■駆け足『仮面ライダーフォーゼ』感想まとめ1■


“宇宙……無限のコズミックエナジーを秘めた、神秘の世界。
若者達は、アストロスイッチでその扉を開き、未来を作る。
スペース・オンユア・ハンド。その手で、宇宙を掴め!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーフォーゼ』感想の、 まとめ1(1話〜14話)です。配信の関係で週12話ずつの視聴だった為、駆け足気味。 文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕



◆第1話「青・春・変・身」◆ (監督:坂本浩一 脚本:中島かずき)
「タイマン張らしてもらうぜ!」 (如月弦太朗)
 天ノ川学園にやってきた短ラン&リーゼントの転校生・如月弦太朗は、学園の全員と友達になる宣言。 後輩から貰ったラブレターを川に投げ捨てるといういけすかない姿を目撃した歌星賢吾に絡んだ弦太朗は、友達ストーキングを開始する。 ところが学園に謎の怪物が出現し、賢吾から奪い取ったベルトを身につけた弦太朗は、 再会した幼なじみ・城島ユウキの指示(満面笑顔)で、宇宙のエネルギーをその身に宿す!
 見所は、初回で足からミサイル撃つ仮面ライダー。
 前作『オーズ』のバースと同タイプといえる、アタッチメント装備型ライダーのフォーゼですが、ロケットで殴ったり、 チェーンソーで襲いかかったり、装備の変態ぶりと、とりあえず火力で敵を圧倒しようという設計思想に、 開発者の性格に問題を感じずにはいられません。
 アクションシーンは勢いあって面白いのですが、モブのキャラ分けが極端すぎて、学園が凄く面倒くさい……(^^;
 スクールカーストなど過剰にコミック的な描き方をしているのですが、食堂での乱闘シーンに、人質とっての主人公暴行などは、 正直かなり引きました(^^; 第1話でノれるかどうかがかなり極端な作りの上で、そのノれるかどうかが、 ライダー云々とあまり関係ない部分というのもなかなか辛く、これは当時序盤で脱落したのもむべなるかな。
 OPで既に弦太朗に取り込まれており、ネタキャラの香りが強く漂うアメフトマッスルですが、 長身の弦太朗を片手で軽々と放り投げたり、タックルで数メートル吹き飛ばしたり、割と戦闘力高い。

◆第2話「宇・宙・上・等」◆ (監督:坂本浩一 脚本:中島かずき)
「俺は何も見なかった。後はお前達に任せる」 (大文字隼)
 その身に星座の意匠を持つ謎の怪人ゾディアーツ。それは、コズミックエナジーを用いたアストロスイッチにより、 人間が変身した存在であった。17年前、月面基地でアストロスイッチを研究開発していた賢吾の父親は、 それを悪用しようとしていた者達によって殺されてしまう。賢吾は偶然、 アストロスイッチの力により地球と繋がっていた月面のラビットハッチに辿り着き、 そこで父の遺産であるフォーゼドライバーとアストロスイッチを入手。 それを悪用しようとするゾディアーツを倒す事に強い使命感を持っているのだった……。
 と、頑な賢吾の背景や各種設定を、どどっと一気に説明。
 とりあえず今の所、コズミックエナジー凄い、という事で納得しておけばいいのか。
 「おまえの代わりは務まらねえが……お前を助ける事は出来る!」
 「今のままで……おまえのやりたい事が出来るのか! ……頼む! 俺に出来る事をやらせてくれ!」
 賢吾の事情を知った、というかユウキに一方的に聞かされた弦太朗は、賢吾と張り合うのではなく、 友人として賢吾の為に戦いたいと申し出、紆余曲折の末、それを受け入れる賢吾。かくして「友達じゃないし名前で呼ぶな」 という関係ながら、作戦指示を出す賢吾と前線で戦う弦太朗、というコンビが成立。
 前回はまず基本のモジュール見せでしたが、今回はバイク中心のアクション。スペースシャトル意匠のバイクはなかなか格好良く、 更にそれを、黄色ロボットが変形した台座で、宇宙へ打ち上げ(笑) この辺りのギミックの勢いは、 坂本監督のスピード感溢れる演出も効果的で、ぐいぐい物凄い。
 フォーゼは宇宙でロケットドリルキックを決め、地球をバックにしてのキックは印象的なカット。 そして単独で大気圏突入が可能な事も判明し、凄いぞ宇宙パワー。
 「おまえとは、ダチになるからな」
 アストロスイッチを用いて学校を騒がせていた犯人も無事に確保され、どんな相手でも問答無用にオチをつけられそうな友達ストーカーシステムが発動。
 「か、仮面ライダー……」
 「「え?」」
 「そういう、都市伝説……ネットで見た」
 ネット上に流れている動画という形で旧作の映像を見せ、物語のオリジナルではなく、 過去の<仮面ライダー>シリーズと世界が繋がっているという飛び道具で、“都市伝説に語られる、街の危機を人知れず救う、 仮面のヒーロー”として、「仮面ライダー」という言葉を劇中定義付け。
 『W』は意欲的かつ巧くやり、『オーズ』はその辺りは吹っ飛ばしましたが、 現代に「仮面ライダー」という言葉を持ち込む手法としては、開き直りつつも本気でやるならそれなりの意味を持つ、 というなかなか興味深いバランスの手段。
 かくして弦太朗は学校を怪物から守る為の部活、仮面ライダー部の立ち上げを宣言し、 ここに宇宙パワーとアストロスイッチを巡る戦いが幕を開けるのであった。にしても、ハンバーガーメカは、 いったいなんの偽装になっているのか。
 学園の過剰演出シーンが少なめだった事もあり、第1話よりはだいぶ見やすかったです。
 ところで今更の気付きなのですが、
 「宇宙キターーーーーッ!」
 って、
 「宇宙(に)キターーーーーッ!」
 ではなくて、
 「宇宙(エネルギーが)キターーーーッ!」
 だったのか。……なんか、アブない。

