立つ仕事もないまま一時期は若い女性を狙う連続通り魔にまで落ちぶれ、 倒しても別に山場にならない存在ゆえにしぶとく生き延びていシャドウナイトは、ブラストエンドの直撃を受け、 吊り橋の上で無惨に大爆死。……一応、どさくさ紛れにポイ捨てされるのではなく、作戦のキーマンとして最期を迎えた、というのは、 今作の怪人にしては恩情を与えられたといえるでしょうか。
 シャドウ組織の古参としてハカイダーといがみ合うポジションそのものは悪くなかったと思うのですが、肝心のハカイダーが、 悪のルーキー幹部として嫉妬するほどの活躍をするわけがない、反抗的なようで最高権力者には速攻で土下座、 デフォルトで錯乱しているので言行がコロコロ変わる、為に組織内部の対立構造が筋が通る形で成立されずじまいであり、 そのポジションを活かす事が出来ませんでした。そして何より、明らかに着ぐるみがアクション向きでなかったのが、致命的弱点。
 「綺麗な景色を見て、美味しい物をたくさん食べて」
 「いいところだね、勝浦って」
 「うん!」
 3人まとめて完全に脇役パックと化しているミサオらはフェリーで去るカツラを見送り、今日も今日とて遠吠えタイム。
 「「ぬぅ……ゼロワンめ、このザダム様を一度ならず二度三度と愚弄するとは。このままにしておかぬぞ! よいなハカイダー」」
 「……言うまでもない。気に入らん奴ではあったが、シャドウナイトの仇は、きっとこの俺が討つ」
 ハカイダー3人衆についてもですが、ハカイダーが死んだ相手には妙に情の深いところを見せるのは、 ライバル体質の名残なのでしょうか……。
 次回――世にも美しい新兵器、美女・人魚姫登場!!
 「その美しさに人々を催眠術にかけ、たちまちロボットにしてしまう」
 「また、その回転スピンビームを見た者は、たちまちめくらとなる」
 「そしてまた変身して、人魚ロボットとなれば、体中が新兵器となる」
 「次回――「狂った街 恐怖の人魚姫大逆襲」」
 前回今回と、予告から迸る狂気が一つ上のステージに上がった感がありますが、果てしなき、シャドウ組織との戦いの道はつづく!

◆第28話「狂った街 恐怖の人魚姫大逆襲」◆ (監督:今村農夫也 脚本:曽田博久)
 地球は止まっている、トンボの標本を指してこれは蝶、などと主張し始める進学塾の教師……その正体はシャドウマン!  の顔に狂ったサブタイトルがかかる、不気味な導入。
 家では両親の様子がおかしくなり、街ではトラックの運転手が暴走し、警官が子供達に銃を向けるが、そこに通りすがるイチロー兄さん。
 「さあ、俺の透視光線を受けてみろ!」
 新技を発動すると、ロボットの正体が曝された警官は慌てて逃げ出し、街の大人達がいつの間にかロボットにすり替わっていたのだ!  というのを子供視点のスリラーとして描く方向もあったかと思うのですが、カメラがシャドウ基地に切り替わると、そこではハカイダーが、 亡きシャドウナイトの分まで、作戦にケチをつけて社長に噛みついていた。
 「シャドウの新兵器は馬鹿ではないわ!」
 「えーい、なんだと? その言葉、俺に対する面当てか。誰だ。誰なんだ。言え!」
 頭脳回路の調子について内心気にしていたらしいハカイダーが社長に突っかかり、 毎回のように混迷しているハカイダーの忠誠度100設定ですが、シャドウの主張する科学=概ね呪術だとすると、 月の満ち欠けなどの影響で、忠誠の呪いの効果に差が出るのかもしれません。
 社長命令によりザダムは作戦を担当しているロボットを紹介し、幕が上がると基地の中に巨大な真珠貝、 という狂った絵面に思わず後ずさるハカイダー(笑) そして、貝の中から現れたのはヴィーナスならぬ謎の美女・人魚姫。
