■『キカイダー01』感想まとめ1■
“チェィンジ・01!”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『キカイダー01』
感想の、まとめ1(1話〜6話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕 ・
〔まとめ5〕
〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕
- ◆第1話「無敵!!人造人間ゼロワン誕生!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:長坂秀佳)
-
仁王像の目が光り輝くと、内部から像を破壊しながらヒーローが登場するという、
かなりかっとんだ映像でOP曲がスタートするのですが、本編は、もっと、かっとんでいました!!
黒雲、そして雷鳴と共に姿を見せ、手を振り上げるハカイダー。
「「「「ハイル・ハカイダー!」」」」
「時が来た! 今こそ我らハカイダー部隊の、立ち上がる時だ」
「世界を闇に」
「全世界を夜の闇に」
「夜は我らが制服する」
「立て、ハカイダー部隊」
「「「ハイル・ハカイダー!」」」
黒・赤・青・銀の4体のハカイダーと稲妻模様の衣装を着た戦闘員達が、
全世界征服計画になくてはならない重大な秘密を握っているアキラ少年を手中にすべく動き出し、
サブタイトルの書き文字がやたら格好いい。
ハカイダー四人衆がテーマ曲をバックにバイクで疾走して主役気分を満喫していたその頃、身柄を狙われるアキラ少年は、
記憶を失いさまよい歩いていた。
ナレーション「アキラはここ数日、たった一人で、あてもなく歩き続けていた。それが何日になるのか、何週間になるのか、アキラは、
わからなかった」
いきなり場外にフルスイング!
アキラ少年は朧気な父の記憶だけを頼りに歩き続け、この時点でまだ見ぬアキラ父への不信感がレッドゾーンを振り切りそう。
少年が水を飲もうと潜り込んだ関東原子力研究所をハカイダー部隊が襲撃し、赤青銀が、ボウガン・鞭・棒、というそれぞれの獲物を披露。
シルバーの棒による大回転キックは、そのまま翌年放映の『仮面ライダーX』(1974)に引き継がれたのでしょうか。
黒ハカイダーの指揮の下、研究所は徹底的な攻撃を受け、炎上大爆発。
喉が渇いた少年が入り込んだ、という物凄いとばっちりで、かつてこんなに雑に破壊された原子力研究所があったでしょうか。
ナレーション「まさに恐怖のハカイダー部隊、恐るべき悪魔の使い、ハカイダー。このハカイダーに立ち向かう者はいないのか。
ハカイダー部隊の行く手を阻止できる、正義の使者はいないのか」
――しかしその時、寺の山門の仁王像の瞳が、光った……!
OP冒頭では意味不明だったシーンに繋がり、仁王像を砕いてその内部から現れる、
赤と青のツートンカラーに頭部と胸部に電飾装甲を纏った謎のロボット。
「キカイダーーーーゼロワン!」
ナレーション「キカイダー01――ここに、太陽電池の力で動く、正義の戦士、キカイダー01が誕生した。キカイダー01は、
仁王像の中に、3年の間眠っていた。日本を取り巻く、悪の力が増大し、巨大な、悪のエネルギーとなって動き出した時、
そしてそれが、一般市民の、平和な生活を脅かす危険の生じた時、仁王の中に組み込まれたコンピューターが作動して、
キカイダー01を、自動的に誕生させるシステムになっていたのだ。今や、我らのキカイダー01は生まれた。ゼロワンはゆく、
世界平和を守る為に。世界平和に影を落とす、巨大な、悪の組織と戦う為に」
やたらめったら名調子なナレーションによる有無を言わせぬ怒濤の進行で、今や、
我らのキカイダー01は生まれたのだ!
1973年という放映時期からするとナレーションの多用による進行は珍しくないとは思うのですが、
それにしても癖になりそうな問答無用さで、思わず全て、書き起こしてしまいました(笑)
一方、マンホールを使って炎上する研究所から脱出したアキラは、黒ずくめの謎の老婆に追われて逃げていたところを、
バイクにまたがったハカイダー四人衆に捕まってしまう。そのまま連れ去られそうになった時、そこに鳴り響く、トランペットの音!