◆第3話「女・王・選・挙」◆ (監督:坂本浩一 脚本:中島かずき)
 「まさかフォーゼの副作用?」 (城島ユウキ)
 割と洒落にならないので、発言には気をつけて下さい!
 学園のクイーンを決めるクイーンフェスが近づく中、クイーン候補が次々と透明な怪物に襲われる。 圧倒的な人気を誇る現クイーン・風城美羽と、「美羽がフェスに負けたら友達、美羽がフェスに勝ったら転校」 という勝負を約束してしまった弦太朗は、切羽詰まってユウキをフェスに出場させるが、勝算や如何に……!?
 自宅プールシーンとかクイーン達のパフォーマンスとか、坂本監督の煩悩が8割を占めるエピソード。 (なお翌年、坂本監督は職権でアイドル声優の太股を撮りまくり、正直、若干引き気味になった事をここに告白します)
 まあその一方で、はやぶさくんをやり切ったのは、凄いと思います(笑)
 大きな難点は、小学校の体育館にしか見えないフェスのステージはもう少し何とかならなかったのいう所ですが、 制服と生徒だけで予算を食いまくる学園物の難しさを感じます。
 引き続き、学園パートの過剰表現がどうも肌に合わないのですが、慣れるのが先か、落ち着くのが先か(^^; 正直、 2話連続で不良との乱闘シーンは必要だったのか。
 第1話から顔を出しているチャラ男キャラのJK(ジェイク)が名乗り、学園の情報屋と判明。2016年現在、 JKという表記は少々使いづらいものがあるので、以後当面、ジェイク表記にしようと思います。
 そういえば当時どこかで、うたぼしけんご/ほんごうたけし、じょうじまゆうき/ゆうきじょうじ、かざしろみう/かざみしろう、 大文字隼/一文字隼人……とアナグラムを分析していたのを思い出したのですが、とするとJK……は、神敬介に相当するのか。 野座間友子は…………「アマゾン・トモダチ」?
 賢吾は格好良くない(失礼)が、賢吾のテーマのイントロは格好いい。
 現在、フォーゼサイドにある40個のアストロスイッチは順番に調整中で、今回は弦太朗がホッピングスイッチをこだわって使用。
 思わせぶりにチラチラ登場していたサソリマントがフォーゼと本格交戦し、スピーディな動きで足技を披露。
 カメレオン怪人の乱入騒ぎの後、気丈にパフォーマンスを続けようとするクイーンだが、会場には自宅プールでの盗撮シーンが流れ出し、 DVDを事も無げに素手で割るクイーンの腕力に大ブーイング……で続く。
 ところで、クイーンもマッスルもOPで既に弦太朗にフレンド登録されてしまっているわけですが、放映期間の必然性上、 普通に季節を合わせていくと3年生の2人は留年?! 留年するの?!

◆第4話「変・幻・暗・躍」◆ (監督:坂本浩一 脚本:中島かずき)
 「そう簡単に諦めちゃ、笑われたくない男に笑われるの」 (風城美羽)
 盗撮ビデオによりイメージがた落ちとなったクイーン。すっきりしないものを抱える弦太朗は、 クイーンがクイーンである為に誰よりも努力を重ねていた事に気付くと、勝負の約束があるにも関わらず、クイーンを激励。 だがその前に現れたカメレオンゾディアーツが、クイーンを襲う!
 サソリマント、あの格好で、スイッチを渡して回ってるのか……。
 「仮面ライダーフォーゼ、タイマン張らしてもらうぜ!」と、「仮面ライダー」の呼称をしっかり自ら使用。
 負傷を押して松葉杖を突きながら会場に現れたクイーンは、 相手の気持ちを考えない身勝手なプレゼントや汚い文字の手紙などゴミ箱に放り捨てられて当然だ! お前達は腐ったウジ虫だ!  地球上で最低の生き物だ! ×××の××××ぐらい根性見せろ! と強烈な自己正当化で迫力勝ちし、会場を一気に味方に。
 なりふり構わずラストワンで変貌したカメレオンにさらわれたクイーンは、故意に相手を挑発して突き落とされた所を、 フォーゼがマジックハンドでキャッチ。
 「自分のサイドキックの性格ぐらいわからないと、クイーン失格なの」
 「でも、無茶するぜ」
 「クイーンを助けられなきゃ、ナイト失格よ」
 「ナイトじぇねえし。……よーし、タイマン張らせてもらうぜ!」
 自信家の女王様が影で努力家というのは定番のキャラ付けですが、クイーンは今回でだいぶ格好良くなりました。 しかし天ノ川学園の生徒達は、クイーンに調教されすぎだと思います。
 「おまえともダチになるからな」
 怖いよ、友達ストーカーシステム。
 「カメレオンなんてみっともない。私に勝とうと思ったら、本気で努力しなさい」
 怖いよ、クイーンの調教技術。
 かくしてクイーンフェスは風城美羽の3連覇に終わり、賭けに負けた弦太朗は、転校を許される代わりにクイーンを月面基地に招き、 仮面ライダー部に入れる事に。
 「部員?! 失礼ね。私が部長でしょ」
 睨み合う女2人。
 「――如月。この責任は取れよ」
 胃痛に倒れる弦太朗……そして、クイーンが落ちぶれた途端に別の女に速攻で粉かけたキング(絶対バレてる)の明日はどっちだ?!