 「酷い……これは酷い……! なんという不美人だ。ブスもブス、世界最低のドブスだ! いかん! 心臓回路が、 ショートしそうだ……これは、いかん……」
 その姿を見たハカイダーは動悸が激しくなって倒れそうになり、「「ロボットには全てのものが反対に見える」」 という衝撃の事実が明らかになるのですが、まあここで言う「ロボット」は、「(シャドウ製の)ロボット」という認識が無難なように思えます(笑)
 人間の世界では大変な美人である人魚姫は、貝殻を閉じると醜悪な人魚ロボットへと変身し、思わずかぶりつきで見とれるハカイダー。
 「おお美しい……なんと美しいのだ。つぶらな瞳……愛らしい口元……優雅な鼻……心臓がドキドキする。俺は恋をしたのだろうか。 いかん! いかん! ハカイダーたるものが、こんな事ではいかん!」
 大丈夫大丈夫、今作始まってから、大体ずっと、そんな感じだから……。
 俺はストイックでハードボイルドで、口笛の似合うライバル属性の男、と自分に言い聞かせるハカイダーだが、人魚ロボの魅力に抗えず、 仕事を手伝うように命令されると色々と言い訳しながら同行する事を選び、ゼロワンと激突。
 「今日の俺は燃えているんだ。死ねゼロワン。今日こそ、冥土へ送ってやる」
 せん妄状態の悪化しているハカイダーは愛の力でイチローに襲いかかるが、戦闘力の方は一朝一夕では強化されず、人魚ロボットが介入。 人魚スピンビームと自称されているが光線技というよりは音波もしく振動技むしろ魔法、 により目を潰されたゼロワンとハカイダーは両者戦闘不能となり、ここでザダムが出馬すればゼロワンを葬り去れた可能性もあったと思うのですが、 今回のシャドウ上層部は全員、恋の魔法に脳をやられているのでみすみすスルー。
 この後、錯乱状態でアキラくんの首を絞めたりもしたイチローが自己修復を試みるも失敗し、 チェンジしてみるも両目から白煙を噴き上げてのたうち回った挙げ句に変身解除、というのがなかなか凄いシーン。
 現在、ジローの体内コンピュータに、イチローの危機を知らせるLINEメールがびゅんびゅん飛んでいます。
 「人魚の踊りに目がくらんだってなんだよ兄さん?!」
 ジローがサイドマシーンを繰り出すかやや悩んでいる頃、街では次々とコピーロボットが生産されていき、 視覚も戻らず変身も出来ぬイチローはしかし、アキラ達の危機にやたらヒロイックな新曲で駆け付ける。
 「ゼロワン、参上!」
 再び放たれる人魚スピンビームという名の恋の魔法だが、チェンジゼロワンしたイチローはそのエネルギーを逆に利用し、 「恋って魔法みたいなものでしょ。好きな人の事を想うと、それまで不可能だった事でも出来ちゃったり」して視覚を回復。
 だがその前に、恋の魔法にかかったもう一人のロボットが不可能を可能にする為に立ちはだかる。
 「風の如く現れる、ゼロワン殺しの切り札、その名は無敵のハカイダー。人魚姫よ! 俺の強さを見ていてくれ」
 そうだ、俺に足りないのは、ここぞという時の決め台詞だ、と自己評価の混迷も極まったキャッチコピーでテンション上げながら迫るハカイダーは、 怒濤の空中クライマックスコンボに持ち込むが、ゼロワンカットであっさり破られると、 物凄い勢いをつけて顔面から思い切り地面に叩きつけられ、恋の魔法も一瞬で醒めるいつものハカイダーでした。
 人魚姫は、頼りにならない男の代わりに自らロボット形態に変身し、その美しさにゼロワンが戦闘を躊躇したらどうしようかと思ったのですが、 ゼロワンドライバーからのチョップで鼻を削ぎ落とし、さすがゼロワン鬼畜。
 「黙れ、化け物!」
 「度重なる、侮辱……許せない! おまえを倒す為に、もう恥も外聞もない。女の全てを懸けた、人魚ボイン爆弾を受けてみよ!  死ねゼロワン!」
