■『FLASH』<シーズン1>感想(前編)■


“僕の名前はバリー・アレン。地上最速の男だ。
 子供の時、母さんがありえないものに殺され、父さんが犯人にされてしまった。そして事故が起き、僕がありえない存在に。普段は警察の科学捜査官として働き、密かに悪者を退治しながら、僕みたいな力を持つ奴等を探してる。いつか母さんを殺した犯人を見つけて、父さんの無実を証明してみせる。
 ――僕はFLASHだ!”



 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた海外ドラマ 『FLASH』<シーズン1>感想の、(前編)(第1話〜第14話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第1話「誕生」(「Pilot」)◆
 ちょっと気になっていた、アメリカのヒーロー物TVドラマが地上波でやるというので、録画して視聴。
 主人公バリーが少年時代に軽くいじめられっ子でお母さん大好きでそのお母さんが何者かに殺害されて…… というベタもベタな導入で軽く不安を感じたのですが、そこから、テンポ良いキャラクターの見せ方が巧みで、ぐっと面白く。
 ヒロインのアイリスが主人公と非常に親しげなのに、粒子加速器の説明に早口になる主人公に「恋人を作った方がいい」 とか言うのでどういう関係なのかと思ったら、家族を失った主人公を育ててくれた家の娘で、 元々幼なじみの上で完全に姉弟感覚になっており、主人公懸命のアピールを笑顔で完全スルーで、超酷い(笑)
 おまけに主人公が9ヶ月の昏睡から目覚めたらイケメン刑事と付き合っていて、滅茶苦茶酷い(笑)
 著名な科学者ハリソン・ウェルズが率いるスターラボが開発した粒子加速器が実験中に事故を起こし、 その影響で発生した謎の落雷に打たれて昏睡状態だったバリーは、目が覚めると、時速400kmを遙かに超える超高速で走れる力と、 人間の常識を越えた脅威的な肉体回復力を身につけていた。だが、事故の影響で誕生した超人は、バリー1人では無かったのである……。
 と、能力:凄く早く動けるのヒーロー誕生までが、第1話。
 14年前の母親の死に超常的な力を持った存在が関わっていたと考えるバリーは、自分が身につけた力で悪の超人を捕まえようとするが、 実験事故を起こした事で社会的名声や信望を失ったウェルズ博士に、君の体が心配だ、と止められる。 バリーの細胞に秘められた回復能力を研究すれば医療などの分野で大きな進歩が見込めるから命がけのヒーローごっこなどもっての他だ、 と正論ぶって主張する博士ですが、それ全て、あなたの名誉回復手段ではないのか?!(笑)
 その後、考えを改めて(と主張して)バリーに協力する事になる博士ですが、存在が超怪しい。
 「だが止められるのは、君しかいないんだ。君になら、必ず、出来る、バリー。走れ! いいか、走るんだ!!」
 は格好良かったですが。
 そんな博士は、吹き替えが宮本充なのが最高です。
 バリーは超高速逆回転で竜巻強盗を打ち破り、ヒーローとして悪を倒す(人を救う)事で、 かつての無力だった自分を一歩ずつ乗り越えていく。
 「……今ようやく、人生を生きてる気がするんだ。正直、母さんが死んでから前に進めなかった。色々な事を諦めてきた。今は違う。 僕を支えてくれる、仲間もできた。前に進んでる」
 トラウマの克服と家族の再生、というのをストレートに押し出してくるのは、あくまで個人的なイメージですが、 アメリカのヒーローぽいなー、と思う所。そういう軸の固さが物語の強度に繋がっており、 バリーを接点に重なり合う二つの家族のドラマとヒーロー誕生がしっかり組み合わさって、面白かったです。
 別ヒーロー(アロー)の唐突な登場と知人扱いには戸惑いましたが、元々『アロー』の好評を受けて、 クロスオーバー前提の作品だそうなので、これは致し方ない所か。
 次回以降も楽しみです。

◆第2話「地上最速の男」(「Fastest Man Alive」)◆
 ・言動と行動の全てが胡散臭い博士
 ・主人公からの好意にだけ鈍感で主人公がヒーロー引退しようと思った絶妙なタイミングで“赤い閃光”に興味を持ち出すアイリス
 ・職場でそんなアイリスといちゃつくイケメン刑事エディ
 ・コスチュームの制作者であるところの所員Aシスコ
 ・比較的良識人かと思ったらやっぱりマッドだった所員Bケイトリン
 …………主人公の周りが困った人ばかりですよ!
 その中で比較的まともなのが実父ヘンリーと育ての親ジョーなのですが、割とコミカルな部分が多い中で、 この育ての親(でありヘンリーを妻の殺害容疑で逮捕した刑事)ジョーとの関係性が、物語全体を引き締めています。
 今回はその育ての父とのわだかまりの解消を軸にしながら、調子に乗るヒーロー、反省するヒーロー、真人間に戻ろうとするヒーロー、 自分を信じて再起するヒーロー、仲間の大切さを知るヒーロー、と、 ヒーロー物の立ち上がりの基礎をまとめて詰め込んで1エピソードにしまったという豪勢な内容。
 せっかく胡散臭い博士胡散臭いにガツンと言ってやった養父が、 博士の口車に乗せられて結局丸め込まれてしまいストッパーにならなくなってしまいましたが、養父は養父で、 メタヒューマンの存在を知る事で過去の主人公の証言を信じ、主人公父の無罪を認めた事に対して処理できない引け目を負っており、 それが主人公の背中を押す事で、「俺たちで無実を晴らそう」という新たな絆になる、という着地は良かったです。
 死亡フラグ立てまくりだったので、第2話でリタイアして、主人公のヒーローとしてのモチベーションになる、 という展開でなかったのもホッとしました(^^;
 その展開自体はあってもいいのですけど、序盤でリタイアさせるには惜しいキャラだと思っていたので、生存してくれて何より。
 ……まあ、メインキャラの中では、いつ死んでもおかしくないキャラ暫定トップではあるのですけど(^^;
 第1話のオチがよくわからなかった博士は、今回のオチを見ると、未来が見える、或いは、 粒子加速器の事故の時に未来の新聞記事を手に入れた? という事なのか。この調子で毎回、怪しい博士が怪しさを増すオチになるのか。
 博士は思わせぶりに引っ張るのではなく、この人は露骨に怪しい人ですが皆騙されてます、 というのを隠さない演出が面白い(笑)