◆第5話「友・情・表・裏」◆ (監督:石田秀範 脚本:中島かずき)
「リーダーは作業するんじゃないの。みんなの心の支えになるのが仕事」 (風城美羽)
 何かと弦太朗にまとわりついてくるジェイク(1年生と判明)に、友達ストーカーの直感で胡散臭いものを感じた弦太朗は、 「おまえと友達になるのは一番最後でいいや」宣言。だがそのジェイクが馬ゾディアーツに襲われ、 新たにエレキスイッチを発動するフォーゼ。しかしそれは、弦太朗に恐れを抱かせる程の、凄まじい宇宙パワーを秘めていた……。
 見所は、冒頭からクイーンに邪険にされるキング(笑)
 ……なんだろう、《平成ライダー》的には、「キング」という通称が良くないのではないでしょうか。
 「その剣を持っていれば、おまえを殺す事になる。おまえを殺せば、おまえを愛している事になる。俺に愛などあってはならぬ」的な。
 そんなクイーンは割と宇宙がお気に入りな事が判明。部室で賢吾とユウキの関係をつつきに行ったり、 上から引っかき回しに行く役割としては、かなり面白い。月面基地で2人きりが良かった……! とか、 ユウキには「賢吾くん」と呼ばせているとか、弱点攻撃をされた賢吾が早くも露骨に狼狽しているのですが、学園ものですし、 賢吾のキャラもほどよく崩れ、相棒ポジションがヒロイン?ポジションにそれとなく気がある、というのは良い関係配置だと思います。 弦太朗だけだと98%いつまでもツッコまないので、クイーン参加によるわかりやすい変化としても良かった。
 だが多分全て、正ヒロインの座を狙うクイーンの罠だ!
 弦太朗が招かれたJKパーティは、むしろこれ、怒られないつもりだったのだろうか、と正直(^^;  シーンとしての面白さの為にリスクを抱えるのはわかるのですが、特に面白くないシーンでリスクを稼いでる無駄なチキンレース感。
 「スイッチの力を悪用はさせねぇ。大事なダチとの約束なんだ!」
 パーティに乱入してきた馬に立ち向かうフォーゼは、新たにスピーカー重低音攻撃と、ライダーハンマーを発動。 だが馬……ではなく一角獣ゾディアーツの角が伸びると剣になり、馬面を外して武器として装備すると下から騎士の顔が出てくる、 というのは正体がフェンシング部員と絡めて格好いい強化。
 再びエレキスイッチを使おうとするフォーゼだが、実はパーティの最中にジェイクの差し金で盗まれていた……で、つづく。
 「憎い相手がいるんだろ? だったら、力をあげよう。さあ……星に、願いを」
 今回、黒いアストロスイッチを生徒に渡すシーンがハッキリ描かれ、どうも影の薄いサソリマントさんを徐々に印象づけ。合わせて、 先生2人のどちらかが正体? と匂わせる演出が入りましたが、正直どちらも微妙なキャストなので、 どちらがリタイアしてくれても構わないなぁ(笑) まあ、匂わせて全く別の人、という可能性もまだまだ十分ありますが。
 ところで、仮面ライダー部の面々は、部室とロッカーの鍵はもっとちゃんと閉めた方がいいのでは。 クイーンとか全解放でしたが、小舅の歌星さんが、自動で閉まる装置とか配備してあるのか。

◆第6話「電・撃・一・途」◆ (監督:石田秀範 脚本:中島かずき)
「私の学園こそ、新たなる銀河だ。――宇宙は、私の手の中にある」 (赤い目の男)
 なくしたと思い込んだエレキスイッチを探す弦太朗は、馬の襲撃を受けた際にジェイクが隠し持っていた事を知り、開き直るジェイク。
 「人間は打算でしか動かねぇの。役に立つかどうかなの。友情なんて信じてる奴は、大馬鹿野郎だ」
 「だから言ってるでしょ。そういう奴なんですよあいつは」
 横に並ぶお馬さん(笑) 色彩がフォーゼと被り気味(白黒)なのは、わざとなのか。
 「そしてあんたは……」
 こうして2人の間に友情が……
 「あの男に、騙されて、俺に叩きのめされる、愚か者だ!」
 芽生えなかったーーー。
 ジェイクは馬に拉致され、仲間に連絡をして誰か1人でも助けに来れば許してやる、と賭を持ちかけられるが、ジェイクの呼びかけに応える者はなく、 自らの言行の因果にさらされる事に。
 「でも俺は行く。あんな奴だからこそ、助けにいかなきゃならねぇ」
 「助けても変わらないぞ。ああいう男は、なんにも変わらない!」
 「それならそれでも構わねぇ!」
 だがそこへ、駆けつける弦太朗。
 「俺もそいつは許せない。だからダチになる。そのねじくれて、ひん曲がった部分も含めて、受け入れる。それがダチってもんだ」
 ……いや、受け入れちゃ駄目じゃないかな……。
 気に入らない奴でも友達になる、というスタンスは賢吾との出会いから一貫しているのですが、 気に入らない奴の性根を塗り替えようとしすぎると押しつけがましいし、かといって腐った根性でも友達だ!  とやりすぎると良識の問題が出ますし、ここはバランスが難しい感じ。まあ基本的に、「友達になる」という事自体に、 「良い方向へ進む」という意味を持たせる構造なので、そこはそういうものとして受け止めておく部分なのでしょうが。
 ……が、ジェイクが回収していたエレキスイッチを渡した途端に友情タッチを始めるので、弦太朗が物欲に負けたみたいに(^^;
 今度こそエレキスイッチを使いこなしたフォーゼは金色の姿に(賢吾曰く「ステイツチェンジ」)変わると、 ライダー100億ボルトスラッシュで馬を成敗。
 ……変な名前をつける隙がない(おぃ)
 そしてその姿を、赤い目の男とサソリマントが見ていた。
 「電気か……それもまた宇宙を構成する重要な力だ」
 核に電気に重力磁力?
 「少し、動いてもよろしいでしょうか」
 「いいだろう。フォーゼの力が我々にとって引力か斥力か、試してみるのも面白い」
 ようやくゾディアーツサイドに若干のスポットが当たりましたが、黒いアストロスイッチを配り歩いている理由などはまだまだ不明。 少々小出しにしすぎている感じはありますが、話が動き出すのは部員が揃ってからになるのか。
 ジェイクは丁稚として強制入部する事になり、次回、キングが大ピンチ?!

