■『正義のシンボル コンドールマン』感想まとめ3■


“コンドールアイ!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『正義のシンボル コンドールマン』 感想の、まとめ3(13話〜18話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

戻る

〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ4〕

◆第13話「大血戦!モンスター砦」◆ (監督:まつしまみのる 脚本:伊東恒久)
 マダムバーベキューのレンジで加熱されるコンドールマンだが、コンドルサンダーで外部からレンジ結界を破壊すると、 コンドルチョップでマダムを真っ二つに。それでも執念で戦い続けるマダムだったが、最後は投げ飛ばされて爆発炎上。 サラマンダーはキングモンスターの恐るべき力によりニューヨーク本社に回収されるが、幹部社員の列席するモンスター軍事裁判を受ける事に。
 作戦失敗は死だ……と全会一致で極刑が採択され、その手段が
 「美しい花束での嬲り殺し」
 というのが物凄いセンス。
 ナレーション「美しいもの、清らかなものの中では、モンスターは生きられないのだ」
 サラマンダーは幹部社員からよってたかって花束で打擲されるが、最後のチャンスを許可され、 対コンドールマン用ネオ中性子爆弾を与えられる。
 一方、モンスター一族極東支部が壊滅的打撃を受けた日本では食糧の配給が開始され、 お菓子を手に喜ぶ子供達の姿に笑顔を浮かべる一心。残るサラマンダーの行方を追うコンドールマンは、 会社まるごどコンドールアイの荒技を放つが、日本に帰還したゴードンの手により、 三矢家の人々とコンドールジュニアがまとめてさらわれてしまう。
 食料の配給を手伝っていたさゆりが一緒に捕まっているのですが、特にこれといった台詞もない物凄い埋没感に加え、 これまでと少し違う雰囲気の服を着ていた為、しばらく本気で、誰だっけこれ? と思ってしまいました(^^;  出番があっただけマシと考えるべきかもしれませんが、関係性としては良いアクセントになっているキャラだけに、 もっとヒロイン力を……!
 十字架に磔にされるも、コンドールマンの正義を信じているから銃殺など恐れない、 とすっかり魂まで活動家に染まった気勢をあげる源太郎達だが、非道なゴードンはならば先に子供達を殺してやる、 とジュニア達に銃を向け、ハイテンション。
 「コンドールマーーーン! コンドールマンさんは来ないの。万が一来た時には……へへーん、これだ! このネオ中性子爆弾。 へへへへへー、コンドールマンもろとも、東京中を灰にしてくれるわ、あははははは」
 どう考えても、使ったら一緒に消し飛ぶのですが、これに戦闘員も唱和して笑っているのが凄く狂気。
 絶体絶命のその時、ジュニア達は後ろ手にバッジを集めてコンドールサークルを作り出し、 そこから出た光線が太陽を通してコンドールマンの元へと届く。
 「コンドールジュニア……今行くぞ!」
 以前に、本編ではまるで触れられていないのに、何故か配信のあらすじ欄でだけ語られていたらしいコンドールサークルですが、 どこかで説明シーンがカットされていたのか、凄く唐突(笑)
 そしてこれ、折角のSOS機能なのに、一定の人数が集まってサークルを形成しないと発動しないわけで、 子供達にもさらりと団結を要求するコンドールマンであった。
 まあこの辺り、ここ数話なんとなくコンドールマンが強くなっている事(サンダー使ったり)を合わせて考えると、 一定の信頼ゲージが蓄積されないと、コンドールマンの超能力が発揮されない、という事なのかもしれません。
 いうなれば、信仰と神仏が互いを存在せしめるように、正義のシンボル・コンドールマンというのは文字通りの意味で “人々に信頼される(人々が正義の心を持つ)事で強くなる”ヒーローなのであろうなと。
 これは様々な形でヒーロー作品(のみならず)で用いられるテーゼですが、今作においてはコンドールマンがたびたび、 人間よりも神仏に近い存在として描かれている事で、その構造が非常に具体的に示されています。率直すぎて身も蓋もない面もありますが、 マジックワードの中身を正面から詰めてくる、実に今作らしいアプローチ。
 処刑現場に駆けつけたコンドールマンは恒例の煙幕で人質達を救出し、中性子爆弾のスイッチも回収。 子供達にロープで引っかけられたりサラマンダーが散々な扱いですが、苦節1クール、あのOPをバックに、 コンドールマンと人々がまさしく手を取り合って戦っているという状況はなかなか熱い。
 しばらく千切っては投げ千切っては投げのアクションが続き、 コンドールカットで左腕を切断するもアジトへ逃げ込んだ亀を追いかけたコンドールマンは、 そこでTV電話越しにキングモンスターとご対面。
 「おまえが、コンドールマンの地獄への案内人となれ」
 キングに慈悲を乞うサラマンダーだったがキングは無情にも遠隔でビルを爆破し、 コンドールマンとサラマンダーを巻き込んで凄まじく派手に吹き飛ぶビル。
 「あたしはどうなってもいいの! コンドールマンを助けて! あたし達の正義を守って! ね! パパお願い!」
 「よーし、わかった。よぉーーし!」
 大爆発を外で目にし、今の日本に必要なのは自分の命よりもコンドールマンの正義だ、とビルへ向かおうとするまこと。 両親に止められると、じゃあコンドールマンの為にパパが生け贄になってとナチュラルにトスを上げ、パパ、涙目。
 勢いに飲まれてビルへ突撃しようとするパパだが、幸い、コンドールマンはゴールデンコンドルの化身で脱出に成功し、 第3話以来となる大団円エンドで、モンスター一族極東支部、ここに壊滅!!
 ラストの主題歌コーナーの映像は、何故か急に第1話のアクションシーン。
 9−10−11話をピークに、やや失速してしまった12−13話ですが、 極東支部のモンスターをまとめて片付けて1クール目の終わりに日本ハンガー作戦が一区切りとなり、2クール目の新展開に期待です。 ……しかしやはり、マダムバーべーキュー抜きで姉バットに焦点を合わせて良かったでは(^^;