◆第3話「戻れない過去」(「Things You Can't Outrun」)◆
 目撃者も物的証拠もない、毒ガスによる大量殺人事件が発生し、「直感だが……この事件には、我々の他に、応援が要る」と、 事件の背後にメタヒューマンの関与を感じてスターラボへ向かうバリーとジョー。
 「面白い。毒ガスを操るメタヒューマンか」
 「毒ガスだけじゃなくて、全ての気体を操れるとか」
 「どうやって操るのかしら? 生理学的に? それとも、精神的にかしら?」
 だが頼れる仲間達はちょっと困った人ばかりだった!
 「……こういうネタが大好きなんだ」
 「俺が好きなのは、犯罪者を刑務所に入れる事だ」
 倒したメタヒューマンは葬り去ればいいじゃん、とノリの軽い博士だが、それはさすがにまずいという話になり……その解決策が、 私設刑務所という点に、スターラボの人達の人間性が濃縮されています(笑)
 しかも今回のラストまで見ると、実質的な処刑ぽいのですが。
 無用の長物と化している元粒子加速器の空間を、メタヒューマン収容施設として改造する事になり、 他人のトラウマとか知ったこっちゃない博士に代わり、9ヶ月前の事故で婚約者ロニーを失ったケイトリンに気を遣うバリー。
 その事故の際に重要な役割を果たしていたシスコもまた、過去の惨事と向き合う事になる……と、 いっけん趣味に走っているように見える所員2人にも戻れない過去への悔恨があり、博士と差別化。
 ケイトリンと一緒にガスを分析していたバリーは、毒ガス殺人事件の一報に現場に向かうが、 体をガス化する事で物理攻撃無効のメタヒューマンに翻弄された挙げ句、毒ガス攻撃を受けて息も絶え絶えなんとかスターラボに帰還。
 「体の中に……毒ガスが残ってる……」
 「サンプルが手に入るぞ」
 博士は本当に、最低すぎて素晴らしい(笑)
 超高速移動及び動体視力(ただし燃費が悪い)という、サブスキルとしては最強系の能力を持っているFLASHですが、 それがメインスキルとして突出している為にバランスが悪いのと、スピードを有効活用する為のサブスキルを所持していない為に苦戦しがちで、 そこを仲間達の協力と知恵と根性で攻略していくという構造。
 肉体の部分加速が出来るようなので、FLASHに一番相性が良いのは投擲武器でないかと思うのですが、それは禁じ手なのか。
 事件を防げなかった事とガス人間に完敗した事でまたも落ち込んだバリーは、もう父さんを脱獄させちゃる、とわめき出すが、 ジョーに諭される。
 「おまえの最大の敵は、妙な力を持ったモンスターじゃない。人を救おうとして何も出来なかった時に、 無力感に襲われる事だ。…………それと、判断を間違えた時の、罪悪感もな」
 養父ジョーは、父親にして、犯罪者と戦う先輩にして、バリー父に冤罪を負わせた後悔を抱いていて、という造形が秀逸。
 「戦っても仕方ない事は、勿論ある。それを背負って、生きてくしかない」
 落ち着いたバリーは、ケイトリンに気を遣っていた筈がトラウマを刺激したのに気付いて反省し、2人で粒子加速器の前へ。
 「僕は知ってる。…………彼はヒーローだ」
 「ヒーローになんてなって欲しくなかった。夫になって欲しかった」
 バリーとジョーが引きずる事件と、スターラボの惨事を、取り戻せない過去として重ねつつ、ヒーローとは何か?  という視点を複数入れて単調に正当化しない辺りも巧み。
 ロニー(ケイトリンの死んだ婚約者)はその内、メタヒューマンになって復活しそうな気もしますが。
 ガスの分析から怪人の正体がわかり、次の標的がジョーと判明。父と面会中だったジョーを間一髪で助けたFLASHは、 消耗戦に持ち込んで何とかガス人間の撃破に成功する。お父さんに正体を隠す為に顔だけ高速振動が器用(笑)
 娘とイケメンデカはジョーが弱っている所で付き合っている事を白状して射殺を免れ、ガス人間は地下に収容され、 ケイトリンとシスコはあの夜の事件から一歩前に進み、バリーはお父さんと面会し、今回は平和に落着かと思ったら……
 9ヶ月前のあの夜、博士はバリがーがダークマター雷に打たれるのを確認していた……というか、 バリーの部屋を盗撮していた。
 「バリー……もうすぐ会える」
 今回も絶好調の博士がどん引きの剛球を投げ込んできた所で、続く。
 安直に考えると、博士の正体は未来から来たバリーとかなのかなぁ……。
 随所にヒーロー物としてのツボを押さえつつ、今回なら、ガスの成分分析から少しずつ犯人の正体に迫っていって、 クライマックス直前で犯人の正体と目的が判明する、という超常怪人犯罪ものとしてもしっかり出来ていて、いやー、面白い。
 ジョー(刑事)−バリー(科学捜査官)−スターラボ(科学者)というポジションの繋がりと、 バリーを中心にした両サイドにそれぞれ物語の軸が存在しているという基本構造も、シンプルながら良く機能しています。 今後ここに、“赤い閃光”に興味津々のヒロインのウェイトが増してくるのでしょうが、引き続き楽しみ。アメリカの連続ドラマなので、 きっとシーズン1の最後に酷い引きをされて、えーーーみたいな気持ちになるのでしょうけど(偏見)。

◆第4話「キャプテン・コールド」(「Going Rogue」)◆
 冒頭、「これまでの『FLASH』」に知らないキャラが出てきて、 気付かない内に1話録り逃したのかと思って動揺していたらそんな事は無かったのに本編にもごく当然のように登場して困ったのですが、 どうやら『アロー』のキャラでクロスオーバーネタな模様。
 TV放映の都合で小刻みにカットしていたのか、元々クロスオーバー部分に潔く説明が無いのかわかりませんが、 中盤ぐらいまで関係性がちんぷんかんぷんで、さすがに困りました(^^;
 今回はそんなクロスオーバーキャラのフェリシティとバリーの微妙な関係、ジョーとアイリスとイケメン刑事の問題、 バリーとスターラボの仲間達のトラブル、を絡めて展開。
 バリーにいい感じのガールフレンドが出来た、と喜んでテンション上がるアイリスの天然ナイフが、 ぐっさぐっさと突き刺さります。
 ヒロインが無自覚に毒蛾のナイフで痛恨の一撃を連発してきて、物凄く凶悪。
 ある種の逃げ道だったヒーロー活動の方にまで侵食してくる辺りが容赦なく残酷。
 耐えろ、バリー! 走れ!
 シスコが以前にこっそり開発していた超低温ガス銃が犯罪者の手に渡ってしまい、メタヒューマンではなく、 超兵器を手に入れた人間が敵、という変化球。FLASHは超スピード能力に対する天敵となる絶対零度の炎に追い詰められるも仲間達に助けられるが、 犯人――キャプテン・コールドには逃げられてしまう、というのも変化球ですが、クライマックス、 脱線した電車の乗客を超スピードで助けていくシーンは非常に格好良かったです。
 そしてキャプテン・コールドは、もう一つの武器を別の男に渡す……という所でつづく。
 ところで最後にキャプテン・コールド(シスコ命名)がシスコ達を見逃してくれたのって、 つけられた愛称が気に入ったからという事で良いのでしょうか(笑) あの対応は、多分、気に入ったのだと思うのですが。
 今回は博士のどん引きおまけコーナーは無しでしたが、FLASHに危険を及ぼす兵器を作っていたシスコに激怒する姿で、 どん引きシーンはしっかり確保。明らかに、兵器を作っていた事に怒っているのではなく、 「私のバリーを傷つける可能性」に怒っており、シスコの博士を見る目が、「え? 博士、 そっち?」になっているような気がしないでもないでもない。
 走れ、バリー! 走れ!
 アローはEDの映像だと何故かFLASHに叩きのめされているのですが、その内ちゃんと出てくるのかなー。まんまと転がされていますが、 もともとスナイパー系キャラは好きなので、アローもちょっと気になってきます。……アローが弓矢をどう使うのかは知りませんが(笑)  あ、でも、映画『アベンジャーズ』でホークアイが見せた弓矢格闘術が凄く好きなので、打撃武器でもありです。