◆第7話「王・様・野・郎」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:三条陸)
「高い車でも壊れたらすぐ乗り換えろ。スターはみんなそうする」 (大文字高人)
 日頃の素行不良がたたり、サボリの常連である賢吾、図書室に勝手に宇宙関連の書籍を増やそうとしていたユウキと一緒に、 休日特別補習を受ける事になる弦太朗。そこには職員室でPCのデータを改ざんしたアマゾン友子と、何故かキングの姿が。 不良を徹底的に敵視する指導教師・佐竹に目の敵にされる弦太朗だが、そんなタイミングで街にオオカミゾディアーツが出現する……。
 精神注入棒を振りかざし、攻撃的な言動と嫌がらせのような補習を行うアナクロな指導教師・佐竹の描写は見ていて楽しくないのですが、 弦太朗は弦太朗で普通に態度が悪いので、凄く困ったエピソード。
 厳しい指導教師の筈の佐竹が、話の都合で頻繁に自習にして教室を出て行くのもマイナス。
 フォーゼは、スモークボム、スパイクキック、クレーンアーム、と次々にモジュールを使用し、 クレーンアームで捕らえたオオカミにエレキ剣で電流を流し込むライダー電ショックで追い詰めるが、 そこに飛んできたアメフトのボールにトドメを邪魔されてしまう。
 クイーンに冷たくあしらわれている苛立ちもあり、「仮面ライダー部など許さん!」 と吠えるキングはロケット噴砂のフォーゼに食らいつき、普通に覆面ヒーローになれそうな人材だなぁ……。

◆第8話「鉄・騎・連・携」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:三条陸)
「彼はバッドボーイじゃない。僕の友達を決めるのは、僕自身です、父さん」 (大文字隼)
 今回のフォーゼはハサミハンドを装備、と玩具展開の都合か、矢継ぎ早にモジュールを使用。コンセプトは面白いとは思うのですが、
やはり、40個は盛りすぎだったのではないか……(週刊少年マンガだと、半分以上集まる前に連載が終わる的な)。 スピーカーとかホッピングとかハサミとか、お父さん、納期間際に徹夜明けのハイテンションで作りましたよね?!
 前回同様、弦太朗の態度の悪さは弁護できない(本人に悪意が無いのがむしろタチが悪い)、それはそれとして教師は嫌な感じにすぎる、 キングがただただ情緒不安定で面倒くさい、と見ていてきつい内容。
 「君のスイッチは極まった……もうじき、ラストワンだ」
 そんな中、ゾディアーツはスイッチを使えば使うほど徐々に人間から離れて強化されていく事、 三浦(1−2話のゾディアーツの正体)が現在入院中という事から、どうやらラストワンを使うと、 使用者の肉体に悪影響が出る事などが描写。あと今回、オオカミが外で暴れたので警察が出動・目撃しましたが、 弦太朗はどこでも誰の前でも平然と変身するし、この辺りはあまりこだわらない路線かなぁ。
 また、持ち出す度に賢吾が中でぜぇはぁしていた黄色メカは、一種のパワードスーツ的な乗り物だと判明。 これは最初の方でもっとハッキリ、見せてしまった方が良かった気はします。
 弦太朗達と一緒に校庭整備をやる羽目になったり、カメレオン女にフられたり、色々追い詰められたキングは、 父親の期待に応える為に頑張っていたのに、部員からは作戦が面白くないと言われるし、つい殴り飛ばして補習を受ける羽目になるし、 馬鹿な連中は無駄に楽しそうだし、俺って一体なんなのさ、と突然の涙の告白で無茶苦茶愚痴りだし、ストレスの挙げ句、 鞄をホームに叩きつけて別方向の電車に乗ってみた、みたいな感じに。
 キングは父親からの期待に過剰に縛られ自分が本当にやりたい事を見失っていた、と定番のキャラ付けで、 それが悪いわけではないのですが、この告白へ至る追い詰められ方はあまりに唐突な感。 美羽の件で地味にダメージ受けているのはわかるのですが、その割には、クイーンフェスで落ちぶれた時の手のひら返しが早すぎましたし(^^;
 「安心しろよ。父親の望む人間に、なりたいと思う気持ちは、別に悪くない。……な?」
 「……ああ」
 「お前達……」
 キングと和解しても地獄の補習は誤魔化しようがないのでどうするのかと思ったら、ジェイクがオオカミの正体は、 仮面優等生である佐竹の息子だと突き止めて登場。印象の悪いジェイクは、とりあえず実用性をアピール(^^;
 「俺は親父の人形じゃない」
 父への反発から、暴虐の狩りで憂さを晴らそうとラストワンを押し込む佐竹息子。キングの葛藤、 キングの父親への想いに感じる所がある賢吾、という流れからここで最後のポイントが繋がってくるのはさすがではあるのですが、 ここまであまりにきつかったです(^^;
 「もう俺はどうなってもいい……ダイザーしかない」
 「保健室の常連やチアリーダーには重すぎる道具だ。運動部のお手本を見ろ!」
 サソリとオオカミの2対1に苦戦するフォーゼを助ける為、台座スーツにキングが乗り込み、フォーゼと共闘。……サソリさんも、 ちょっとフォーゼにからんでみまーす、といって出勤したら、いきなり巨大メカにげしげし踏まれる事になろうとは思わなかった事でしょう。 オオカミは超電気ドリルキックで撃破し、補習テストは佐竹先生が手心を加えてくれて一件落着。
 そしてキングは仮面ライダー部員として月の大地を踏みしめ……雰囲気でクイーンを攻略しようとするが、あえなく袖にされるのであった。
 「ようこそ、仮面ライダー部へ。知っての通り、私が部長よ」
 「そんな部も無ければ、部長も居ない!」
 演出はみんな、宇宙服のシーンに苦戦してるなぁ……。仕草も表情もほとんど出せないので、面白く撮るのが非常に難しそう。
 キャスティング的には凄く役どころにピッタリの顔のキングは、クイーン同様オーソドックスなキャラクターだけに、 転向してからのクライマックスでは素直に格好いいのですが、しかし予算的に、次の台座スーツの見せ場が一体いつになるのか、 とても心配です。