◆第14話「モンスター一族、大襲来!!」◆ (監督:まつしまみのる 脚本:伊東恒久)
 ――今、地球は、一部の人間たちによって汚され続けていた。
 から始まる、総集編。
 これまでのダイジェストをナレーションで繋ぎ、Bパートラスト3分ほどだけ、新規映像。
 極東支部の壊滅によりモンスター一族では重役会議が紛糾する中、ある策を進言するマッドサイエンダー。 ハンガー作戦を経て人々が少しばかり未来を紡ぐ優しい心を取り戻した日本では、一心がジュニア達と海岸のゴミ拾いに励んでいた所 、にわかに空を覆う黒雲……そして火を噴くコンビナート。
 「やったなモンスター!」
 断定早い。
 果たしてモンスター一族は次はいかなる作戦で日本を襲うのか、正義のシンボル・コンドールマンの、戦いはまだ終わらない!!

◆第15話「戦慄の日本炎上作戦」◆ (監督:伊賀山正光 脚本:山崎晴哉)
 「キングモンスターは怒りに怒り、今度は、陸海空からの封鎖作戦で日本を征服せんとはかった。そして、 その先陣として戦慄のモンスター、オイルスネークを器用することを決定し、不敵にも、 コンドールマンに挑戦状を叩きつけるように命じたのである」
 冒頭ナレーションで水増しされる、前回の内容。
 これは、富 野 演 出(笑)
 (※富野作品ではしばしば、「前回の出来事」のように語られていた冒頭モノローグの中に「前回と今回の間の出来事」 がさらりと入っていたりする)
 「作戦にかかる前に見せたいものがある。側に寄れ」
 キングモンスターのマントにカメラが寄ると浮かび上がった映像は……「もんばん」と書かれた札を首からぶら下げて、 地獄で労働に勤しむサタンガメツク、そして責め苦を受ける他のモンスター達であった。
 鬼の獄卒に叩かれていたりはするものの、葬式も出たし拷問されているわけでもないし、 サタンガメツクはかなり現世での働きを認められた扱いなのでしょうか(笑)
 幹部社員達はこの光景に本気で怯え、現世で自覚的に悪の限りを尽くしている者達も、 地獄に落ちるのは恐ろしいというのも今作らしい皮肉なのか。
 サラマンダー打倒より3ヶ月――平和を取り戻した日本では一心が三矢家の人々と花火を楽しんでおり、 亡き一心の浴衣に袖を通しているというのが、今作の背景にある悲しみを浮き上がらせていて痛切。
 そしてC一心はビールをぐいっと一杯あおり、アルコールは割といける口であると判明。
 だがそんな花火に紛れて流星に擬した挑戦状がモンスター一族からコンドールマンへと叩きつけられ、 社長から芸術点を評価されたオイルスネークが日本に上陸。さっそく、石油を輸送する機関車をど派手に爆破する。
 「モンスター一族の狙いは、日本を石油パニックに陥れる事に違いない。だが、私は守ってみせるぞ。この美しい日本を、 美しい心の人々を」
 コンドールマンの読み通り、日本を襲うオイルショック再び。
 「大混乱の次は、大恐怖。今にもっともっと楽しませてやるぞ。ふふっ、ふふははははは」
 ドバジャン国の大使に偽装したオイルスネークは石油大臣に高値で石油を売りつけようとし、大臣が視線を外す度に本性を現す、 というのが面白い演出。作戦の方は描き方がまるっきりハンガー作戦と同じで、作り手側の工夫しようという意識も見えず、 どうも盛り上がらないのですが(^^;
 オイルスネークが、交渉の邪魔になる他国の石油大臣を狙うのを阻止しようとするコンドールマンだが、 産気づいた女性を助けてほしいとジュニアからの通信が入り、大臣護衛と新たな命と、 どちらを優先するかの大きな選択……と思ったらかなりあっさり車をUターン。
 子供達がすぐにコンドールマンを呼ばず、まずは自分達で努力した後に助けを求める、という部分で今作のテーマが描かれたのですが、 結果として拉致される事になった大臣達はすぐに情報が入って大きな問題には発展せず、 どちらに被害が出ても気持ちの良くない展開になってしまうので、そもそも天秤にかけてはいけない要素だったのでは、とどうもちぐはぐ。