バイクを止めた四人衆が見上げた崖の上には、高らかにトランペットを響かせる、謎の青年の姿が。
「何者だ貴様。答えろ! さもないと……」
「悪のあるところ必ず現れる。悪の行われるところ必ずゆく。正義の戦士、キカイダー01!」
「なに?! キカイダー01」
「手を離せ。俺は子供に手出しをする奴は、許すわけにはいかん!」
格好良く見得を切った青年はアキラ少年を助けようとハカイダー部隊に立ち向かい、その正体こそが……
「チェンジキカイダーーーーー、ゼロ・ワン!」
正直、今日目線で見ると格好悪い青ヘルメットの一部が回転すると、プリズム的な演出を挟み、青年はゼロワンへと変身。
死んだ筈のハカイダーは、プロフェッサー・ギルの脳を組み込んだ事で甦り、ダークの誇る最高の科学者の脳を組み込む事で、
赤青銀のハカイダーを作り出した事が語られ、これは前作との接続要素でしょうか。
ハカイダー部隊と一当たりしたゼロワンは、高速スピン攻撃ゼロワン・ドライバーによりハカイダーの顔面を殴り飛ばすと、
アキラの身柄を確保し、逃走。アイキャッチを挟んで場面切り替わると、
少年が何故か上半身裸でとっても通報案件になっているのですが、湖のほとりにサイドカーを止めているので、
少年を入浴でもさせていたのでしょうか……ゼロワンは少年の背に綺麗な三角形のほくろがある事に気付き、
この提示をしたかったのでしょうが、なかなか、少年を自然に半裸にさせるのは難しいというか、伏線の仕掛けが厳しかった感。
アキラの背には何かの設計図が隠されていると示唆され、女性の悲鳴をキャッチしたゼロワンは謎の老婆を締め上げていた青ハカイダーを撃退。
気を失った老婆を助け起こしたゼロワンは、その顔がラバーマスクである事に気付き、マスクとかつらをはがすと、その正体は若い娘。
ゼロワンと青ハカイダーの戦いを目撃したカメラマン(如何にもなコメディリリーフ)に娘を託すゼロワンだが、
その間に赤ハカイダーによりアキラ少年はさらわれてしまう。
ハカイダー基地に囚われたアキラ少年を助けるべく急ぐゼロワンを待ち受けるのは、ハカイダー部隊と地雷原。しかし、
ゼロワンのサイドカーは、その地雷原を猛スピードで駆け抜けていく!
ナレーション「ダブルマシンが地雷を踏む。そして、地雷が爆発するまでの速さより、
ダブルマシンのスピードの方が遙かに勝っていたのだ」
「ぬぅ〜、恐るべきゼロワンめぇ。やれぃ!」
地雷原を気にも留めず正面から突っ込んでくるヒーローに対し、アジト一つ守る為に、
首領と3人の幹部が先陣を切って決死の突撃を敢行するハカイダー部隊の姿に既に悲壮感が漂って仕方ないのですが、
本当に「悪の組織」なのか、大変不安になってきます(実際、自称「部隊」なわけですが……)。
目標に掲げる「世界征服」という四文字のドリーム感がかつてないレベルなのですが、ゼロワンは、
そんな部隊の戦闘員を軽々蹴散らすと、あっさり基地の中へ侵入。
「貴様の思い通りにはさせん、ゼロワン!」
なんか、悪役に、悪役みたいな事を言われたぞ!!
ゼロワンの前に立ちはだかるハカイダー三人衆は、次々と千切っては投げ捨てられて基地の設備を炎上させ、やはり、
量産は鬼門。
あと、脳が科学者という設計コンセプトに問題を感じるのですが、「最強のボディと最高の頭脳」になる筈が、
「優れた身体能力を使いこなせない欠陥品」になってしまってはいませんか。
かくしてゼロワンはアキラ少年を救出するともののついでにハカイダー基地を壊滅させ
(というか設備にぶつかったハカイダー達が勝手に崩壊させ)、無事に脱出。
一息ついたところでアキラの身につけていたお守りに気付くと許可も取らずに中を開き、「アキラちゃんとリエコ」と書かれた、
先程の老婆に変装していた女性と少年が一緒に写っている写真を発見する。
少年の記憶が何者かによって故意に消されていると推測したゼロワンは、アキラ少年を守り、両親と再会させる事を決意し、
「風よ、雲よ、太陽よ、心あらば教えてくれ。なぜこの世に産まれたのだ」などとは1ミリも悩む事なく
(ハカイダー死亡の件がインプットされていたという事は、仁王コンピューターのデータは随時更新されており、
世間的常識などもアップロードされているようですが)、少年を乗せたダブルマシンを走らせる。
ナレーション「キカイダー01とハカイダー部隊の壮絶な戦いは開始された。アキラ少年の握る、重大な秘密とは何か。そして、
アキラの父は……母は……。謎の美女リエコは何を知っているのか。アキラとともにイチローは行く。ハカイダーとの、
限りない戦いの道を」
主人公の名前も、ナレーションで挿入(笑)
「この恨みきっとはらすぞゼロワン!」
色々と散々な目に遭いましたが、ラスト、走り去るダブルマシンを、
夕陽を浴びながらシルエット気味の姿で見送るハカイダーは格好良かったです。
黒いボディに半ば剥き出しの脳と真っ赤に裂けた口、というのは今見ても実に良いデザイン。
とにかく全編、有無を言わさぬナレーションの勢いが物凄く、
ハイテンポな展開を更に加速させて場外ホームランを連発しながら突き進んでいく作劇で、
4人に増えたらまとめてへたれになったハカイダー部隊の前途を含め、どこに進んでいくのか全く読めなくて凄い(笑)
次回――予告で変なポーズを決めるハカイダー三人衆が妙に格好いいですが、果たしてゼロワンに一矢報いる事が出来るのか?!