 胸の巻き貝を外して投げつける人魚だが、ゼロワンは軽々と「ゼロワンキャッチ!」(どうやらこれも、 発動する事で飛び道具を無効化する、事象変換系の技の模様)すると投げ捨て、もう一つも蹴り落としてから、必殺のブラストエンド。
 人魚ロボットは、誰にも最期を見られたくないと貝の中に潜り込み、ゼロワンを呪い続けると言い残して大爆死。 かくしてシャドウのロボットシティ計画は水泡に帰し、イチロー達は船上の人となって南紀勝浦を離れるのであった……。
 「人魚姫よ……死ぬ時は一緒と思っていたのに、おまえは先に死んでしまった。必ず、この仇を取ってやるぞ。ゼロワンを殺さぬ限り、 おまえの魂も地獄で安らかに眠れまい。必ず、必ずゼロワンを殺してやる」
 既にこの時代に存在していた東映名物・勝手にお墓(まあ今回はロボットですが……)に誓うハカイダーですが、 基本いつもの遠吠えと変わらないので、これといって情感が増したりはしないのでありました。
 リエコ爆殺を契機に、良くも悪くも長坂脚本が疾走感を取り戻しつつあるここ数話ですが、この後、 80年代戦隊の中核を担う事になる曽田先生が参戦。
 ハカイダーの脳の状態がまた一段と悪化しましたが、忠誠度100設定の混乱といい、唐突に思い出される設計図の件といい、 単純に設定関係の伝達が上手く行っていないのか、フォローを入れようとして傷口を広げてしまったのか、 『01』サブライター回にまま見られる混乱がどうにも気になり(監督などは把握している筈なのですが……)、せめてこの辺り、 脚本家の間で文芸関係(劇中ギミックの取り扱いの変化状況)が共有されてくれれば……と、つくづく思うところです。 脚本オーダー時点では間違っていなかったのに、それから数話の内に全然違う状況になっていた、という可能性も今作だとありそうですが。

◆第29話「赤鬼 青鬼 恐怖の100億V!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:曽田博久)
 ナレーション「なんと巨大なシワの多い脳味噌であろうか」
 脈動する肉塊で表現されたゲスト女優の脳味噌について解説される特撮ヒーロー番組は『01』だけ! ……だと思いたい。
 「雷じゃないわ。もう許せない。誰ですー。神聖な科学実験の邪魔をするのはー!」
 悪魔の槍と魔神の球を触媒に、雷の精霊力を集める事で新たなロボットを生み出そうとするザダムであったが、 鳴神カミナリ研究所の実験が儀式の障害となった事からその排除を指令し、ここに、科学vs魔術の宗教戦争が勃発!
 実験装置を破壊して逃走したコマヅカイダーがイチローの目を引きつけている間にザダムは儀式を再開し、 100億ボルトの精霊エネルギーを宿した、雷神プラス(赤)と雷神マイナス(青)が誕生。これに気付いて立ち向かうゼロワンだが、 雷神兄弟のエレキテルクロスを受けてまさかの爆発炎上し、天空高く吹き飛ばされて一時退避を余儀なくされる完敗を喫してしまう。
 「おまえたちには二つの使命がある」
 気をよくしたビッグシャドウは、雷神兄弟に「電気ショック作戦」と「100億V作戦」の二つの指示を与え、第一に、 電気ショックにより人間どもを無気力にする電気ショック作戦!
 「無気力になった人間どもは、やがて、怠け者になるだろう。見よ!」
 ビッグ社長が指し示したスクリーンにはナマケモノ(動物)のイラストが映し出され…… え? その「ナマケモノになる」の?!  ……なにぶん、勢いで豚の惑星計画を実行に移した前科がある組織なので、どんな黒魔術を用いてくるのか、油断なりません。
 そしてもう一つは、ゼロワンを抹殺する100億ボルト作戦!