 老師の求めるコンドールマンなら大義を選ぶわけで、ここではかつて否定された個人の情をコンドールマンが優先しているともいえるのですが、 それなら例えば逆に、妊婦は善意の人が現れて事なきを得るもコンドールマンは大臣護衛を優先した事で子供達の信頼を損ねてしまう、 などコンドールマンの立ち位置や周囲との関係性を揺らしてくるぐらい踏み込めば面白かったようにも思えますが、 中途半端な事になってしまいました。
 オイルスネークのアジトに飛び込んだコンドールマンは、石油責めを受ける大臣を助け出し、 オイルスネーク&部下のガソリンスタンド店員と戦闘に。GS店員(鬼の顔に被っている帽子?がどうしてもそう見えて仕方ない) にコンドールカットを浴びせるも、オイルスネークの左腕から、石油が火を噴く! という所で、つづく。

◆第16話「絶体絶命!コンドールマン」◆ (監督:伊賀山正光 脚本:山崎晴哉)
 オイルスネークはコンドールハリケーンを浴びて撤退しながらも石油コンビナート爆破を予告し、 罠と知りながらも巨大コンビナートへと急ぐコンドールマン。そのコンビナートでは、保安員として、さゆりの弟・次郎が働いていた……。
 さゆり姉弟が戦いに巻き込まれる中で、コンビナートを守る為に命を懸ける次郎の姿がかつての三矢一心に重ね合わせられながら展開するのですが、 あやふやになりつつも今作の面白みの一つであった、個々人の認識の違いが、 面倒くさくなってきたので考えるのを止めたレベルでぐっちゃぐちゃになってしまい、非常に残念な事に。
 まず、いつの間にやら、一心=コンドールマンであるとモンスター一族が認識。
 コンビナートに仕掛けられた爆弾を探し回る一心について
 「ボス! コンドールマンがコンピュータールームに入ってきました!」
 と戦闘員が明言。まあこれ、一心の方で意図的に隠していたわけでもないのですが、 これまでの偶然の積み重ねが何かの拍子に面白い展開に化ける可能性もあっただけに、 なし崩しに無かった事になってしまったのは勿体なく感じます。
 そして、心配して職場を訪れた姉に対して、「一心さんとデートでもすればいいのに」とからかっていた次郎が、 C一心と遭遇した際には「あなたは?」と全く見知らぬ人のような接し方をした上で、
 「姉さんは悲しむかもしれない。でも僕は男だ。万一死ぬ事になっても、正義の為なら後悔はしない」
 「次郎くん」
 「姉さんの愛していた人も、正義の為に命を落としたんだ! ……僕の兄になる人だったんです! でもその人も、 犬死にだなんて決して思いません」
 ここまで言って一心の顔を知らないとも思えず、姉が最近亡き恋人と同じ名前の男と満更でもなさそう(顔は知らないかもしれない) なのは把握しているけど亡き恋人と瓜二つの男が出てきてもその二つをまるで関連づけようとしない、という不思議な事に。
 ……まあ、「貴男が一心さんと瓜二つだけど別人の一心さん?」「そうだ。僕は君たちの知っている一心とは別人だが一心だ」 みたいなやり取りがあっても間抜けなのですが、曖昧にしながら進めていた要素が完全に地雷になってしまいました(^^;
 外部からの発火装置に気付くコンドールマンだったが、さゆりを人質にされて手が出せないでいる内に、蜂の巣にされてしまう次郎。 それによって生じた隙を突いてさゆりを救出、コンビナート爆破を阻止するコンドールマンだったが、 正義の為に勇敢に戦った次郎青年は絶命してしまうのであった……。
 「これからも……正義の為に……頑張って下さい」
 「うん、勿論だとも」
 コンドールマンの腕の中で息絶える次郎は通して第1話の一心に重ねられているのですが、 今更念押ししなくてもコンドールマンの意志が1ミリもブレていない為、あまり効果的にならず。
 そして、次郎を抱え上げて夕陽を見つめるコンドールマンの背後に、何故か無言でさゆりが立っている、 というのが凄く不思議な映像になってしまいました。
 ところでコンドールマン、ちょっぴり辛そうに見えるのですが、本当に成人男子を持ち上げているのでは。