◆第5話「人間兵器」(「Plastique」)◆
 かつて共同研究していた軍人を、あいつ嫌な奴なんだよ、と説明する時に、いやでも私は純粋に医療の発展について考えていたんだけどね!  と聞かれもしないのに付け加える相変わらずな博士ですが、これはジャブ。どこかで入れてくるだろうと思われた善良なメタヒューマンが登場したのですが、 博士のスーパーどん引きタイムの餌食になってしまいました。酷い。ちなみに10年前に手を切ったと主張していたけど、 本当は5年前まで一緒にやってたよ!
 前回今回と、ラストにFLASHが敵を倒す、という以外のシーンを持ってきつつ、 クライマックスでしっかり盛り上げるヒーローの見せ方のバリエーションはお見事。前回の列車事故からの救出も格好良かったですが、 今回の水上を時速1000km越えで走るFLASH! も格好良かったです。
 そこに至る伏線が、ビルを駆け上る為の速度を計算する→とりあえず速く走れ、という冒頭のギャグで準備してあって、 シスコが計算する→博士が一足先に暗算で答を出す→結局FLASHは頑張って走る、という形で繋がるのも巧い。
 マーベル・ユニバース系の映画を見ていても思いますが、緊迫した場面におけるユーモアの入れ方が、実にスマート。
 その代わり、溜めを効かせた演出とかはあまりしないので、この辺り、作劇の理屈(蓄積)の違いが出るなぁと思う所です。
 日本式ヒーローに慣れ親しんでいると、ここで見得を切ってくれれば、と思う事がたまにありますが(笑)
 スーツを爆破されて怒るシスコや、あの連中に任せていても大丈夫なのだろうかとちょっと不審が顔に出るゲストも面白かったし、 代謝が早すぎて酔えないネタもラストで効いたり、安定した出来。
 それにしても、どう見ても《説得》スキルとか無いバリーに娘の説得を任せるのは、お養父さん、選択が間違っていると思います……!
 前回今回とバリーの敗北が続いたので、次回あたりは、すきっとした話が見たいかなぁ。

◆第6話「その名はフラッシュ」(「The Flash Is Born」)◆
 「これはインタビューじゃない」
 「いいでしょ、情報を頂戴。趣味や嫌いな物、好きな色は? あ、いえ、最後のは取り消す。間違いなく赤ね」
 「話を聞くんだ」
 「聞こえてるけど聞きたい事を選んでるだけ」
 ……アイリスはあれだ、“バリーにだけ鈍い”のではなく、知りたい情報以外は無意識にカットしているんだ(笑)
 まあ、FLASHの中身から出るバリーの波動を無意識に感じ取って自然とマウントを取っているのかもしれませんが。
 そんな困った系ヒロインのモノローグによる「FLASH」名付け編なのですが、毎度OPナレーションの最後に「僕はフラッシュだ」と言っている事で、 ヒーローとしてのステップアップと前回こじれたバリーとアイリスの仲直りに絡め、 これまでヒーロー名が存在しなかったFLASHが満を持してその名を名乗る、というサブタイトルの劇的さがもう一つ。
 ……と思っていたのですが、原語でも冒頭ナレーションを「I am The FLASH」で締めており、 ご存知ヒーローのオリジンを敢えて描くという演出意図だった模様。
 よくよく考えてみれば第1話ラストで未来新聞の見出しという形で既に「FLASH」と名前は示されていたので、 日本で言うならば「僕は鉄腕アトム」とか「俺がガンダムだ」という事のようです。
 ところで、日本語だと「“赤い閃光”は絶対嫌だ」と言うバリーが「フラッシュならOK」になるのですが、 赤い閃光ってRed Flashではないのか……と思っていた所、アイリスのブログ見出しによる名称は「RED STREAK PHENOMENON」との事で、 邦訳するなら「赤いすじの現象」……確かに、それは嫌だ。
 街に、鋼鉄の体を持つメタヒューマンのATM強盗が出現。その正体はバリーのかつての同級生にして、 バリーをいじめていた乱暴者だった。二度までも鋼鉄マッチョに叩きのめされるバリーだが、さらわれたアイリスを救うべく、 負け犬だった自分を乗り越える為に三度立ち向かう――。
 今回の犯人は粗暴犯で、超人犯罪の真相に迫る過程よりも、かつてのいじめっ子をバリーが乗り越えていき、 その過程で周囲との友情がまた深まっていくのが主眼。バリーが格闘の訓練をしたり、 一方的に僻んでいたけどイケメン刑事が思ったより気さくな奴だったりで、堅実でぬかりのない進行。
 特に、ここまで“アイリスの彼氏”=“バリーにとっての潜在的障害”であり、気取ったイケメンというだけの扱いだったエディが、 出来ればバリーと友達になりたいアプローチをしてきたり、チビでデブでスクールカーストが低かったというジュニア時代の苦い思い出を語ったり、 とぐっと距離が縮まったのは良かったです。
 遠回しに、アイリスの為にもバリーと友情を結びたいアピールしてくるエディの意外と不器用ないい人ぶりも巧く、こうなると、 今作の警察関係者は初期状態で死亡フラグが1本以上立っているので、エディも死んで欲しくないなぁとなる辺りも、あざとい(笑)
 引き続きジェラシーの対象ではあるものの(エディから、「アイリスと仲が良くて最初は嫉妬していた」と聞かされ、 初めてバリーがエディに親近感を覚える、というのも巧い)、科学者バカ以外のお友達というのもスパイスになっており、 良い立ち位置です。
 科学者バカの人達は相変わらずで、「どんな物質でも、十分な速度で衝突すれば、損傷する筈だ」と、 鋼鉄男にダメージを与える為の速度を嬉々として計算する際のやり取りは、今作の大きな魅力。
 比較的、駄目男耐性の高いケイトリンから、バリーの姿で会えないからってコスチューム着てアイリスに会いに行くのはちょっと 「気持ち悪い」と、一発いいパンチもらいましたが!
 バリーは、養父の教え、イケメンのアドバイス、科学者バカ達の計算、そしてバリー自身の勇気を結集した、 8.6kmマッハパンチで鋼鉄マッチョを打倒。
 人間関係に臆病な面のあったバリーが、身近な人々をの支えを力とし、 愛する人を救う為に必殺パンチを放って過去の壁を一つ乗り越える、という見事なヒーロー構造になっており、 この地味だけどしっかりした組み立ても、今作の素敵な所。
 超人墓場に閉じ込めた鋼鉄マッチョにわざわざ素顔をさらし、「ざまーみろこのクズ野郎!」とうさを晴らす所は、 大人の階段を高速スキップで駆け上りすぎた気はしましたが!(笑)
 イジメ、良くない。
 一方ジョーが、視聴者の多くが疑いの目を向ける、ストーカー博士と14年前の事件について追及するというのも、ぬかりなし。 博士の過去を調べ、事件には無関係と結論づけるジョーだが、そこに“謎の黄色い閃光”が瞬くと、全ての証拠品を回収した上で、 これ以上事件について嗅ぎ回るな、とジョーを脅迫して姿を消す。
 果たしてこれは、毎度お馴染みスーパーどん引きタイムなのか?! それとも? と、実によく出来ています。面白い。