◆第9話「魔・女・覚・醒」◆ (監督:諸田敏 脚本:三条陸)
「俺は魔法など信じない。信じるのは、コズミックエナジーとアストロスイッチ、それだけだ」 (歌星賢吾)
 見所は、女子高生に向けてガトリング砲をぶっ放すフォーゼ。
 ……仮面ライダー部は、歌星父が月面基地に困ったビデオメッセージを残していないか、今すぐ全力で調べるべき。
 はやぶさくんがお気に入りのオカルト少女・野座間友子。月世界の魔女になるという友子の言動を気にする弦太朗だが、 復讐の為に力を振るう魔女騒動に巻き込まれる事に。果たして魔女は実在するのか?! ……てまあ勿論、 影で暗躍しているのはゾディアーツなんですが!
 「ゴス?」
 「こいつみたいな連中の事だ。他人を拒絶するはぐれ者。地獄とか悪魔が大好きな、黒い女達さ」
 歌星さんはそれ、自分で言っていて心が痛くないのか。
 まあ多分、痛くない人種なんですが!
 「ようは、友達がいない奴等だろ。わかった、いいぜ。今日ここでダチになろう!」
 弦太朗も一歩間違えるとそれ、隣のダチに痛恨の一撃だからな!
 今回は、電球ハンド・シールドハンド・ガトリング足が初登場。また、 普段はハンバーガーに用いていたカメラスイッチをフォーゼのモジュールとしても使用。この辺りの、 劇中で登場人物だけが納得していてわかり辛かった部分を詰めてくるのは、三条さんらしい所。
 「私、元からこの星に居場所が無い人間だから」
 ファイアスイッチが他のアストロスイッチと違う事に気付くなど、特異な勘の良さを見せる友子は、 魔女になってこの星を離れる事を望んでいた。オカルトパーティに加わり、力を得たと思った友子はメンバーの復讐に協力し、 ロッカールームを包む炎。そこへ駆けつけた弦太朗は、ファイアスイッチを用いて、赤いレスキューフォーゼにステイツチェンジ。
 「やっぱり、それ、邪魔な力だった」
 「そいつは違うぜ。お前達を救う力だ!」
 消火に成功したフォーゼの前に魔女騒動の裏で力を振るっていた祭壇座のアルターゾディアーツが姿を見せ、フォーゼとの戦闘中、 友子はサソリマントから黒いアストロスイッチを受け取ってしまう……でつづく。
 赤フォーゼは、フォーゼ特有のてかりボディに色が映えて、なかなか良い感じ。 初回のレーダー→ミサイルのコンボ(レーダーハンド)から、電気(エレキハンド)、 氷と炎(冷熱ハンド)と来たのは素直に宇宙パワーの先輩『スーパー1』のファイブハンドオマージュかと思われますが、 今後の活躍を期待したいです。