◆第17話「火の海を突破せよ!!」◆ (監督:伊賀山正光 脚本:伊東恒久)
 火力発電所を狙うオイルスネーク配下だが、コンドールマンはゴールデンコンドルに化身してそれを阻止し、相変わらずの圧倒的怪獣感。
 だがモンスター一族の思惑通りに日本の石油備蓄は底を突いてしまい、 世相を語るに際して「失業者が巷に溢れている」と持ってくるのが今作らしい描き方。
 正義に散った青年・次郎の墓を訪れた一心は、そこでさゆりと出会う。
 「ごめんなさい、ちょっとの間……」
 一心と腕を組んで来てくれたら、大好きなあんみつをいくらでもおごってあげるよ……という生前の弟の願いを、 コンドール一心の腕を借りて墓前に捧げるさゆり。
 さゆり自身にとって、惹かれはしても本物の一心ではない、というのもありますが、 C一心に寄り添う姿も節度を保った品の良さで描かれるのは、さゆりの描写の特徴的な所で、 70年代でも割と特撮作品では珍しい気がします。背景としては特に裕福な育ちというわけでもないようなので、作り手側の、 美しい日本の女性像、が投影されている部分もありそうですが。
 「二人っきりの兄弟が、三人に増える、お祝いだって」
 「さゆりさん……許して下さい。……僕が次郎くんを」
 「……弟との約束でした。それが、ようやく実現したんですもの。ありがとう、一心さん」
 さゆりにとっては、一心の死と次郎の死、二つの死によって決して果たす事の出来なくなった約束を、 C一心の力を借りる事により果たす、という形で、2人の死に自分の中で決着をつけているように見え、 英雄的な死の影に遺されてしまった者達の姿を繰り返し描き、それが少しずつ立ち直っていく過程にC一心が関わる事で、 未来へ向けた希望や勇気を与えるもの、としてヒーローの姿を描き出しているのも今作らしい所。
 一方で同時に、C一心はあくまで一心にはなれず、手は貸せるけど立ち上がって歩いて行くのは個人個人、 というのも明確にされており、つくづく自助と自立を示す物語です(この点は、最終的にC一心が一心化して甘めの大団円になる、 という可能性はありますが)。
 バタール石油大臣の周囲を監視させていたインコから通信が入り、傍目には突然鞄と話しだした人風のC一心を快く送り出すさゆりは、 前回ラストも考えるとさすがにC一心=コンドールマンであると気付いていそうですが、今回の大胆といえる行動も、 自分の一心が別の存在に成り果てた事を直感的に繋げて理解した故に、心の整理をつけられたようにも思えるところ。
 一心/C一心と周囲の人々の関係性は、回が進むごとに整合性が崩壊してしまって残念なのですが、 割とありがちなゲストキャラの死亡を、ただ勝利の犠牲として片付けるのではなく、 今作の背骨にある生者と死者の関係についてより踏み込む材料にして描いてきて、痛切。
 死者に対する想いを整理しなければ前に進めないけれど、 しかし高度経済成長の中で死者を忘れ去ってしまったから今の日本人の心はこんなに醜く汚れてしまったのではないか?  と問いかける世界で、死から新生した存在が人々に正義を見出させるシンボルとなっていく、という今作の構造が凝縮されたシーンでした。
 (次郎……一心さんを見守ってあげて、お願いよ)
 「こんどーーーーるまん!!」
 化身したコンドールマンは、日本への石油の輸出を約束した為にモンスター一族に嬲り殺されそうになっていたバタール石油大臣を救出し、 この戦いを、極めて唐突に目撃するコンドールジュニア達(^^;