◆第7話「失われた力」(「Power Outage」)◆
 高圧電流を自在に吸収・放出する電気マンの攻撃を受けたFLASHは、その能力を失ってしまう。 博士への復讐をもくろむ電気マンはセントラルシティに大規模な停電を引き起こすと、スターラボに侵入。同じ頃、 停電の混乱に乗じた凶悪犯が、ジョーやアイリスらを人質に、警察署に立てこもってしまう……。
 ヒーローが能力を失った状況で、スターラボと警察署で二つの危機発生というサスペンス展開。
 電気マンの説得を試みるバリーだが、
 「悪いのは君じゃない」「ああ、ウェルズ博士だ」
 という時の博士の、(あー、やっぱりそっち行ったかー)という表情が最高です。
 それにしてもバリーはどうして、自分が《説得》スキルを持っているつもりなのか、いつも疑問(笑)
 ストーキング日誌を披露するなど、今回いつにも増してキレキレの博士は、前回捕まえた鋼鉄マッスルを解放して電気マンと戦わせるが、 電撃と金属って相性悪いのでは……? と思ったら、あんな筋肉、私のバリーの為の囮で時間稼ぎに決まっているじゃあないか、 と愉快な所員たちすら引かせる外道発言。
 さすがにキレるバリーですが、最終的に、電気マンの前に自ら進み出て「あの3人には手をだすな!」 と演説ぶった博士の姿に丸め込まれてしまう辺りがお人好しです。
 ……博士どうも、切り札はまだ温存しているぽいっしなぁ……。
 鋼鉄マッスルは、前回「このステロイド野郎! おまえは一生そこでひからびてな! HAHAHA!!」みたいな扱いを受けたのに、 「バリー……逃げろ……」みたいに言い残して絶命し、変なポイントを稼ぎました。誰も完全に死亡を確認していないので、 復活したりするのかしら。
 ショック療法と博士の命の危機に力を取り戻したバリーは、より強化された能力により電気マンをオーバーヒートさせ、撃破。
 真っ赤なボディースーツの男とスキンヘッドの男が至近距離で向かい合ってばちばち火花を散らしながら「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」 と叫んでいるという、変なクライマックス(笑)
 警察署の方は、FLASHを待たず刑事チームの機転で解決、というのは意外でしたが、立てこもり犯は妙に個性的だったので、 引きネタだったりするのかしら(これも別作品のキャラとの事)。
 絶好調で疾走するおはようからおやすみまで博士のスーパーどん引きタイム+電気マンの吸収能力、 謎の未来新聞、新たに登場した人工知能、と全体的に引きネタが多く、構成は面白かったけど爽快感は弱かったエピソード。
 次回、プレイボーイのタコ野郎らしいアローさんに、非モテ歴25年怒りのマッハパンチが炸裂する?!

◆第8話「フラッシュVSアロー」(「Flash vs. Arrow」)◆
 見所1は、アローの正体を言い当ててどや顔の博士。
 見所2は、ヒーロー歴8年のアローに「あいつ、胡散臭くね?」と言われる博士。
 以前にプラスチック相手に、一種の催眠能力がある?事を匂わせた博士ですが、今回はそれをフェリシティに向けた節あり(失敗?)。 ただ前回の電気マンやプラスチック回の軍人には使用しておらず、博士が実際に何が出来るのかは引き続き不明。 前回は催眠能力を鋼鉄マッチョに使っていた可能性はあるので、24時間に1回しか使えないとか、制限があったりするのか。
 今回は、人間を怒りの感情で支配し凶暴化させるメタヒューマンにより、銀行が大パニックに陥るという、 ちょっと東映ヒーローチックな出だし(笑) 50万ドルを強奪したメタヒューマンを追う警察とFLASHは、 散弾銃を手に暴走した警官に撃たれそうになるが、通りすがりのアローに助けられる。とある敵が使うブーメランの秘密を追い、 アローが仲間達とセントラル・シティを訪れていたのだった……。
 FLASHとアロー、2人のヒーローの友情、修行、衝突、対決、共闘、そして“ヒーローの哀しみと覚悟”を後輩に伝える先輩、 とてんこ盛りの本格コラボ編。
 コラボネタの説明不足が目立つ今作ですが、今回は単独で、アローがいかなるヒーローか、 というのはある程度はわかるようになっており、スーパーパワーを持たない代わりに、 鍛錬と精神と筋肉と知恵と金と下準備で戦うバイオレンス自警団アローと、 心身よりもスーパーパワーが突出しすぎた歪さを抱えている道徳的正義の味方FLASHとの対比が巧みに描かれ、面白かったです。
 基本善人だけど、テンション上がるとやんちゃする傾向のあるバリーは、アローとの共闘にはしゃぐもその忠告を素直に受け入れられず、 1人で先行した挙げ句、メタヒューマンの能力に囚われてしまう。アローやケイトリン、 果ては部長やジョーにまで激情をぶつけたバリーは、遂にエディにジェラシーアタックした所で、止めに入ったアローと激突。
 「この世のイケメンゴリラは全て俺が倒す!」と激怒するFLASHはこれまでで最高のパフォーマンスを発揮し、 馬用の鎮静剤をぶち込まれるも、全身高速振動で緑色の煙を噴き上げながら回復したシーンは、今までのFLASHで一番格好良かったかも(笑)
 アローがどう見ても必要以上に罵倒されたり、小刻みなパンチを食らったりしている原因は、アロー(の正体)が、 アイリスの「浮気するならこの男ベストスリー」に入っているからに違いなく、アイリスの好みの徹底が判明した結果、死ね、 死ねこのセクシーヒゲ系マッスル!! というバリーの魂の叫びがセントラルシティーの路地裏に響き渡ります。
 最終的には戦闘経験に勝るアローが暗器の数々でFLASHの動きを止め、スターラボの力で暴走状態を解除。 今回はフラッシュvsアローのバトルが目玉という事でか、2人なら負けるわけがないさ、 と手を取り合った後はメタヒューマンの確保シーンはばっさり切り捨てられ、いきなりの牢屋(笑)
 そして、私設刑務所を自慢し合うヒーロー達であった。
 ……うーむ、ジャンパーソンも、ロボットを破壊する代わりに私設ロボット刑務所を作ればもう少し人道的に見えたのか……?!(見えない)
 なおアローの本来の目的であったブーメランの件は途中から全く触れられなくなるのですが、 これは『アロー』本編の方でクロスオーバー回があるとの事。
 こうして一つの事件は解決したが、エディを襲撃した事で警察は“悪の怪人”としてFLASHを追う事になり、 FLASHはアイリスに弁解するも拒否される、という大きな後遺症が残るのであった……。
 ケイトリンの忠告を無視して、FLASH姿でアイリスといい雰囲気になるのを楽しんでいたバリーが大きなしっぺ返しを受けるのですが、 先にエディに土下座するべきだと思うのですけれども、友情、儚い。
 コラボエピソードから大きな転機に繋げつつ、謎の火炎魔人も姿を現し、 シーズン1中盤の山へ向けて布石が緩まず積み重なっていきますが、次回、黄色い閃光で更なる激震?!