- ◆第2話「ハカイダー四段攻撃とは何か!?」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳)
-
「なんだあれは?!」
「化け物だよ!」
山中で出くわしたハカイダー戦闘員を見るや、躊躇無く発砲する猟銃持ち市民のアグレッシブさが、実に70年代(笑)
この辺り、なにがしか世相の反映もあるかと思うのですが、特撮ヒーロー物から猟銃がめっきり姿を消すのはいつ頃からなのか、
少しばかり気になってくるところです。
「キカイダー01のお陰で、重要なハカイダー基地を失った。新しく、ハカイダー基地を作らねばならん」
そして山道を移動する戦闘員に、崖の上から指令を下すハカイダー達は、立派な宿無しになっていた。
一方、手がかりを求めて謎の女リエコの元を訪れるイチローとアキラだが、リエコは病院から姿を消しており、
ハカイダー部隊の強襲を受けた2人は、西武ゆうえんちに逃げ込んでしばらくバトル。
アキラが同行しているフリをした囮作戦でまんまとハカイダー赤青銀を欺くゼロワンであったが、看護婦に預けていた本物のアキラが、
偽イチローによって連れ去られ、ハカイダー部隊の手に落ちてしまう。
実は看護婦はリエコの変装であり、そのリエコは行き会った本物のイチローに詰め寄られるも沈黙を守るが、
偽のイチローに気付いてアキラの危機を伝え、とにもかくにもアキラを追うイチロー、とこの辺りはだいぶ大雑把。
特に現時点では素性と目的がさっぱり不明のまま、説明はせずに「イチローさんの言う事を聞いて幸せになってね」
をアキラに向けて連呼するリエコの存在があまりにも掴み辛いのですが、
まだ見ぬアキラ父への不信感が既にメーターの上限を突破しそうです。
イチローはハカイダー部隊を追い、またも高い所から響くトランペットの音色。
「悪のあるところ必ず現れ、悪の行われるところ必ずゆく。正義の戦士、キカイダー01!」
「なんだと……?!」
「ハカイダー! 貴様がハカイダー基地をどこへ移そうと、この俺が居る限り、幾つでも潰してやる! 無駄なあがきはやめたらどうだ!」
そして繰り出される、無慈悲なる徹底して宿無し宣告!
なお今回、アキラの服に発信器を取り付けたので、このレーダーでいつでも居所がわかるぜふへーん、
がハカイダー部隊の要なのですが、イチローの悪のあるところセンサーがあまりにも強力すぎて、色々と台無し(笑)
ハカイダー部隊に立ち向かうゼロワン、だが……
ナレーション「太陽が沈むと、ゼロワンの能力は十分の一になってしまうのだ」
太陽電池でエネルギーを得ているゼロワンの弱点が発覚し、迫る日没に危機を感じたゼロワンは、
ゼロワン・ドライバーで次々とハカイダー部隊を殴り飛ばすと、基地内部へと突入。
ハカイダー黒との殴り合いを制すと基地の設備を適当に弄って破壊に成功し、むしろ破壊の使徒。
そして、第2話から主人公との正面対決に完敗する悪の組織(一応)の首領(多分)は、なかなか居ない気がするぞハカイダー黒!
