■『正義のシンボル コンドールマン』感想まとめ2■


“銭に狂った 人間さまの
こころが産んだ 欲の虫”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『正義のシンボル コンドールマン』 感想の、まとめ2(7話〜12話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕

◆第7話「怪!モンスター貴族」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:伊東恒久)
 OP最後のマントを広げるコンドールマンの姿にエフェクト強化、アイキャッチのコンドールマンが画面左手からフレームインしてくるように、 と一部微修正。
 レッドバットンに追い詰められたコンドールマンは、自ら飛び降りて窮地を脱出……意外と低かった、崖。
 隠し武器のベルトファイヤーを放つも空中に回避され、再びタイフーン攻撃を受けたコンドールマンは、 一か八かでコンドールハリケーンを放ち、ぶつかりあう風と風、激しい気流が発生して巨石が浮いた……!
 と思ったら、いきなりの場面転換。
 ナレーション「その頃、食糧不足は深刻となり、人々は野草を採って飢えをしのいでいた」
 先に逃げたまことの無事が描かれ、母と祖母と合流。
 そして衝撃……一心には、品の良い喋り方の、彼女が居た!!
 まあ一心、二枚目だし口だけではなく志を現実にする実行力の持ち主だしで、モテる事に違和感は全くないのですが。
 (一心さん……あなたが亡くなって、もう半年になります。でも……でもわたくしには信じられないの。あなたがわたくしを、 ひとりぼっちにしていくなんて。……あの時どんな事をしても、引き留めれば良かった)
 「お話って、何?」
 「ん……アメリカへ行ってくる」
 「え? いつ?」
 「今夜の飛行機だ」
 この感じなので、ついてくる女性は選びそうですが!!
 なお世界の旗のお仕事と言っていますが、地の果てまで殺し屋を追い詰めて報復するつもりです。
 「美しいもの……平和、愛、それらを守る為なら、俺は命を懸けて戦う」
 一心の墓に手を合わせ、半年前のエキセントリックな言行を思い返していた女性・さゆりは、寺の入り口で、 何とか逃げ延びてきたらしい疲労困憊のコンドール一心と遭遇。
 駆け寄ってすがりつくさゆりに対し、勿論、「誰、おまえ?」と冷たく接するC一心。
 ……というか三矢家、一心の彼女に事情ぐらい教えていないのか(^^; さゆりの盛り上がりぶりと、 アメリカへ旅立つ前に話をしている事を考えると、それなりの仲だとは思うのですが、親公認の恋人関係という程ではなかったのでしょうか。
 一心の目に宿った輝きに、瓜二つだが別人と悟ったさゆりだが、倒れそうな一心をとにかく自宅へと担ぎ込み、 「空を……空を飛ぶんだ」と謎すぎる譫言を聞かされる羽目に(笑)
 危うく、薬物関係で警察を呼ばれる所でした。
 翌朝、さゆりの部屋で目を覚ましたC一心は机の上の一輪挿しに目を止め、「一心の元恋人だから」ではなく 「花を愛する心を持った人」としてさゆりの優しさに触れる――そしてそれは、コンドールマンの知らず、 一心が生んだ繋がりである――というのが、視聴者と劇中人物が持つ情報と感情のギャップを徹底しつつ、 それを分断ではなく絆にしていくという、今作の絶妙な所。
 正義のシンボルであり人智を越えた存在であるコンドールマンが、人間性と隔絶しながらも、 しかしその素体となった人間・三矢一心の志を受け継ぐ事で、一心が持っていた繋がりに助けられる“縁”というのが織り込まれ、 それぞれの他を思いやる繋がりにこそ価値がある、という今作のテーマ性が非常に良く出ています。
 「そうだ……ゴールデンコンドル」
 自分の中に眠るもう一つの化身の存在を思い出した一心は、山に篭もって筋トレを開始。
 そうだ、筋肉は(以下略)。