 「100億V作戦とは、おまえ達の100億Vの力でゼロワンを殺す作戦だ!」
 ……社長、それは、「作戦」ではなく、「願望」なのでは……。
 「しかし、100億Vの力は一度しか使えない。たった一度だ。忘れるな」
 強敵・雷神兄弟に致命的な弱点が発覚していた頃、イチローはミサオらと共に鳴神カミナリ研究所に身を寄せていた。 鳴神博士は付近で起きていた雷の異常発生を調査中に死亡し、博士の忘れ形見である天才少年と、 博士の助手であり少年の家庭教師である女性科学者がその遺志を継いで研究を続行していたのだが、 女性科学者が電気ショック作戦の餌食となってしまう。
 雷神兄弟が標的を挟み込んで精霊魔法を発動すると、標的の動きが停止して頭上に魔法陣もとい雷太鼓が浮かび上がる、 というやけに凝った演出で電気ショックが描かれ、雷神兄弟が雷太鼓を叩くバチで「+」と「−」を表現するのも面白く…… 今作でほぼ始めて、怪人のギミックの見せ方に面白さを感じた気がします。
 勤勉で優秀だが傲慢で視野の狭いところがある女性学者が、電気ショックを受けた事によりソファで寝そべりひたすら飴を舐め続ける人格になってしまう、 というのもキャラのギャップが作戦を効果的に印象づけ、「怪人の個性」と「作戦の内容」が同調し、 殴り合っている内に超編集が炸裂する事もないまま筋道立てて進んでいくという『キカイダー01』らしからぬ内容(笑)
 ……まあ、100億V作戦を実行すると魔力が尽きてしまうので、電気ショック作戦の展開中にキカイダーが現れたらひたすら逃げろ、 という運用方法への根本的な疑問はありますが、作戦考えたのがビッグシャドウなので仕方ない。
 次々と街の人達を廃人にしていく雷神兄弟は遂に大規模な儀式魔法を発動し、街の上空に浮かぶ大量の雷太鼓は、 インパクトもあり素敵な映像。これを察知したイチローだがアキラと鳴神少年を連れて逃げるのが精一杯で、 丸ごと無気力になってしまった街の人々達は、ビッグシャドウの予告通りに木にぶら下がり…………物事の基本は、体力!
 街中の人々がナマケモノのごとく木にぶら下がる姿は集団発狂感溢れるのですが、実際に人間がやってみるとわかった事は、 「怠けている」というよりも「体を鍛えている」ように見えるという事実。
 ここまでシャドウ組織にいいようにされていたイチローは、雷神兄弟攻略の秘策を閃くと、赤鬼青鬼、 そしておまけのザツヨウダーに立ち向かっていくが、+−金縛り攻撃を受け、100億ボルト電気椅子に座らされてしまう。
 「どうだゼロワン。動けまい。これがおまえの死刑台。カミナリ電気椅子だぁっはっはっはっはっは!」
 直前のバトルでは一方的に殴り倒されていただけなのに、何故か勝ち誇るハカイダー(笑)
 「泣け! 喚け! 貴様の最期だ!」
 「あはははははは! それはどうかな!」
 放たれる100億Vだが、身を潜めていたアキラと鳴神少年が巨大磁石で電気エネルギーを吸い取ってしまい、作戦は失敗。 子供がヒーローを助ける、という要素を取り込みつつ、鳴神少年がシャドウを相手に間接的に父の仇を取る、 という形になることで劇的な要素を加えており、綺麗にヒーローのターンへと逆転。
 魔力を失い、物理で太鼓を投げつけてくる雷神兄弟の攻撃を跳ね返したゼロワンは、 キック・ドライバー・カットそしてブラストエンドのフルコースをお見舞いして雷神兄弟を葬り去り、オツカイダーは逃走。 被害者達は入手した電気エネルギーによる治療で脳機能を回復し、街は平和を取り戻すのであった。