首尾良くハカイダー基地を破壊するゼロワンであったが、日没によりエネルギーを失い、ハカイダー四人衆の反撃を受けてしまう。
バイクで引きずられ、高圧電流を流され、残り少ないエネルギーで決死のジャンプをするも頭上に待ち受けていたのはハカイダー黒!
空中でのやりとりが、ややスローになった映像(圧縮された時間)で行われる、というのは格好いい演出で、逃げ場を失ったゼロワンは、
恐怖のハカイダー四段攻撃の洗礼を受ける。
初段・つばめがえし!
二段・オウム返し!
三段・孔雀返し!
四段・コンドル縛り!
と四人衆が次々と放つ連続攻撃により大ダメージを受けたゼロワンは両足を激しく損傷し、第二話にして絶体絶命。
アキラをかばいながら、地面を這って逃走する、というなかなか強烈なピンチ演出で、つづく。
怒濤のナレーション攻勢が落ち着き、長めの殺陣とやや間延びしたテンポ、増えすぎたハカイダーにより定まらない話の焦点、
と重なってパッとしない出来。
純粋正義の戦士であるゼロワン、ひたすら虚ろな表情のアキラ、ミステリアスというか意味不明のリエコ、
力量のハッキリしないハカイダー四人衆、という主要キャラクターも揃いも揃って捉えにくく、
もう少し落ち着いてくれる事を期待したいです。
ところで前回、ナレーションに圧縮された情報が多すぎて言及している余裕がなかったのですが、
背中の半分ぐらいまでしか丈の無い真っ赤なジャケット・ぴったりしたデザインの水色のヘルメット・
ひもでくくりつけた白いトランペットを背負っている、というイチローのファッションは、
当時でも奇抜だったのか、当時は割と納得できたのか、とても気になります(笑)
一番困っているのは、サイドに入った銀色のラインの為に、上下ジャージに見える事なのですが、次回、
いきなりの身も蓋もない展開で、イチローは主役の座を守り抜く事ができるのか?!
- ◆第3話「帰って来たジロー キカイダー」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳)
-
ナレーション「太陽が没し、ゼロワンが残業を始めてから、既に8時間になる。定時以降のゼロワンの能力は、
わずか10分の1しかないのだ」
じゃなかった、
ナレーション「太陽が没し、ゼロワンの前頭部にある太陽電池が動きを止めてから、既に8時間になる。
太陽電池の作動しないゼロワンの能力は、わずか10分の1しかないのだ」
両足を損傷したゼロワンは、アキラをかばいながら必死に逃げ回るが、遂にハカイダー部隊により発見されてしまう。
「ゼロワンは、足がないも同然。これでは丸太だ。それ、丸太踊りを踊らせろ! はーははははは!」
70年代らしい愉快な台詞と共にハカイダー軍団にいたぶられるゼロワン、絶体絶命の危機!
「足は使えなくても手は使えるぞ! おまえ達が相手なら、両手だけで十分だ!」
鞭の攻撃を掴み取り、体当たりで必死に食らい付くゼロワンの背後にボウガンの脅威が迫るその時、
突如として立ちこめた毒ガス(ただの煙幕のような気はしますが、ハカイダー部隊の苦しみ具合が化学兵器に見えて仕方ない)
がハカイダー部隊の視界を奪い、ゼロワンとアキラが姿を消すと、切なげな弦の音色が響き渡る。
「ギター!? あのギターは?! 探せ! ギターを引いている奴を探せ!」
トラウマを刺激されたハカイダーが岩の上に目にしたのは、白いヘルメットをすぽっと被り、
どこか虚ろな視線でギターを奏でる一人の青年!
「む、貴様はキカイダー」
「キカイダー?!」
「ハカイダー! 貴様が生きていたとはな!」
前作主人公の登場と共に前作の主題歌インストが流れ出し、条件反射で格好いいと思ってしまいます(笑)
「ゼロワンを助けたのは貴様か?!」
「だとしたらどうする!」
「んぬ〜、アキラを隠したのもおまえだな」
「俺は子供に手出しする奴を許す事はできん!」
第1話のイチローと重ねられているこの台詞、ヒーローの自由意志というよりはロボットのプログラムを感じるのですが、逆にいえば、
これ自体が「ヒーローの証明」になっている、というのが時代性でありましょうか。
サイドカーにまたがるや変身済みのキカイダーはハカイダー部隊を蹴散らし、その間に足を修理しながら日の出を待つゼロワンに、
遂に恵みの光がもたらされる――
ナレーション「太陽の光を受け、ゼロワンの太陽電池が活動を始めた!」
『01』主題歌が流れ始め、復活したゼロワンは背後からボウガンに狙われるキカイダーの窮地を助け、
新主人公をただ助けられるだけにはしない作り。タッグを組んだ二人はハカイダー銀と青に怒濤の連続パンチを浴びせ、なんだか
、映像だけ見ていると最終回手前のような展開に(笑)
そして、青と銀が火を噴きながら動かなくなったけど……大丈夫?