 コンドールジュニアは、2話に1回ぐらい出さないといけない縛りでもあったのか、 話の腰にフライングニードロップを叩き込む勢いで登場し、 コンドールマンが大臣を病院に送り届けている間にトラックをヒッチハイクして全員でオイルスネークを追い、 コンドールサークルを使えば良いのにコンドールマンへのメッセージとして地面にバッジ文字で「タンカー」 と残していくまことの奇行など、色々と無茶苦茶。
 「おじちゃん、正しい事に力を貸して」と徴発したトラックがガソリン切れで立ち往生すると、それを冷たく埠頭に置き去りにし、 オイルスネーク一味を探している内にコンバット部隊によって捕らえられてしまう。
 大臣の抹殺に失敗したオイルスネークは、日本へ入港しようとするタンカーの直接攻撃をもくろみ、乗組員を殺害して船を占拠。 船体に穴を開けて東京湾内に石油をばらまいた上で爆破し、石油の輸入阻止・大気汚染・海洋汚染、の一石三鳥を狙うが、 まことのメッセージを受け取ったコンドールマンが駆けつける!
 いつの間にやらカットされた左腕が再生したGS店員が、 時限爆弾を抱えながら逃げる事でコンドールマンを道連れにしようとする勇姿は格好良かったですが、 コンドールキックを受けて敢えなく海中で爆死。コンドールマンは逃げるスネークを追ってマッハコンドルを走らせ、 アップになった運転席に水しぶきが叩きつけられ、ワイパーが盛んに動いているという映像は、残念ながら海上を走る迫力は出ず、 どうにも間の抜けた感じに(^^;
 「コンドールマン、死ね!」
 そしてスネークの反撃で海上を炎が走り、明らかに吹っ飛ぶミニチュアの車(笑)
 だがなんかまあ無事だったコンドールマンはコンドールサンダーを放ち、海上で激烈な落雷を受けたオイルスネークは大爆死。 ……見た目は印象的だったのですが、やる事なす事出たとこ任せになってしまい、 最後まで落ち着きのないキャラクターのまま退場になってしまいました(^^;
 モンスター一族本社では、オイルショック作戦は中途で阻まれたものの、度重なる石油コンビナートの爆破などにより 「大気汚染が進行したから、よっしゃラッキー!」とキングが次の計画を指示。 不首尾に終わった作戦からも次へと繋げる材料を前向きに見つけだすのが恐ろしい組織であり、 1クール目の空気を残す作劇になっています。
 バタール石油大臣の厚意により、日本の石油危機は救われた……が、新たに来日したモンスター一族の幹部スモッグトンの謀略により、 帰途につく石油大臣を乗せた飛行機が吹っ飛んでしまう!
 ここ3話分の日本を苦しめた問題を解決に導き、数秒前にヒーローが笑顔で別れた善良な人が、 エピソードのラストで悪の組織によって爆殺されてしまう、というかなり衝撃の展開。
 ナレーション「モンスターの新しい挑戦は、空から突然やってきた。果たして、スモッグトンはどこに。また、その狙いはなにか!」
 行動が無茶苦茶なコンドールジュニア、結局面白くならないままだったオイルスネーク、と不満点はあるものの、 今作らしさが幾つかが光り、前回までよりは、やや浮上。
 ところで、C一心が一心の姿のままで平然と大臣と面会したり、大臣を見送ったりしているのですが……これはもう、 TVの前の視聴者には一心の姿に見えているけど、劇中では場面によって実はコンドールマンの姿である、ぐらいの解釈をしないと駄目か……(^^;