◆第9話「黄色い閃光」(「The Man in the Yellow Suit」)◆
 モテない男には世間の風が身に染みるクリスマス――バリーは、黄色いスーツの男(ちょっとマッチョ)と、 全力で追いかけっこをしていた!
 という導入に始まり、アイリスを巡る関係、14年前の事件の謎、刑務所のお父さんにもアイリスが好きなのバレてたーっ、 黄色と赤の閃光、ケイトリンの前に現れる変わり果てたロニー……と様々な要素が繋がっていく第9話。
 目まぐるしい展開の中で、赤い閃光と黄色い閃光の全力追いかけっこというアホな映像が大まじめに描かれるのが今作らしくて素晴らしい(笑)
 一番面白かったのは、自らファイアストームを名乗るロニーの、自力ジェット噴射でしたが。
 黄色い閃光・リバースと、火炎魔人・ファイアストームの出現が並行して描かれ、最後はリバースvsフラッシュに割って入るなど、 ロニーが単純な怪人扱いにならなかったのも良かったです。
 更にこれらと並行して、エディとアイリスが一緒に暮らす事になり、色々あってアイリスに愛を告白するバリー。バリーがこれまで、 アイリスに告白できなかった背景はまあわかるのですが、 うまいタイミングで告白していればOK貰えたと思っている節がある辺りが、 根っから駄目だと思うなバリー!!
 リバースには2戦続けて完敗し、男としての株価もどん底を這うバリーをちょっぴり救う、
 「世界にはフラッシュが必要だ。俺にはバリーが必要だ」
 というジョーの台詞は凄く良かったのですが、そこでジョーなの?! とはちょっと思いました(笑)
 お養父さん、いいキャラなんですけども。
 この辺り、実父にどんなに忘れるように言われても、14年前の問題が解決しない限りは、 バリー・アレンはそこ(家族という世界)から抜け出せない、という事なのでしょうが。
 事件は全く解決しない布石エピソードだったのですが、目まぐるしい展開の中に物語が濃厚に詰まって、面白かったです。いやぁ、 『FLASH』面白い。
 毎度お馴染み、どん引き博士のスーパーどん引きタイムに関しては、見せ球が露骨で凄くツッコみにくい状況になってきたので、 話の進展を待ちたいと思います(^^; 出来れば博士には、自己犠牲の精神とかやむにやまれぬ事情とか無しに、 頭のてっぺんから足の爪の先まで腐れド外道であってほしいなぁ(笑)
 14年前にも、黄色い閃光と共にもう一人の男が居たのでは? という疑惑が浮かび上がってきた所で、次回、 サブタイトルからするとキャプテン・コールド再来?

◆第10話「強敵、再び」(「Revenge of the Rogues」)◆
 「僕の名前はバリー・アレン。もう地上最速の男じゃない」
 前回リバースに完敗したバリー、自虐ネタでスタート。
 その後、力強く「取り返す!」と宣言し、スピードと反応の精度を上げる為にドローンを相手に模擬戦で特訓中、 と少しずつヒーローとしてタフになっていくバリーの姿を描き、FLASHは音速ミサイル返しを披露。
 「ドローンは何機残ってる?」
 「2機。しかも、レーザー付きだ」
 「駄目だ」「駄目よ」
 と、すかさず笑いも挟んでくる辺りのテンポが、今作はホント上手いし楽しい。
 一方、街にはキャプテン・コールドが、ヒートガンを装備した相棒のミックと共に帰還。 コールドは短気で粗暴なミックをなだめすかしながら、打倒FLASHを目的に動き出す。
 再登場した悪役が直接FLASHを標的とし、 リバースの事が気になるバリーは博士のそれとない誘導もあって訓練を優先して丸刈りコンビに関わらない事を宣言する、という変化球。
 「あいつが特別なのは……一人でも多くを救おうと、我武者羅だからだ。少なくとも、今までは」
 「今回は優先順位の問題だ」
 「ああ、確かに、バリーも全く同じ事を言った。あいつらしくないとは思ったが、あんたなら言いそうだな」
 やーん、って顔になって無言で去って行く博士が、相変わらず最高です(笑)
 博士はこの後、FLASHが参戦しなかった事で警官に負傷者が出た事を気に病むバリーに対して、人助けに対する方針が違うから私は敵?  君の敵? とわざとらしくストレートに迫り、
 「い、いや、そんな事はないです……」
 「そうだよね。パートナー、と呼んでくれて構わないんだよ」
 「と、友達からお願いします……」
 という、いやらしいどん引きムーヴも発動。
 一応味方サイドだけど、マッドサイエンティストのキチガイ成分が濃い目、というのはしばしばありますが、ウェルズ博士の、 むしろナチュラルなキチガイの方がマシだったは、本当に戦慄。
 ロニーの言い残した「ファイアストーム」が、格好いい自称ではなく「F.I.R.E.S.T.O.R.M.」という略称だった事が判明し、 論文の著者に接触したケイトリンが、FLASHを誘き寄せる為に丸刈り兄弟にさらわれてしまう。 TVをジャックしたコールドの公開挑戦状により、FLASHというヒーローが公になる、という展開なのですが、警察に囲まれた状況で、 正面からFLASHに対決を挑む丸刈り兄弟、男らしすぎる(笑)
 あとバリーは、戦場予定地には先にトラップを仕掛けておくようにという、先輩の教えをもう忘れたのか!
 2対1の戦いで苦戦するも、敢えてスピードを遅くする事によりコールドガンとヒートガンを相殺させたFLASHは、二人の打倒に成功。 この戦いでは、FLASHの窮地を救うエディ、警察に貢献を認められるスター・ラボと、 FLASHの存在が警察に認知されるという大きな変化に合わせて、周辺の関係性の変化も盛り込まれ、手堅く上手い。
 それにしてもエディがどんどんいい人になっていくので、先日割と殺す気で殴りかかった件について、 FLASH(バリー)はやはり土下座して謝っておくべきでは。……いや、職場でいちゃいちゃいちゃいちゃしまくりやがっているので、 事故に見せかけて横断歩道で突き飛ばさない事を有り難く思いやがれぐらいに思っている可能性もなきにしはあらずですが。走れ、 バリー、走れ!
 「まるで稲妻みたいに通りを駆け抜けて、一人であの二人を捕らえた」
 「凄いよな」
 「いったい誰なのかしら?」
 「敢えて言うなら、ヒーローだ」
 事件が片付いてからモブ警官のやり取り、という形でさらりと入れたこの会話がとても秀逸でした。
 バリーはその力を、「一人でも多くを救おう」とする為に使うからこそ、 「ヒーロー」になれる――その理想と感情には危うい部分もたくさんあるけれど、理屈を振り回し始めたらもうFLASHではない、 という今作における力と意志の関係を描いた構成も秀逸。
 そしていよいよ、アイリスがエディと同棲を始める事になり……ダブルきまずい男達。
 「大丈夫か?」
 「……んー。……そっちは?」
 「いつかは通る道だ」
 「うん」
 「ピザでも取って野球見るか?」
 「ピザは最低2枚ね。……誰かとご飯が食べたくなったら、僕が居るから。それにうちの洗濯機、壊れてるから借りにも来る」
 引っ越しイベントが終了し、アイリスとバリーのぎくしゃくもひとまず落ち着き、寂しい男達の会話がまた、 とても良かったです(笑) 強がるお父さんの為、バリーがアパートを出て家に戻ってくる事になる、 というほのぼのオチから恒例のスーパーどん引きタイム……ではなく、護送中のマルコメブラザーズに。
 今回、さすがにコールドが杜撰すぎて(警察に狙撃手でも配置されたらどうするつもりだったのか)、それは相棒も怒るよ、 という感じだったのですが、実はFLASHに敗れた場合の手はずも「計画」の内に入っており、“妹”が二人を助けにくる……で続く。
 この辺りはシーズン2以降への引きなのかなぁ……という感じですが、ラストで頭脳派の面目を保ってくれたのは良かったです。