ハカイダー黒はたまらずバイクで逃げ出し、合流したイチローとジローは、アキラ少年をひとまず近傍の幼稚園に預ける事に。
「木の葉は森の中に隠せ」
「木の葉って何?」
「ここなら奴らも、どれがアキラくんかわかりっこない」
え(笑)
ジローの頭脳回路に問題があるのか、ジローが去年戦っていた悪の組織の知能指数に問題があったのか、
前作を見ていないのでわからないのですが、下手をすると、幼稚園丸ごと爆破の大惨劇になるのでは。
「それじゃあ、ジロー」
「兄さん」
ごく当たり前のように兄弟認識で馴染んでいる二人は、カメラマンにアキラの事を任せると、
二手に分かれてハカイダー部隊の行方を追い、ジローのGジャンも丈が半分なので、これは光明寺ブランドなのか。
悪のあるところセンサーの赴くまま、適当にハカイダー戦闘員を蹴散らして回るキカイダー兄弟だが、
一方のハカイダー部隊はアキラの紛れ込んだ幼稚園児をまとめて拉致する人海戦術に打って出……少なくともハカイダー戦闘員
(アンドロボット)の頭脳回路は、ジローの認識通りのものだったようです(一般兵レベルでは、人間の顔認識が出来ない模様)。
しかしその時、トランペットとギターの音色が響き渡り、兄の威厳を示す為、書き割りで物凄く高い所に立つイチロー!
キカイダー兄弟は次々と戦闘員を蹴散らしていくが、
まさかの飛行ハカイダー戦闘員が投入されて激戦は続き、前作主人公参戦という事があってか、
ダブルヒーローに群がる大量の戦闘員、という派手なアクション巨編の作りで展開。
サイドカーに乗り込んだ兄弟はアンドロボット軍団を轢いて轢いて轢きまくると、ハカイダー基地へと突入。
「よし工場を爆破しよう!」
内部でアンドロボットの製造ラインを目にした兄弟は、あっさりと甦って立ちはだかるハカイダー達を軽々と投げ飛ばすと、
今回も破壊ミッションコンプリート。
「ぬぅーーーん、最新最鋭のアンドロボット工場までが、ゼロワンにやられるとは」
「秘密兵器を開発中だったミドリガオカ基地、マジックレーダーを備えた基地に続いて、今回のアンドロボット工場基地を入れると、
我がハカイダー部隊は、三つの基地をゼロワンに爆破された事になります!」
戦闘員にツッコまれた!
「うるさい! そのような事、いちいち言われなくてもわかっておるわ!」
腹いせにその戦闘員を爆殺したハカイダーは、新戦力・幽霊ロボの投入を予告。一方、
基地破壊ブラザーズもといキカイダー兄弟は、アキラを助けるもその秘密については口をつぐんだまま、
またも姿を消したリエコを追う事を決め、その旅は続く……!
糸の切れた操り人形のように無言でバタッと倒れたハカイダーが、
基地へ突入するとあっさり復活しているのはホラー映画の不死身のモンスターめいてなかなか面白かったのですが、
キカイダー側のリアクションが物凄く薄いのは、既に大量生産品と似たような認識なのか(涙)
次回――吊される妹! 銀色のエビ! 次に壊されるのはどの基地だ?! 迫り来る基地破壊兄弟の恐怖に、ご期待下さい。
ところで、サブタイトルの書き文字がやたらと格好いい今作ですが、予告ではどうしてあんなに素っ気ない丸ゴシック体なのでしょうか(笑)
- ◆第4話「怪奇!幽霊ロボット消滅!?」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳)
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第4話にして、怪人ポジションが初登場。
その名を、銀エビ!
確か前作の怪人ポジションの名前が、「色+動物」だったのでそれを踏襲しているのでしょうが、それにしても銀エビ!