◆第10話「月・下・激・突」◆ (監督:諸田敏 脚本:三条陸)
「正真正銘――月よりの使者、参上だ」 (如月弦太朗)
 アルターゾディアーツの圧倒的な火力に押し負けるフォーゼ。先日は馬にも余裕かまして立ち去られましたが、 各ゾディアーツの目的が仮面ライダーにない点(また、中身が一般学生なので怨恨は増大してもシビアになりきれない部分が残っている) が、この辺りは巧く利用されています。
 “ここではない何処か”を望む友子の“変わりたい”という願望を知った弦太朗は、フォーゼに変身すると友子を月へと拉致。
 「月に来たって……おまえはおまえだぞ、って」
 無理に変身する必要は無いと告げるフォーゼと、仮面ライダー部員それぞれの自分達が如何にダメなのか自慢を聞いた友子は、 そこに自分の居場所を見つけると、アルターゾディアーツの儀式を妨害。
 「月には……もう行ったから。何も無い、冷たい所だった! でも……暖かかった。私は……変わらない。変わらなくてもいい、 初めて、そう言ってくれる人に出会えたから」
 月(別世界)に行きたいという幻想に閉じこもる少女を、実際に月に連れて行くという力技で問題解決 して作品の特色を大胆に活かしましたが、今作はどうも、相手の気持ちを変える弦太朗の存在に説得力が弱いのが難で、 今ひとつこの瞬間の物語的快感が足りません。若い役者さんのはったり力の限界が出ている面もあるのですが、 そこは脚本や演出で工夫してあげないといけない所なわけで(この辺り、 メインライターである中島かずきが舞台脚本を主としてきた影響はあるのかもしれませんが)。
 また友子に関しては、逃げ出す事ばかり考えないでまずは今の自分を肯定する所から始めよう、というのはわかるのですが、 そこから「誰にだって欠点はある」と部員に振った結果、「自分の欠点を受け入れて開き直ろう」 みたいな空気になってしまったのは首をひねります(^^;
 「欠点もあるけど光る部分を認めよう」というのもわかるのですが、それと、「光る部分があるから欠点を変える必要はない」は、 地球と月ぐらい距離が離れているような。
 加えて部員達も、クイーン〔欠点の自覚と自己肯定が別次元で同居している〕、ジェイク〔スタンスを変える気は無い〕、 ユウキ〔明らかに自分では別に欠点だと思っていない〕、キング〔むしろそんな自分をチェンジ中〕、 賢吾〔そもそも俺に欠点などないから名前で呼ぶな!〕と温度差がだいぶあり、自分の短所の見つめ方がそれぞれ違う筈なのに、 全員が弦太朗の主張に沿って「無理に変身しなくていいんだ」という意識を持っているように描かれてしまい、 個々人の持っているテーマを無視して強引に一つにまとめてしまうという、雑な闇鍋みたいになってしまいました。
 メンバー揃った所で一体感を出そうという意図だったのでしょうが、これは大失敗。
 ラストワンしたアルターゾディアーツは学校を燃やし尽くそうとするが、台座ロボ大活躍でそれを阻止。賢吾は友子の直感にアドバイスを求め、 アルターの炎を吸収した赤フォーゼは、ライダー爆熱シュートで逆に焼却。弦太朗の心の力がアストロスイッチを進化させたと、 友子は呟くのであった……。
 前後編で部員が1人増える、というゴールありきの作劇がもう一つ巧く回りきっていない立ち上がりでしたが、 OPに並ぶ栄光の7人ライダー部員が揃った所で、次回、仮面ライダー部を襲う最大の危機。そして後回しになっていたユウキ回?

◆第11話「消・失・月・戸」◆ (監督:田崎竜太 脚本:中島かずき)
「こんなに静かだったか……父さんは、ここで1人でフォーゼの開発を」 (歌星賢吾)
 諸々のタイミングの悪さが重なり、ラビットハッチの入り口となっていたロッカーが廃品回収に出され、賢吾が1人、 月に取り残されてしまう。原因を作ったユウキは自分をストーカーする天文部員の牧瀬に頼み、牧瀬が変身する羅針盤ゾディアーツ (虫系のデザインがなかなか格好いいのですが、ハンミョウのモチーフか?)の力でロッカーを探してもらう事に。ところが……
 「僕が見たいのはね……君の泣き顔だから」
 ユウキが弦太朗と一緒に歩いている姿を見ていた牧瀬は、一方的な憤りからユウキに興味を失い、発見したロッカーに刃を向ける。 それを止めようとするフォーゼだが、羅針盤の物体操作能力により、なんとフォーゼミサイルがロッカーを爆発粉砕!
 「俺はもう……月から帰れない」
 月よ、俺のイケメンパワーを、恐れるがいい
 (作品も台詞も違う)
 生命の危機で口が軽くなった賢吾は、そもそもラビットハッチの入り口が放置された部室とロッカーである事について、 1年前に届いた差出人不明のプレゼントに入っていた、アストロスイッチと手紙について語る。
そのスイッチが新たなる扉を開く。
自分の運命を知りたまえ。
パスワードはFOURZE。
その運命をつかむかどうかは
君次第だ。
 スイッチを押した賢吾は突然現れたユウキに慌てて思わず諸々をロッカーに放り込んだ所、 そこに月へのゲートが出来てしまったのだった(おぃ)
 「そこで俺達は、恐ろしい真実と、フォーゼドライバーとに出会った」
 以前、「1年前に見つけた」と物凄く適当な説明だったゲートとラビットハッチについて、賢吾とユウキの出会いに絡めて、 しっかりとした由来が明かされました。ラビットハッチに残されたデータとフォーゼシステムを目にした賢吾は、亡き父の意志を継ぎ、 アストロスイッチを悪用するゾディアーツを止める決意を固め……1年後、如月弦太朗と出会う事になる。
 また、赤い目の男=天ノ川学園理事長=我望光明という名前と元宇宙飛行士で科学者という経歴、 賢吾父は地球外文明の研究で著名だった、と周辺の背景が判明。
 それにしても、流行しているのか、「バッドボーイ!」。