 「ビッグシャドウには怒鳴られ、雷は落とされるし、ろくなことはないわ」
 とうとう、遠吠えタイムで自らオチまでつけるようになったハカイダー、ちょっと面白かったけど、それでいいのかハカイダー。
 最高幹部どころか最強のライバルの座も転げ落ちている真っ最中のハカイダーですが、今回、博士ポジションに収まるザダム、 01を苦しめる雷神兄弟、明後日の方向に運用するビッグシャドウ、 と敵キャラの立ち位置を明瞭にしてなるべく余計な出入りを避ける事でそれぞれのキャラを立てている中で、 大変ざっくり時間稼ぎぐらいは出来る筈という役割が与えられ余計な事をしなかった結果、 話の構成が非常にスッキリする事になっており、一ヶ月ぐらい武者修行の旅に出ても良いのかもしれないハカイダー。
 曽田さん参戦の影響なのか、制作状況が改善されつつあるのか、『キカイダー01』らしからぬ比較的まとまりの良いエピソードでした。 また、リエコが退場し、ミサオ・アキラ・ヒロシが雑にひとまとめにされた事によりアキラが陽性のキャラに転換されたここ数話、 3人が空気を変えるコメディリリーフとしての機能を果たすようになっているのも、じわじわと全体に好影響。
 その為の犠牲として、アキラ兄弟のドラマ性がまるごと消し飛んだので、だいぶ複雑な心境ではありますが。
 次回――登場ビジンダー!

◆第30話「悪魔? 天使? ビジンダー出現!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:長坂秀佳)
 ●今回のハカイダー!!
 ・開始約14分頃にようやく登場
 ・自転車に乗った少年達をバイクで追い回す
 ・止めに入ったゼロワンに妄想空中コンボを決めるが気がつくと虫の息になっている
 ・新人OLに助けられて命からがら撤退
 ・改めてゼロワンに殴りかかるが軽くあしらわれる
 ・作戦内容を全く知らされていない

 ……やはり、武者修行の旅に出た方がいいのではないか。
 シャドウ組織では連戦連敗の記録映像を見ながらビッグシャドウがプルプルしていたが、 そこにザダムが練りに練ったゼロワン必殺作戦をプレゼン。
 「「いかに悪には強くとも、女子供には弱いゼロワンの欠点も、十分研究済みでございます」」
 「今度こそゼロワンを倒す自信があるというのだな」
 「「はい。ゼロワンの墓場は、とうに決まったも同然。ここミドリ沼近くの平原でございます」」
 ナマズガスにより瞬く間に周囲の木々を枯らしていく公害ナマズが、液体爆弾を地面に染み込ませたトラップを作り出している頃、 女の高笑いを耳にしたイチローの前に、オーロラの輝きと共にハート型の頭をした人造人間が姿を見せ、 シャドウマンに追われるミサオ達は、謎の少女によって助けられる。
 ナレーション「とても少女とは信じられない、彼女のアクションであった。この謎の少女マリは、果たして何者なのであろうか」
 だいぶメタになっているナレーションさんに紹介されたマリを演じるのは、本邦アクション女優の草分け的存在として名高い志穂美悦子。 初登場シーンからシャドウマンをバッタバッタと薙ぎ倒す大活躍を見せるマリですが、水色をベースにした衣装もあって、 第一印象は、女体化ジロー(笑)
 なんとなく、新人類帝国と戦い始めたジローと入れ替わりの投入っぽい雰囲気の為もありますが。
 ダブルマシンで走り回るイチローは、樹上でハープをかきならずハート頭と再び遭遇し、竪琴ボウガンの使い手……だが日本じゃあ二番目だ!