三ヶ月前に、アキラと瓜二つの息子を交通事故で亡くした一家に近づいた銀エビは、娘を人質に、
その母親に偽物のアキラ母を演じる事を要求。悪の謀略に巻き込まれ、たとえ嘘だとわかっていても情が移って……
といった要素はほんとんど掘り下げられず(一応、言及はありますが)、忙しい展開に飲み込まれていくままで、ざっくり薄味。
なんとなくイチローには懐くようになったアキラ少年も、「母親」という存在に対してなんの感情も見せないので、
そもそもドラマチックにならず、なかなか物語部分が噛み合ってきません。
まあアキラ少年、偽イチローに不審を抱いたり、旧知らしきリエコには最初から警戒をしなかったり、非常に勘が鋭い、或いは、
何らかの非人間的超感覚を有しているような節があるので、偽母の欺瞞に最初から気付いていた、のかもしれませんが。
アキラを狙う銀エビの回転攻撃・銀エビ機雷に苦しむゼロワンだが、とんでもない所(野球場のナイター照明?の上)
に現れたジローの救援などもあり、囚われの少女を救い出す事に成功。母子の再会を喜ぶのも束の間、
銀エビに追われたアキラは姿を消し、今回もアキラとイチローをストーキングしていたリエコは、ハカイダー赤青に捕まりそうに。
リエコの窮地を救うゼロワンだが、ゼロワンがハカイダー部隊を蹴散らしている間に、ひとりでトラックで逃げ出すリエコ(笑)
一方、寺の地蔵へのお供え物を失敬していたアキラには銀エビが迫り、駆けつけたゼロワンは本日三回目のゼロワンドライバーで、
寺の境内は鉄くずの山だ!
「銀エビ! 貴様はシルバーハカイダーだったのか!」
「よくぞ見破ったなゼロワン。だが俺はこの姿で居る時は、10倍の強さにパワーアップされているんだ」
今回、露骨にシルバーハカイダーが画面に居ないので早々にわかるのですが、
ようやく怪人ポジションが登場したと思ったら幹部の変身(正体)で、
ハカイダー四人衆は最初から常にクライマックスだぜ!
アキラを助け銀エビの包囲網を突破するゼロワンだったが、それを目にしたハカイダー黒は、
切り札として準備していたサタンダークネスの使用を宣言。空中高く飛び上がると、その背から漆黒の煙を撒き散らす。
「死ねぇ、これがサタンダークネスだ。死ぬがいいゼロワン!」
サタンダークネス――それは、黒雲によって強制的に就業時間を終了してしまう、恐るべき必殺技であった!
ナレーション「ハカイダーのサタンダークネスによって、 タイムカードは押されてしまった。
太陽光線は遮断された。 もう家に帰りたい 太陽電池によって動く、イチローのパワーは、10分の一に低下する。
この危機の中で、ゼロワンは、必殺・銀エビ機雷をどうやってかわすか?!」
盛り上げるナレーションさんだが、キカイダーがサイドマシーンで黒雲を切り裂くと陽光が射し込み、あっさり解決(笑)
太陽エネルギーを取り戻したイチローはゼロワンにチェンジすると、飛び蹴りから謎のポーズで発動する必殺ブラストエンドを放ち、
直撃を受けて崖から転がり落ちた銀エビは大爆発!
「シルバーハカイダー! 気を確かに持て!」
「貴様の恨み、このブルーハカイダーが、晴らしてやるぞぉぉ!」
早くもリタイアかと思われたハカイダー銀は崖下で赤青に回収され、意外と仲間意識のまっちりなハカイダートライアングルですが、
掛ける声が完全に瀕死の相手へのそれで、果たして、今回は基地の代わりにハカイダーが破壊されてしまうのか?!