◆第12話「使・命・賢・命」◆ (監督:田崎竜太 脚本:中島かずき)
「あいつには俺達がいる。あいつがどう思っていようと、俺達仮面ライダー部はあいつのダチだ」 (如月弦太朗)
 羅針盤ゾディアーツに怒りを燃やすフォーゼ。
 「貴様というヤツは……その性根、たたき直してやる!」
 ……あれ、ひねくれた所を受け入れて、ダチにならないの?
 いやまあ、メタ的には“怪人扱い”なのでスルーという事なのでしょうが、正直、脇の甘さを感じます(^^;
 羅針盤ゾディアーツが立ち去った後、とりあえずフォーゼを打ち上げてみるが月までは届かず、その様子に苛立ちを募らせる賢吾。
 「出せよここから! 出してくれよ! 早く!」
 もう少し強がるのかと思っていましたが、歌星賢吾さん、折れるの意外と早かった。
 「仮面ライダー部、ふざけるな!」
 最近のストレスが暴発し、賢吾は大荒れ。
 序盤の描写から少々マンガ的な英才・達観・クールキャラなのかと思っていた賢吾ですが、 人生の危機に狼狽が表に出て周囲に当たり散らすなど、もう少し、未熟な学生らしさ、という方向へシフト。 青春・学園という今作のコンセプトから云っても、通り一遍なクールキャラ寄りにするよりも、幅も出て良い判断だと思います。
 「父さん……あなたはここで独りでフォーゼを造った。なんで、そんな事が出来たんです。怖くなかったんですか。僕は…………怖い。 ここで死ぬのは嫌だ!!」
 ここで賢吾の心情が出るのも演技を含めて良かったのですが、今作はホント、 相手の本音を引き出す為にストレスをかけまくるみたいな展開が続くなぁ(^^;
 友子は直感に従って行動を始め、ジェイクは牧瀬が目をつけていた女子生徒の何人かが姿を消している事を突き止め、 ユウキは園田先生の仲介で理事長の下へ。初めて日常シーンに登場した理事長を相手に、ユウキ、愛読書トークで好感度をゲット(笑)  そこからのエクストリーム土下座で理事長のコネで月に有人探査船を送り込んで欲しいと無茶を言い出したユウキはクイーンに連れ出されるが、 そのクイーンは羅針盤の能力によりバス旅行にご招待されてしまう。
 牧瀬/羅針盤ゾディアーツは、自分をフった女生徒達をバスに乗せて川へ落とし、流れ星へ変えてしまおうとしていたのだ!
 またもお邪魔に出てきたサソリマントをファイアで撃退したフォーゼはバスを追い、間一髪、バスを止める台座ロボ。 ゾディアーツを止める為に奮闘する皆の姿、その想いをラビットハッチの賢吾へと伝えるユウキ。
 「仮面ライダー部はごっこ遊びじゃない。みんな必死にやってる。賢吾くんが始めた事を、みんなが実行してる。凄いと思うよ、 みんなも、賢吾くんも」
 「……父さんは、このラビットハッチに独り残された。父さんはここで死んだ。でも、父さんは絶望しなかった。 ここで独りでフォーゼシステムを作り上げた。その息子の俺が、ここでやけになってちゃ……笑われるな」
 ……ああなるほど、賢吾父は、第1話冒頭の爆発で月に取り残されて、 無事だったラビットハッチでフォーゼシステムを造っていたという事なのか(少なくとも賢吾脳内では)。第1話の冒頭が、 ミスディレクション狙いを思わせるような映像だった事もありちょっとわかりにくかったのですが、ようやく事情が繋がってくれました。
 自分のやるべき事を見定めた賢吾は冷静にフォーゼに指示を出し、エレキと新モジュール・ステルスの合わせ技で羅針盤を撃破。 ……光学迷彩で5秒間、完全に姿を消せるって相当強い感じがありますか、大丈夫か。
 「父さん、見えるかい。俺にも仲間が出来たよ。父さんの志を継いだ仲間が。これはその旗だ」
 激昂に任せて一度は引きはがした仮面ライダー部の旗を、月面に立てる賢吾。だが地球にはどうやって帰ればいいのか…… と打ちひしがれたその時、そこにフォーゼが姿を見せる。実は羅針盤が見つけたロッカーは、大杉がすり替えた物(前回、 挙動不審の伏線あり)であり、本物のロッカーは無事だったのだ。友子の直感でそれが回収されてゲートが元に戻り、月面に集う仲間達。
 「……大したものだよ。俺の……友達は」
 ……大丈夫か賢吾、次の次ぐらいで死なないか(笑)
 そして賢吾はフォーゼと友情タッチ。
 「よし! 学園と地球の自由と平和を守る仮面ライダー部、ここに正式スタートだ!」
 あ、死線を越えて壊れた。
 戦いの始まりが明かされると共に、揃った部員が賢吾の使命を助け、賢吾が友情と仮面ライダー部を認める、 とここにヒーローチームが形になり、道中荒っぽい所はやや目立つものの、1クールを締めて構造としては綺麗にまとめてきました。 ここから増えたキャラをどうさばいていくのかなど、2クール目の転がし方が楽しみです。
 次回、帰ってきた三浦。そして、あ、あの人は……?!