 一方、コンドールマンを誘き寄せる為に行動を過激化させていくレッドバットンのアジトを、 燕尾服にシルクハットの怪紳士(潮健志)が訪れていた。
 「臭いな……イングランドの我が屋敷に比べれば、まるで犬小屋だな」
 身内の戦闘員すら容赦なく溶かしてしまう紳士の正体は、ドラキュラのまたいとこの血統を名乗るモンスター、ダン・阿久魔。
 合わせて来日したバットン姉は、さっそく仲違いする妹とダンを仲裁し、面倒くさそうな職場です(笑)
 決闘寸前まで行く二人だが、姉がキングの名前を出すと嫌々ながら「ハールマゲドン」を唱和し、キング、カリスマ。
 組織の合言葉を口にする事で、本音は嫌だけど組織の為に仕事をします、 という意思表示が画面の中にも外にも伝わるというのが面白く効いています。個人的に、「ハールマゲドン」は非常にお気に入り(笑)
 新たな刺客が現れたとは知らず、筋トレに励んでいた一心は呪文を念じて崖から飛び降りてみるが……飛べない(笑)
 「駄目だ……出来ない」
 実際に高い所から落ちてみたら火事場の馬鹿力でチャクラが開くのではぐらいの勢いで、ネジの落ちっぷりがまた、 人間ではない存在ぶりを際立たせます。
 にしても、焚き付けるだけ焚き付けた老師が姿を見せないのですが、不法入国が見つかって強制送還でもされたのか。
 その頃、薄いスープ一皿だけの食事をかきこんだ源太郎が、集めた食糧を決死の思いで東京へ運び込もうとしていた。
 「俺達も、自分に出来る事で、コンドールマンさんを応援しなくちゃ」
 ヒーローは存在しているけれど、それは都合のいい神様ではなく、人間はあくまで自分の足で立たなくてはいけない、 天は自ら助くる物を助く、というのも今作の徹底したメッセージ。
 だがやはり源太郎に紅コウモリ一味の襲撃が迫り、助けに急ぐ石松、 修行の壁にぶつかりインコアイで下界の様子を探っていてそれを知る一心、一心の遺影(仏様)に祈るたみ子。
 「一心……お願いだよ、お父さんと石松さんを、守っておくれ」
 たみ子の祈りは具体性のないものとはいえ(むしろここで、具体性があってはいけない)、 その無辜の祈りによってコンドールマンが明確に神仏になぞらえられており、今作におけるヒーローの位置づけが重ねられますが、 こういったテーマとキーになる部分の徹底は、今作の非常に丁寧な部分です。
 襲撃を受けた源太郎の命が風前の灯火のその時、響き渡る排気音。源太郎を助けに駆けつけたのはコンド……ではなくて、 アメフトプロテクター装備の石松。
 「あのえもんがけみたいのがコンドールマンか?」
 「いや、ただの雑魚だ」
 「なんだとー! ぬーー! 人を馬鹿にしやがって〜。男石松コンドールマンになりかわって、お前達をくしゃんぺちゃんにしてやる、 それー!」
 基本、間の抜けたコメディリリーフの石松ですが、三矢一心の正義を伝播された一員としてしっかり描かれており、 こういった描写も丁寧です。
 だが石松は、ダン・阿久魔の英国式ボクシングでぼっこぼこにされ、阿久魔の本性であるダブルバットに吸血の餌食にされそうになるが、 今度こそ本命登場。
 「待てぇ! 正義のシンボル・コンドールマン! 貴重な食糧は断じて渡さん」
 ダブルバット対コンドールマンは、飛行するバットが放つコウモリミサイルで火薬祭。これをコンドルアローで迎撃するのも格好良く、 結構手を変え品を変えてくる戦闘は面白いのですが、空飛ぶ敵に苦戦していたと思ったらアローが心臓に直撃で勝利…… という決着の雑さが前回に続いて勿体ない所(^^;
 あと、コンドールマンが戦闘員を投げ倒したら戦闘員が溶けたのですが、魔神コンバット部隊は人間ではない事の強調でしょうか。
 絶命寸前、ダブルバットは最後の力でコウモリミサイルを放ち、爆炎に飲み込まれるコンドールマンとレッドバットン(巻き添え)で、 つづく。
 今回からED終了後、次回予告の前にやたら爽やかにコンドールマンが登場。
 「さあ、みんなでコンドールマンの歌を唄って、美しい日本を守ろう!」