ナレーション「ハカイダー部隊、銀エビの凶悪な野望は、キカイダー01によって打ち砕かれた。だが、みなしごアキラの両親を見つけ、
幸せを取り戻すのはいつか。アキラの狙われる、重大な秘密とは何か。そして謎の美女、リエコの正体は。イチローはゆく、
ハカイダー部隊との果てしなき戦いの道を――」
ナレーションの名調子に合わせ、アキラを連れたイチローとジローはサイドカーで走り去っていき、今回も、
それをバイクにまたがって見送るハカイダー…………四人衆、普通に揃っていた(まあ前回の使い回しなのですが)。
「ゼロワンめー、例え銀エビ機雷が破れても、まだ我ら、ハカイダー部隊には、恐怖の青ワニが居るのだ。貴様の死ぬ日は近いぞ、
ゼロワン」
……ええ……ハイ、なんとかなると、いいですね……ホント。
登場前から出オチ気味の、ブルーハじゃなかった、青ワニの明日はどっちだ?! 次回も、
ハカイダー四人衆のクライマックスジャンプにご期待下さい。
- ◆第5話「恐怖!青ワニ島で卵が笑う!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:滝沢真理)
-
「この、青ワニ島に、一刻も早くハカイダーの基地を作らねばならん!」
住所不定問題の深刻化するハカイダー部隊は、港町で捕虜にした漁師達を労働力に基地の建設を進め、
怪ロボット・青ワニに頭から貪り食われた漁師の白骨死体や、顎の部分だけがミサイルのように飛ぶ青ワニのメカギミックなど、
冒頭からパンチのある映像が連発。
砂浜に捨て置かれた白骨を発見したイチローとアキラが地元の少年を救出する一方、
波打ち際ではしゃいでいたリエコがハカイダー部隊の襲撃を受け、それを助けたジローだが、チェンジしようとしたその時、
奇妙なノイズが響き渡る――
ナレーション「ハカイダーは、爆発したプロフェッサー・ギルから、悪魔の笛を手に入れていた。その地獄の旋律が、
ジローのメカに激痛を与える。ジローの不完全な良心回路が、ギリギリの抵抗を試みるが、チェンジできない」
「苦しめ、キカイダー、苦しみ抜いて、死ね!」
裏地が真紅のマントを翻し、暗がりの中で瞳を明滅させながらステッキ状の杖を吹く黒タロスの姿は大変格好良く、デザインは、
デザインは本当に良いのですが……。
弟の苦戦に駆けつけたイチローは、特に説明は無いが悪魔の笛無効体質らしく、次々とアンドロボットを千切っては投げ捨てていく。
ナレーション「アンドロボットの爆発音が、笛の音をさえぎった!」
毎度毎度、派手に吹き飛ぶ戦闘員がこの伏線だったとは!(笑)
その隙にジローはチェンジ。青ワニを含めたハカイダーカルテットが勢揃いしてキカイダー兄弟と激戦を繰り広げるも、
ゼロワンドライバーに次々と殴り飛ばされて撤収し、既に格闘戦だとまるっきり勝負にならないのですが、
ハカイダー部隊では、世界征服の作戦を募集中です。
ところが、ホテル三日月でハワイアンショーならぬ台湾ショーを見学していた少年達がまんまとさらわれてしまい、イチローは結局、
青ワニ島に乗り込んでいく事に。そこで待ち受けていた罠にはまったイチローは、水中に仕掛けられたカプセルに引きずり込まれ、
太陽光線の届かない海中で、爆死10秒前の大ピンチに!
ナレーション「太陽を奪われたイチローは、キカイダー01にチェンジできない。どうするイチロー」
だが――
ナレーション「絶体絶命のイチローを、キカイダーが救った」
駆けつけたキカイダーがカプセルを押し上げる事で爆死の危機を回避したイチローは海上の光を浴びてチェンジし、本当に、
身も蓋もない展開が続きます(笑)
基本、傍若無人系ヒーローのゼロワン/イチローなのですが、
その足枷として用意された「太陽電池が機能しないと戦闘力10分の1で変身もできない」という
弱点が致命的すぎて、極端な性能を突くと話も極端な展開になってしまうというのがどうにも扱いづらそう。
一応このエピソード内では、ジロー変身不能の危機をイチローが救い、イチロー変身不能の危機をジローが救う、という形で見せてはいるのですが、
どちらにせよ、戦闘不能のヒーローが特に機転を利かせて窮地を突破するわけではなく、もう一人のヒーローが力技で助けるだけなので、
物語としての面白みは薄め。
これがもう少し突き抜けると、笑うしかない面白さに昇華される場合はありますが、兄弟共演が早すぎて、
傍若無人系としてはやや物足りないのが難しいところ。
建設中のハカイダー基地に猛然と襲いかかる基地破壊ブラザーズに4タロスが立ち向かうが、既に格闘戦だと(以下略)
不死身の再生能力によって、傍若無人×傍若無人のヒーロー兄弟を相手に奮戦する青ワニだったが、
卵カプセルの秘密にキカイダーが気付き、兄弟スローによってカプセルが破壊されると、
どういうわけか藻掻き苦しんだ青ワニも爆死するのであった……!
かくしてハカイダー部隊の、脱・無宿!計画は水泡に帰し、大ダメージを負った青タロスを回収した四人衆は、
本日も去りゆくキカイダー部隊に向けて遠吠えするのであった。次回、ゾウリムシ、じゃなかった赤ムカデ出撃!!