◆第18話「陸・海・空 3大モンスターの逆襲」◆ (監督:伊賀山正光 脚本:伊東恒久)
 前回までのおさらい……がえらく長い。そしてAパート17分。
 一心は空港でスモッグトンを発見して追跡するが、毒のスモッグ攻撃を受けて見失ってしまう。 スモッグトンはOPに名前のあるモンスターという事もあってか、メキシコ風の帽子を取るとツボ状の頭の上から紅い煙が噴出しているなど、 デザインも活きた好演出。飛行船を根城に上空に毒スモッグを撒き散らしていたり、愛用の巨大パイプがトランシーバーになっているなど、 描写も凝っています。
 街の美化活動に精を出すジュニア達からピクニックに誘われる一心だが、東京上空を多う不穏な雲。 その夜降り注いだ雨は多量の毒素を含んでおり、たみ子が畑を借りて育てていたキャベツも毒に汚染されてしまう。
 総集編だった第14話のラスト、一心とジュニア達が海岸のゴミ拾い兼ピクニックを楽しんでいるとにわかに空がかき曇り、 コンドールマンが車を走らせるとコンビナート大爆発……という展開が、第15話冒頭の花火大会に紛れた挑戦状、 と繋がっていない妙な違和感がありましたが、むしろ今回の作戦の前振りが含まれているようで、この辺り、 物語の予定変更などがあったのかも。
 汚染された食物を人々に食べさようというスモッグトンの作戦はコンドールマンによって阻止されるが、続けてゴミゴンが出現。
 「ゴミゴン! 街を幾ら汚しても人の心は汚せんぞ!」
 颯爽と決めたコンドールマンはゴミゴンをハリケーンで吹き飛ばすも、スモッグトンの用意した罠に誘い込まれてしまい、大ピンチ。
 基本前のめりで迂闊で何度目だ伏兵、のコンドールマンですが、注意が足りないというより、 逃げられたら追いかける正義の体質なので仕方ない。
 スモッグトンとゴミゴンの連続攻撃に追い詰められるも辛うじて逃げ出すコンドールマンだったが、ヘドロ地獄に足を取られてしまい、 ED曲と共に登場したヘドロンガーのヘドロ攻撃を受けてしまう。更にゴミに埋められて身動きが取れなくなった所をスモッグ攻撃で燻され、 大幹部3人に囲まれて文字通りに手も足も出ない大ピンチ!
 太陽エネルギーで戦う正義のシンボルが、公害モンスターに囲まれて身動き取れなくなる、というのも象徴的な絵で、迫真の展開に。
 コンドールマンの危地を知らぬまことだが、コンドールバッジが砕けた事に不吉を感じ、 ジュニア達とコンドールサークルを作ってコンドールマンに太陽エネルギーを届けようとする。
 「神様、コンドールマンの力になって。お願い、お願いです」
 コンドールマン絶体絶命の時、子供達の祈りが天に通じ、降り注ぐ光から力を得たコンドールマンは最大出力のコンドールサンダーを放って窮地を脱出。
 コンドールマン脱出前に、3大モンスターがそそくさと周囲から離れている、というのがちょっと変な絵(^^;
 逆転劇としては都合の良い奇跡であるのですが、普段まこと達の危機をコンドールマンがヒーロー的第六感で救っているのに対し、 ここではまこと達がヒーロー的第六感でコンドールマンを救うというのは、今作が、 正義のシンボルに照らされて自立していく人々の物語であると思うと、普段から自分たちに出来るヒーロー的活動(美化運動) をしているまこと達が、一時、文字通りのヒーローになっているという点で面白い所。
 3大モンスターはひとまず逃げ出すが、陸・海・空からの、日本全滅作戦は続く! 果たしてコンドールマンは、 この大攻勢を打ち破る事が出来るのか!
 色々巻きに入ってきた感じですが、主力モンスター一挙登場からコンドールマンの大ピンチに繋げ、強大な敵との対決、 という雰囲気は再び盛り上がってきて、ここからの展開が楽しみになってきました。

→〔その4へ続く〕

(2017年5月16日)

戻る