◆第11話「過去の亡霊」(「The Sound and the Fury」)◆
 博士の自宅が初登場。
 いきなり車椅子を降り、オペラを流し、ウイスキーをグラスに一杯、と流れるようなどこからどう見ても悪い人アクションで、 「あー、そろそろ車椅子乗っているのめんどくせー」という顔になった博士にかかってくる謎の電話、そして襲い来る謎の攻撃!
 しれっと高速移動しているのですが、もうリバースの中の人確定という事でいいのか。
 スーツは飾ってあったけど、同じ場所で向い合ったりしていたので、細かい所は謎ですが。
 そういえば、借りたタキオン何とか実験装置を盗まれた(自作自演)事についてちゃんと謝ったのだろうか、この人。
 ……まあ博士、面の皮はヴィブラニウム製、心臓にはウルヴァリンの胸毛が生えており、頭なんて幾ら下げてもタダ、 というタイプだとは思いますが(笑)
 とか書いていたら、今回は、博士が粒子加速器の実験事故に関して、危険性の指摘を無視して強行していた事を公に謝罪するという展開。
 だが、その事を指摘した博士の元愛弟子であり、博士によりスターラボから追放された天才・ハートリーは、それだけでは満足せず、 自ら開発した振動発生装置により、FLASHの命を狙う。
 ハートリーの指摘を受けた博士が真実を告白する事でスター・ラボの愉快な仲間達に亀裂が走り、 ハートリーとの戦いを通じてそれがある程度回復する、という流れなのですが、博士が何を言っても胡散臭いので、 「ホントごめん」「これから信頼を取り戻す為に頑張る」「誰も特別扱いなんかしていない」など言えば言うほど、 どうせ一つの事件について謝る事で、よりどん引きな真実を誤魔化しているのだろうなぁとしか思えない為、 チーム再生の物語からほど遠すぎて困りました(^^;
 素直に感情移入する所がないよこのエピソード、という(笑)
 敢えて言えば、ハートリーは物凄く嫌な奴として描かれているけど、倫理的には実は一番マトモなのではないか!?  むしろハートリーを応援するべきだったのか?!
 初対面の新入社員(2年前のシスコ)に対して「今から彼氏とデートだから私は早退するの」というケイトリンさんも結構アレだし!
 そんなハートリー、見る限りメタヒューマンではないようなのですが、 私設刑務所に拉致監禁されているのですけど、いいのか、警察(今回、ハートリーの扱いが全体的に雑)。
 そのハートリーはロニーについて知っている事を匂わせ、 博士の高速移動は安定して使えるわけではなく何やらタキオンマシンでブーストしており、 そして博士に対する疑念を深めていくジョー……と、伏線色々。
 シーズン1後半戦の為の布石なのでしょうが、ただでさえ本筋が胸のつかえが下りるどころかむしろ胸焼けしそうな内容だったのに加えて、 色々と仕掛けが多すぎ、どうもスッキリしないエピソードになってしまいました。
 後、アイリス社会に出て苦労する編はちょっと面倒くさいなー……正直、アイリスへの好感度が個人的に高くないので(^^;  あまりぐちゃぐちゃやらないでくれると有り難いですが、それはそれとして、“便利に使われる男”のポジションに、 これはこれでいいかも、というバリーは吹っ切るどころか、ますます駄目男になっていくので、走れ、バリー、走れ!

◆第12話「父と息子」(「Crazy for You」)◆
 目で見た場所へ瞬間移動できるメタヒューマンの女が、恋人を刑務所から脱獄させる。捜査に参加したバリーは、 ジョーのはからいで十数年ぶりにガラス戸越しではなく父親と体面し、息子の為に刑務所内で情報を集める父。一方、 シスコはロニーの行方を知るというハートリーから情報を聞き出す為に、ハートリーをパイプラインの外へ出していた……。
 見所は、シスコまさかのパワースラム。
 能力抜きで戦ったら、普通にバリーより強そう(笑)
 と思ったらすかさずハートリーも反撃してきて、スターラボの職員は、いざという時の機密保持の為に、 体を鍛えておかなくてはならないという内規でもあるのか。
 感情に流されて迂闊な行動が続くシスコですが、ハートリーを連れて警察のデータを覗きに行くのにバリーを同行させないのは、 不自然という程ではありませんが、ワンアクセントは欲しかった所(弄ってるのもバリーのPCですし)。日本のドラマならほぼ確実に、 連絡取ったけど駄目だった、というすれ違い演出がありそうな所なので、シーンが無いだけでそういう意図だったのかもしれませんが。
 その頃バリーが、アイリスに袖にされた勢いでケイトリンを誘ってカラオケクラブで遊んでいた、という対比もそれらしい感じですし。
 で、綺麗めだけど基本オタクなので遊び慣れていないケイトリンさん大暴れ。
 一方バリーは、いつかアイリスとデートする時の為に毎日のイメージトレーニングを欠かさない人生だったので、 服を誉めるぐらいできるよ! 高性能だ!!
 そのバリーがバーテンに無視されるシーンはよくわからなかったのですが、ああいうクラブの作法をバリーがわかっていない、 という描写だったのかなぁ。
 翌日、まんまとハートリーに逃げられてしまった事を謝罪したシスコは、あの事故の夜、 加速器の扉を閉めたのが自分である事をケイトリンに告白。ケイトリンはその懺悔を受け入れ、 4人は短距離テレポーターの確保の為に心を一つに。
 なおハートリーの情報によると、ロニーは体はロニーだけど中身は行方不明の高名な学者であるシュタイン教授という事なのですが、 火炎ロニーはケイトリンの事を知っている様子でしたし、これは部分的に嘘情報の可能性もありそうな。
 視界を閉ざせば能力を発揮できないというテレポーターの弱点は掴んだものの、 するりするりと短距離移動で逃げる相手に苦戦するFLASHは、最後はトンネル内の照明全てを叩き割るという力技で勝利。 一貫してFLASH(バリー)の弱点が、 喧嘩慣れしていないので“力の加減”がわからない事というのが今作の上手い設定ですが、その為、 高速移動で背後から麻袋とか被せてしまう、という能率的な対応ができない代わりに、 照明全破壊という逆方向に力を入れすぎる馬鹿馬鹿しさが秀逸。
 それにしても、恋人を助けだそうと脱獄させてしまう程度に倫理観ゆるゆるではあるものの、 個人では軽犯罪が関の山と言った具合の犯人が、メタヒューマンになったばかりに改悛の情を考慮される事なくパイプラインに拉致監禁されるというのは、 今作の、そしてヒーローの抱える危うさを意図的に描いているようにも見えます。一応、研究→治療が目的という名目なのでしょうが、 能力対策として内側マジックミラーとか、発狂待ったなしでしょうし(^^;
 その辺りも含めて、例え見捨てられても恋人の為に何でもやるという犯人の動機と、 バリーとケイトリンそれぞれの恋に対する未練を掛けたサブタイトル原題「crazy for you」――「あなたに首ったけ」――なのではありましょうが。
 日本語版では、バリーの為にお父さんが張り切ってみるエピソードという事で「父と子」になっていますが、こちらの方も、 万事に聡い父さんが、バリー=FLASHと何となく感づいた事を匂わせつつ、その力で自分を脱獄させるなんて馬鹿なことをしなかった事 (ちょっと考えたけど……)を誇りに思う、と間接的に告げる事で、バリーが少し救われる、というのは毎度ながら実に手堅い作り。
 一方、お互い首ったけの未練を振り払おう、とケイトリンに約束したバリーは、FLASHとしてアイリスに特ダネを与えつつ、 カラオケクラブで知り合った女性とランチデート。その女性がアイリスの先輩社員だった事でアイリスと鉢合わせするのですが、 なぜ、わかっていてわざわざ相手の職場で待ち合わせするのだバリー(笑)
 バリーの場合、本心はともかく表向き割り切ったつもりだからこんな事も出来るんだという自分への言い聞かせのつもりなのか、 ケイトリンにはああ言ったけど全然割り切れてないから他の女とデートしちゃう僕を見せつけて反応窺っちゃうよふふーん、 なのか判断つかないのですが、どっちにしろ、駄目だ、バリー、色々駄目だ!!
 今回ラストは、スーパーどん引きタイムに変わって、正調サスペンス演出から…………ゴ・リ・ラ?
 しばらく前の回で博士が口にしていた名前のような気がしますが…………ゴリラ?
 一体どうなるんだ『FLASH』。