……赤ムカデ、ムカデの意匠を簡略化していった結果、体の節と、
足というかもはやトゲと化した突起物しか残っていない上にずんぐり体型の為、ムカデモチーフの怪人としてはいっそ斬新の領域。
- ◆第6話「魔術師対ゼロワンの秘密能力!!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:滝沢真理)
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見所は、
基地破壊 誘拐された子供達を救う為に、平気でアキラ少年を囮に使うキカイダー兄弟。
アキラ少年も割とノリノリで助けを求めるフリとかしているのですが、このままイチローに預けていていいのか、
段々と心配になってきました。
ボウガン使いの赤タロスが強化改造された(前回から、何やらそういう設定に)姿である赤ムカデは、
誘拐した子供達を毒液培養の素材とし、大量に制作した毒液を用いたバイオテロによる東京攻撃を目論み、ストレートに、
親の言いつけを守らないで一人で遅くまで遊んでいる子供は酷い目に遭うんだよ、というお話。
怪しげな手品師や暗がりを強調した秘密基地に、培養槽に閉じ込められて苦悶する子供達など正攻法のスリラー演出が続き、
現在に比べて遙かに、子供番組にそういう機能が、求められていた時代であったのかもしれません。
地下基地に飛び込む基地破壊ブラザーズだが、太陽の届かない地下とギルの笛の音により、共にチェンジできない大ピンチに。
「もはや、手段は一つだ」
苦しむ二人がバロ○クロスすると、互いの体を電流が走り、腕を組んだ状態で二人はハイジャンプにより天井を貫通。
「「ダブルチェンジ!!」
ナレーション「ダブルチェンジとは、絶対の危機に陥った時、ゼロワンとキカイダーのボディがクロスし合って始めて発揮できる特殊能力なのだ」
意味はさっぱりわかりませんが、両者の変身バンクや何故かイチロー兄さんの笑顔が交互にハイスピードで表示される映像が変な格好良さで、
ナレーションの終了に合わせて地下基地に着地すると兄弟はチェンジ済み、そこにEDインストが流れ出す、という力技で、格好いいは正義!
弟が赤ムカデの相手をしている間、ゼロワンは黒タロスの元に乗り込むと演奏を妨害し、
ゼロワンアッパーの勢いで地面に落ちたギルの笛が火を噴いたけど、大丈夫か……。
最後は新技・ゼロワンタイフーンによりムカデ毒針を逆に跳ね返したゼロワンが、ドライバーからプラズマエンドのコンボを決め、
赤ムカデは大爆発。残りのカルテットは這々の体で逃げ去り、街に平和が戻った!
『仮面ライダーファイズ』を見ている時に、ラッキークローバーのモチーフはハカイダー四人衆、と聞き知ったのですが、
醸し出す強敵感があっという間に消し飛ぶところまで遺伝子が継承されてしまったのだな、と深く納得(笑)
ナレーション「かくして、ハカイダー一味の毒液培養計画は、ゼロワンとキカイダーのダブルチェンジによって打ち砕かれた。
だが、謎の美女リエコの正体は」
どこからでも繋げてくるな!
ナレーション「そして、アキラの握る重大な秘密とは何か。アキラと共に、イチローとジローはゆく。ハカイダーとの戦いの道を」
ナレーションマジックから遠吠えするハカイダーカルテット(いつもの)でつづき、70年代前半的ではありますが、
基本的にざっくりな『01』と、だいたいざっくりな滝沢脚本が組み合わさった結果、前回−今回と、ざっくりがオーバードーズ気味。
特にリエコは脚本オーダー時点で詳細が明らかでなかったのか、如何にもとりあえず出してみただけという扱いになっており、
いつも以上に存在が雑。それもあってか、砂浜で波と戯れたり、カメラマンに抱きつかれそうになって肘鉄を食らわせたり、
と恐らくは演出の方で可愛げを付加してみようとしてみたのでしょうが、結果的に、キャラクターとしては更に迷子になってしまい、
そろそろ何とかしてほしいところ。
次回――いよいよ真の姿を見せる黒タロス@自称魔王は、世界征服の夢を守る事が出来るのか?!
「おい知ってるか? 夢を持つとな、時々すっごい切なくなるが、時々すっごい熱くなる。……らしいぜ」
→〔まとめ2へ続く〕
(2022年5月5日)
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