◆第13話「学・校・拒・絶」◆ (監督:石田秀範 脚本:三条陸)
「宇宙に夢を、星に願いを」 (速水公平)
 ゾディアーツ化した生徒の不登校問題を解決する、と息巻く弦太朗はアメフト部の三浦の元を訪れるが、三浦は頑なにそれを拒否。 本心では学校に行きたい三浦が真に恐れているもの……それは、学校へ行くとスイッチを求めてしまう自分自身であった。 一方、理事長の命を受けたサソリマントは、三浦に再び星の定め――アストロスイッチを与えようと動き出していた……。
 『仮面ライダーW』のガイアメモリにもドラッグの隠喩的な要素がありましたが、 それをより進めてアストロスイッチの禁断症状に苦しむ生徒を描くエピソード。『W』のメインライターであった三条脚本という事で、 意識的に取り込んだ要素でしょうか。
 三浦は以前に「入院中」という言及があったので、ラストワンを押すと肉体に悪影響が出るのかと思っていたのですが、 よくよく考えるとカメレオン女はその後も普通に登校しているし、今回の描写を見る限り、要するに、 面の皮の厚さの問題なのか?(笑)
 そんな三浦に笑顔を取り戻そうと弦太朗達はユウキ脚本の青春劇場を展開し、見所は、凄い笑顔で三浦役をする賢吾…… 途中でキレた!
 フォーゼは新装備のピコピコハンマーでサソリにカウンターを浴びせ、ファイア&ガトリング&ミサイルのフォーゼフルバーストを放つが、 サソリは忍者を召喚してそれを防御。後半のバトルではこの忍者軍団を、蛇口からの水流で撃破。……父さん、やっぱり、いまいち、 父さんが信用しきれません!
 「先生嬉しいわ三浦くん。とっくに、気付いてたのね。自分の星の定めに。さあ、今一度――星に願いを」
 フォーゼはなんとか忍者軍団を蹴散らすが、1人になった三浦に近づくサソリマント……その正体は、あの女教師、 と遂に正体が判明した所で、つづく。このゾディアーツ側のキーフレーズは、結構好きです。
 新キャラクターとして、お母様方に絶大な人気を誇るイケメン校長・速水公平が、ギャレン色のジャケットで登場。 誰の仕込みかわかりませんが、きっとわざとだ。
 甘いマスクと胡散臭い笑顔に不穏な気配を漂わせる速水校長を演じるのは、過去に『仮面ライダーブレイド』において、 へたれの中のへたれ、キング・オブ・へたれ、 すなわち既にキングフォーム、で名を馳せた役立たず……じゃなかった、 橘朔也役が印象深い天野浩成。正直、私の中で橘さんのイメージが強烈すぎる為、慣れるまで時間がかかりそう(^^;
 次回、そんな校長と入れ替わりでサソリリタイア?

◆第14話「毒・針・猛・襲」◆ (監督:石田秀範 脚本:三条陸)
「俺、馬鹿だから、ダチを守る事しか、自分がねぇんだ」 (如月弦太朗)
 ……友達ストーカーの弦太朗から、自分はアイデンティティを友達に依存しているという物凄く怖い発言が飛び出したのですが、 大丈夫かその設定?!
 「こんな弱い人間の気持ちが、おまえみたいな奴にわかってたまるか。おまえがどんなに止めたって、 きっと俺は最後には押しちまうんだ。スイッチを……」
 三浦は弦太朗の差し伸べた手を振り払い、サソリマントに猛毒を撃ち込まれる弦太朗。 12星座の使徒のみに使える究極の力・超新星を理事長から与えられ、怪獣モードになったサソリを相手に、フォーゼは、 仮面ライダー部は、勝利を掴む事が出来るのか?!
 見所は、台座ロボで壁登りから横っ飛びを決め、屋上から投げ出された弦太朗とジェイクを救うキング。この人、この調子で鍛えれば、 覆面系のアメコミヒーローとしてやっていけそう(実家が金持ちだし)。
 「見たまえ……この空の向こうに、星の海が待っている。我々の進化を星々も望んでいるのだ。さあ――星に願いを」
 「俺の願いは……たった一つだけだ。また昔みたいに笑いたい。……そんな物に負けない心になって、また……また学校に行きたい。 如月たちと笑いたい。それだけだ!」
 かつて浮かべていた笑顔の自分の写真を目にした三浦はアストロスイッチの誘惑に打ち勝ち、駆けつけた弦太朗と友情タッチ。
 「馬鹿な。どうやって私の毒を」
 「知らねぇのか。ダチは青春の特効薬だ。なんでも治っちまうんだよ!」
 前編からしつこく、弦太朗が「俺を薬として飲め!」と滑っていたのですが、賢吾決死の生身メディカルスイッチ発動と絡めて、 ここは上手く繋げました。
 それはいいのですが、キングとジェイクの解毒薬は、ここまで来てフォーゼ変身してから取り出すのか(笑)
 後、三浦の最高の笑顔は、アメフト部でボールを磨いていた時で本当にいいのか。
 忍者はまとめて焼却し、再び巨大化したサソリは宇宙へ打ち上げると宇宙キックを浴びせるがさすがにこれは弾き返され、 折り返しの大宇宙キックで撃破。地表に落下したサソリの正体を確認しようとするフォーゼだが、 別の幹部が現れると幻覚で先生の姿を隠し、身柄を回収して引き下がる。
 「以後は君に一任するよ、リブラ」
 「重いですね、その責任」
 女教師を回収していったリブラゾディアーツの正体は、特に引っ張らずに校長先生と判明。編み笠被っているような頭部の形状は、 『聖闘士星矢』(老師)オマージュだったりするのでしょーか。と初見の時は穿ってしまったのですが、素直に、 天秤の秤を上下に合わせた意匠か。
 園田先生はスコーピオンスイッチを一時没収されるもこれまで通りに教員を続け、表向きは笑顔で弦太朗達とも接してみせる、 とこれはちょっと面白い要素。
 (見てなさい、必ずもう一度……私の星座を取り戻してみせる。あの御方に、認めていただくんだから)
 単純に校長先生とレギュラー入れ替わりとしなかったのは良かったですし、 スカートひらひらさせたマドンナ先生という毒に薬にもならないし美人度も微妙という立ち位置よりも、 本性見せてからの方が断然面白くなっているので、この後の使われ方にはけっこう期待。
 そして学校に戻り、仮面ライダー部に勧誘された三浦は、それを断り、彼女の居る写真部に入部。…………てあれ、 アメフトへの愛は?!  嫌だ嫌だと言っていた筈のボール磨きにもなんだかんだ青春傾けていてそれが誘惑を断ち切る要因の一つとして描かれたのに、 最後に全く拾われないのは、少々困惑(^^;

→〔その2へ続く〕
→〔『MOVIE大戦MEGAMAX』へ続く〕

(2016年10月2日)

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