◆第13話「2人の閃光」(「The Nuclear Man」)◆
 前回ナンパされたリンダとランチでないデートに向かうバリーは、衣装を取っ替え引っ替え中。 基本2.5枚目として描かれるバリーですが、連続衣装チェンジを行うと、さすがにスタイルの良さが目立ちます。
 「次着替えたら撃つからな」
 OKサインを無視されたお養父さんとのやり取りは、今回もほのぼの。
 デート中にシスコから引ったくり発生の報を受けて渋るも、「可哀想なお婆ちゃんだったどうするんだよ」と言われて結局助けに行き、 事件解決を「お婆ちゃんじゃなかったぞ!」という電話の台詞で表現するのも、相変わらず巧い。
 これまでのたゆまぬイメトレの成果もあり、デートをうまくこなしたバリーはリンダとなかなかいい雰囲気になり、 もうあんな女の事は綺麗さっぱり忘れろよバリー! という視聴者からのエールが虚空に響き渡ります。
 「どうして彼女が居ないの? もしかして、厄介な性格だったりする?」
 …………えー……ちょっぴり。
 今回はこのバリーとリンダの関係進展を横糸にしながら、15年前の事件を再捜査するジョーとシスコ、 音波メガネの言う通りに融合していたシュタイン/ロニーの行方を追うバリー達、という二つの軸で展開。
 キャラクター描写の積み重ねがよく出来ているので、ここに来て、ジョーとシスコという組み合わせが非常に面白く、 科学捜査によって2人は壁に残された“15年前の血痕”を発見する……。
 それにしても、「15年前の殺人事件の再調査」と言って、警察が延々と居間に居座っているの、凄く嫌なんですが。 やけに存在感のあったセクシー婦人は、今後も話に絡む事はあるのかしら。
 一方、シュタイン教授の顔写真を見たバリーは、あの粒子加速器の事故の日、教授と出会っていた事を思い出す。 この電車内でのやり取りが、短い中でバリーの好青年ぶりとシュタイン教授の性格を巧く表現しており、クライマックスにも効果的で、 とても秀逸。
 ウエルズ博士とケイトリンはシュタイン教授の妻の家を張り込み、 お養父さんが15年前の事件を調べている間に自宅で事に及びかけていたバリーを緊急呼び出し。やむなく駆けつけるFLASHだが、 シュタイン/ロニーには逃げられた上に、リンダとの関係は当然最悪に。
 秘密のヒーロー活動が原因ででフられる、というのは王道な感じがありますが、それにしても早かったーーー。
 だがFLASHはシュタイン/ロニーに発信器を取り付けており、昼間のねぐらを発見すると、シュタインの妻と再会させ、説得に成功。 完全に消滅したわけではなかったロニーの意識を内に抱える事で混乱状態にあったシュタインを落ち着かせ、 何とか分離する為の方法を検討するが、シュタイン/ロニーの体内では、核反応が起き始めていた……。
 半裸を披露したロニーが凄いマッスルなのですが、いっけん皆が軽々と扱っているスター・ラボの備品は、 全て鉛で出来ていたりするのではないか。やはり、流派スター・ラボは不敗なのだ!
 「人生楽しまないとあっという間だぞ。この1年で、わかった」
 体内の核反応を知って何かを覚悟したシュタイン/ロニーの、年長者からのアドバイスを聞いたバリーは、リンダに再アタック。
 職場に押しかけてきて、デートしてくれないならこの世界で一番辛い唐辛子を食ってやるって脅してくる男は、 厄介な性格以外の何物でもありません。
 「わかった、デートするから。そんなの食べたら死ぬわよバカ」
 冒頭のデートが伏線になった上で、バリーのちょっとボケたセンスも表現されていてシーンとしては凄く面白いのですが、 これは専門用語で、ストーカー予備軍というやつでは。
 能力が能力だけに、異常にタチ悪いぞ、ストーキングするFLASH。
 ……そういえば、身近に、似たような人が居たかも。
 なんにせよ、せっかくバリーが男として頑張りだし、物語の良いアクセントになる新キャラだっただけに、 あっという間に破局という事にならなかったのは良かったです。……若干、頑張る方向に問題は感じないでもないでもないですが。 この先で駄目になったら、まずだいたいバリーに責任があるので、それはもう仕方がない。
 そして、一緒に帰って噂になるのは嫌だけど他の女といちゃつているとイラッとする、 という音速を超える勢いで下衆ヒロインに転落していくアイリス。
 まあ恐らくアイリスとしては、バリーの両親の事を口にしかけて慌ててハンドル切ったら別の壁でクラッシュしたという所なのでしょうが、 どちらにしろ現在のアイリスの立ち位置と態度は、ただでさえ低空飛行だった好感度の貯金を使い果たして、 私の中で完全にマイナスに入っております(^^;
 そろそろ、エディにもフられていい気がしてきました。
 一方、好感度とか通り越えた世界に君臨するウエルズ博士はタキオン装置を量子スプライサーに改造し、 秘密の部屋で「タイムテーブルにズレ」「全ての計画」とそれらしい伏線が明示。 量子スプライサーによりシュタインとロニーの分離を試みようとするスターラボだが、自分の現状を悟ったシュタイン教授は、 一足早く核爆発の被害が及ばないように自ら郊外の荒野に移動していた。FLASHとケイトリンは教授を追いかけて量子スプライサーを装着させるが、 奮闘むなしく、シュタイン/ロニーは大爆発を起こしてしまう……。
 そのしばらく前、ジョーがウェルズ博士を疑っている事を知り一度は断った血痕の分析を行ったシスコは、 その内の一つが「大人になったバリーの血液」である事を確認する(もう一つは不明)。そして、 プラスチック回に出てきた軍人が爆発を検知し、「大至急チームを向かわせろ。ファイアストームを連れてこい」と告げた所で、 次回へ続く。
 いつもと違う構成で、たたみかけるように次回へ続きましたが、 次回サブタイトルが「ファイアストーム」(原題:Fallout)という事で、事件はまだ解決せず、連続ものとなる模様。
 前後編?という事もあってか、ここまでで一番FLASHのヒーロー的活躍の少ないエピソードでしたが、 色々な要素がテンポ良く折り重なって、面白かったです。特に個人的に気に入ったポイントの一つが、 高い知性に加えて道理をわきまえ人を愛する心を持つ人物と描写されるシュタイン教授が、バリーを良い方向に導き、 善意の協力者面しながらバリーを自分の望む方向へ走らせようと誘導するウエルズ博士と絶妙に対比されている事。
 また、ウエルズ博士を強く慕い、前回メガネに「スターラボは君にとっての家族」と言われたシスコに対し、 今作における“善き父性”の象徴であるジョーが「(ウエルズは信用できないが)君は信用できる」と告げる辺りは、 シスコの家庭関係も何やらあるのかなぁという事を窺わせてキャラクターに奥行きをつけつつ、ジョーが誠実さで訴えかけるのに対して、 ウエルズ博士は虚飾でたぶらかす、という対比がここも織り込まれており、こういった小技の面白さと、 構造の面白さの両立がお見事。
 張り込み中に博士が「愛」とか口にしているのはそれだけで鳥肌ものですが、悪役にありがちな自分解釈を大仰に語るのではなく、 一般論めかしてしれっと口にするのが最高に気持ち悪くて、本当に博士の造型は素晴らしい(笑)
 ED映像が後半戦バージョンに変更され、気になる場面が山盛りですが、エディがとうとうバリーをぶん殴った!  あれはまさかのアイアン社長参戦?!(たぶん会社が違う) ちらっと見えたのは多分アロー! FLASHvsFLASH?!  そして、ゴ・リ・ラーーー!!
 引き続き、後半戦も非常に楽しみです。