 「おまえはなんだ?!」
 「私の名は、ビジンダー!」
 本人の主張はともかく、ハート型の頭部とアルカイックスマイルの組み合わせは、正直、怖い寄りのデザインなのですが、 シャドウの美人ロボット=人魚ロボットの系譜、と見ると納得はできなくもありません(というか、 あの時点では正気の沙汰と思えなかった人魚姫回は、ビジンダー登場の布石だったのか?!)。
 イチローとマリの出会い、沼のナマズを退治しようとする子供達、無駄に市民を脅かして回るナマズ人間体、 と『キカイダー01』らしいとっちらかった展開に戻り、ハカイダーを助けるビジンダー。
 「ははは、私はシャドウで産まれたロボット! そして、私の使命は、ゼロワン、あなたを殺す事」
 いつの間にやらイチローに気がある事になっているミサオは、マリの肩に親しげに手を置くイチローを目撃して動揺し、 キカイダーに無駄につっかかるハカイダーはいつものようにさくらんしている! そしてマリを人質にされたイチローは、 公害ナマズの待ち構える、液体爆弾地獄へと突入する!
 「どこからでも来いゼロワン! 俺の液体爆弾を少しでも踏みつけたら、貴様の体はダブルマシンと共に木っ葉微塵になるのだぁぁぁ!!」
 ナレーション「ダブルマシンが地雷を踏む。そして、地雷が爆発するまでの速さより、ダブルマシンのスピードの方が遙かに勝っていたのだ」
 ……じゃなかった
 ナレーション「ダブルマシンは速かった。液体爆弾の爆発タイムを遙かに勝る超スピードで、ゼロワンのダブルマシンは突進する事ができたのだ」
 ……一緒だった。
 冒頭のプレゼンにおいて、「ダブルマシンが来ても大丈夫」と、 シャドウマンのオートバイ部隊が弾け飛んでいく資料映像が流れた時点でこんな予感はしていましたが、あまりにもストレートすぎて、 駄目な意味で面白い事に。
 必殺の罠を突破されたナマズは地震攻撃で落石を発生させるが、ドライバーで突破したゼロワンはカット連発からのブラストエンドを放ち、 哀れナマズは大爆発、の映像がシャドウ基地のモニター画面に切り替わるという珍しい死に様となり、這々の体で逃げ帰っていた給料泥棒ダーは早速厭味を口にするが、 ザダムは余裕の態度を見せる。
 「「馬鹿め。必殺作戦はいよいよこれから最後の仕上げに入るのだ」」
 キカイダーがナマズを葬り去った後、目を覚ましたマリの正体は、シャドウの開発した動く核(熱属性の魔法)爆弾ロボット!  マリが人間を助けシャドウマンと戦っていたのは、イチローの警戒を解く為のザダムの設計であり、全てはこの時、 公害ナマズを撃破して一息ついたイチローの心の隙を突こうという性格の悪い罠だったのだ!
 当初は「弱者を助けようとせずにはいられない」という意味で使われていたと思われる「女子供には弱い」が、 途中から若干「女の色香に弱い」と混ざっている気がしますが、この後の反応を見る限り、光明寺博士はイチロー兄さんに、 良心回路の代わりにデリカシー回路を組み込んでいた模様であり、マリの正体にもリエコの正体にもまるで気付かなかったのは、 女性と接する時は全センサー機能を自動的に低出力にするデリカシー回路の賜物です!
 かくして、遠隔操作による激痛回路の作用で藻掻き苦しむマリを助けようとするイチローは、その求めに応じて、 なんだかドキドキしながら上着を脱がせていき、ザダムの仕掛けた起爆スイッチまであと僅か。
 「はははははははは! あんな子供騙しでは死にはせん。ハカイダー! 爆発速度よりも早く、俺が空を飛べる事を忘れていたのか!」
  ……じゃなかった、イチローは今度こそ木っ葉微塵になってしまうのか?!
 次回――
 「ミサオは子供をかばって吊り橋から真っ逆さまに転落」
 「だがその後に意外な事が起こる」
 「しかし、遂に宿命の対決となる」
 「その時、不思議な事が起こる」
 「ビジンダー爆死」
 予告時点で色々な事が起こりすぎて、どうなるのか次回(笑)

→〔その6へ続く〕

(2022年10月10日)
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