◆第14話「ファイヤーストーム」(「Fallout」)◆
 「なあ、バリー。おまえは強い。だが、俺は、おまえを守るぞ」
 ジョーはホント格好いいなぁ。
 一方、
 「あなたに怪我は?」
 「プライドが傷ついただけだ」
 博士は相変わらず最低の腐れ外道だった。
 前回ラストの大爆発は、放射線の数値から核爆発ではなかった事が判明。爆心地に戻ったFLASHとケイトリンは、 そこで分離に成功したロニーとシュタインを発見し、無事にラボへと連れ帰る。 だが二人――ファイアーストーム――を追ってエーリング大将が動き出し、更にロニーとシュタインには、謎の同調が。 大将と過去に繋がりのあるウエルズ博士はシュタイン教授を売るが、同調を利用する事で、連れ去られた教授との連絡にロニーが成功。
 ……時々、モールス信号を会得するべきだろうかと真剣に考える事があります。
 「ケイト……バリーが言ってたが、世界は変わってしまった。君となら、何とかなると思ってた。新しい場所で、普通の生活がしたかったけど、 普通なんてもう無理だ。君はこれからも命がけで人助けをする。いつだって君の為に、パイプラインに飛び込む覚悟はある」
 現世に甦ってみたら、婚約者と勤め先が、私設刑務所を作ってひゃっはーしていたという、割とショックな現実を受け入れたロニーは、 自分の状況も受け入れる覚悟を決め、FLASHと共に教授の救出へ。
 無事に軍の秘密施設から教授を助け出す2人だが、FLASHが薬品弾を浴びてしまい大ピンチに。 エーリングの部隊に追い詰められたその時、ロニーと教授は量子スプライサーを用い、再び融合して炎に包まれる!
 「「さあ、おまえの罪を、数えろ!」」
 (言いません)
 ロニー周りは悲劇の二段重ねは嫌だなぁと思っていたのですが(さすがにケイトリンの精神にダメージ大きすぎますし) ……ムキムキマッチョの青年の肉体と、老物理学者の優秀な頭脳を合わせて、二人はファイアストーム!  というまさかの面白ヒーロー誕生編に。
 この二人でスピンオフ行けそうな勢い。
 ファイアストームは軍隊を蹴散らし、一人で真空ランニングをしていたFLASHはなんとか薬品を無効化。 エーリングへのとどめをFLASHが止め、揃ってラボへと帰還する。自分たちの意志と量子スプライサーにより分離と融合が可能になった二人は、 軍の目を逃れつつファイアストームの能力を研究する為、教授の友人の元へと旅立つのであった……。
 前編から教授夫婦の方もしっかり描写をしておく事により、融合したヒーローが愛する人に一時の別れを告げて旅立つシーンが綺麗に決まりました。 ひとまず、ロニー×ケイトリンは良かったなぁ。
 一方、15年前の血痕について情報が共有され、タイムトラベルの可能性が示唆。 いつか自分は過去に飛ぶかもしれないが母親を助けるのに失敗する、という現実に落ち込むバリーだったが、教授の激励を受けて、 過去を変えられる可能性を前向きに捉える事に。
 ……にしても、セクシー婦人の家はすっかり出入り自由な上に、居間にずっと幅を取る怪しげな器械が置きっぱなしなのですが、 アメリカ人は鷹揚だ(そういう問題であろうか)。
 もう一方、アイリスの先輩であるピューリッツァー賞記者がスターラボと加速器の事件に関してウエルズ博士に疑いの目を向けて動き始め、 ロニーと炎の男の関連に気付いた事から、アイリスも積極的に関わっていく事に……ようやくアイリスの立ち位置が物語に繋がってきましたが、 さてアイリスは、最近のすっかり嫌なヒロイン路線から抜け出す事は出来るのか!
 そして……軍施設から“黄色い閃光”にさらわれたエーリングは、連れ込まれた下水道で、黄色い覆面の下の素顔を目にする。
 「ハリソン……君も、メタヒューマンなのか」
 「その通りだ。仲間は守る」
 物語も次の段階へ、という事でか、ここでとうとう、リバース=ウエルズ博士=メタヒューマン、と明示。ここまでの描写からすると、 博士の能力に関しては幾つかひねりがありそうですが。
 更に、愕然とするエーリングの脳に響く、謎の声。
 ((バカじゃない。グロッドだ))
 エーリングは下水道に出現したゴリラ・グロッドに引きづられていき、リタイア? 自主的に殺しはしないFLASHと、 実働部隊を率いる軍人というのはどうも相性が悪かったのですが、ブレーキのついていない人が始末をつける形に。
 前半戦から引っ張ってきた重要事項がハッキリ明かされましたが、ここで次回サブタイトルは、「告白」。原題は「out of time」で、 意味は「調子外れ/遅れて/時機を失した」だそうですが、思わせぶりにサブタイトルに使われそうなのは「時機を失した」でしょうか。 まあ、邦題は原題と全然関係ない所から拾ってる可能性ありますし、タイムトラベル要素が出てきたので、 原題も直球で「時間の外」という意味かもしれませんけど。ロニーやエーリングなど幾つかの問題を片付けた所で、 いったい何の「告白」なのか、次の展開が楽しみです。
 そういえば:最近ちょい役ばかりだったエディ、とうとう、出番なし。……ロニーと顔がかぶり気味だったからか。

→〔後編へ続く〕

(2016年11月9日)

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