どこの どこの どこの誰から頼まれた 命を懸ける価値もない〜

 物凄くキチガイ度の高い事に(笑)
 OP1番がワンコーラス流れて、今回の名場面に作詞作曲レコード会社などのテロップが乗り、CM……?  と思っていたらシームレスに次回予告に! 次回――老師再び、そしてゴールデンコンドル降臨?!

◆第8話「やったぞ!3段化身」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:伊東恒久)
 最後のコウモリミサイルを放ってダブルバットは死亡し、カツラ、そして帽子だけが後に残るというのが印象的。 存在感のある悪役だっただけに、実質、前回Bパートだけの活躍だったのが勿体ない。
 コンドールマンはベルトから火花と煙を放って辛くも逃走し、弱点克服の為に再び筋トレへ。
 その頃街では、栄養失調で病院に運ばれる人が続出していたが、そこに源太郎が運び込んだジャガイモが届けられる。
 「もっと沢山あればいいのに〜」
 「うん。でも、これでみんな、勇気が出るよ」
 正義の想いの連鎖が描かれていく中で、いったい何が大切なのか、というメッセージが中途半端に格好を付けず、 恥ずかしがらずに真っ直ぐで明確なのは、今作のとても良い部分。皮肉で風刺のきつい作品である一方、実に王道を力強く進む事で、 ヒーロー物としてのバランスが巧く取られています。
 そんな人々に更なる希望となる、外国からの食糧援助のニュースが届くが、モンスター一族では不在だった極東司令官の椅子に、 Mr.J・ゴードンが着任。合わせて、バット姉(レオナ・タカクラ)が極東司令官付き秘書に任命される。
 ゴードンがキングモンスター直々という辞令を取り出すのですが、自筆だとしたら、割と几帳面そうな文字です(笑)  キングモンスターの欲望はもしかして、「柔軟で効率的かつ規律の行き届いた組織運営」だったりするのかもしれない。
 演じる大月ウルフさん得意のヒステリックな調子で紅コウモリ作戦の中止を命じたゴードンは、 友好国からの食糧援助を取り付けた黒井食糧大臣に接触すると、輸送船の航行ルートを教えるようにと買収をはかる。
 「いや〜、政治というものは銭のかかるもので……しかし、銭というものはいい……うわははははは!」
 積み上げられる札束を前にして態度の変わった黒井大臣は……なんと、ゼニクレイジーの姿に!
 ゴードン、表向き大臣と直接交渉できるような立場の人間なのか、と思っていたら、既にモンスター一族の魔手は国政にも及んでいた、 という衝撃の展開。クレイジーがもともと黒井に偽装して大臣にまで上り詰めたのか、 作戦に都合が良いと黒井に成り代わったのかはわかりませんが、金満商事による露骨な買い占めが見逃されていた理由も、これで納得。
 パンツに札束を突っ込んでいくクレイジーに対してキングの辞令(どうやら委任状のような効果があるようなので、 やはり自筆なのか)を突きつけたゴードンは作戦への協力を命じ、その正体がサラマンダーと判明。
 モンスター一族の本社重役が続々と日本に集まる中……一心はひたすら、崖からダイブを繰り返していた。
 その結果、一回転して綺麗に着地できるようになっていた。
 「できた……出来た!」
 え(笑)
 (よし、今度はもっと高い所へ挑戦だ)
 ………………駄目だった。
 …………痛かった。
 「空を飛ぶ事なんか出来はしない! タバ老師の嘘つき!」
 地面に転がって思わず愚痴ると、日がなエゴサーチを欠かさない老師が突然TLに浮上。
 @condor1sin 「儂は嘘はつかぬ」
 困った老師、何の溜めもはったりもなく突如として画面に入ってきて本当に困った老師なのですが、 どうも既に此の世の理から外れている人としか思えないので、考えるだけ無駄な気がしてきてますます困ります(^^;  「コンドールマンをレベルアップさせる」という目的は持っているけど、それにともなう理屈は特に持ち合わせていないというか。
 一心の筋トレ量に満足した老師は、焦ってインスタントに修行できると思うな、と改めて修行内容をレクチャー。
 「心を鍛える地の修行……心を空にする。すなわち! あれじゃ!」
 「……雲」
 「空をゆく雲の心。それが会得できれば、天は自ずから開けてくる」
 老師は一心に、木の天辺でザゼーンを組めと示し、ここからしばらく特訓展開。木の上とか無理! と修行を辞めようとする一心に、 ならあそこの丸太でいいや、と妥協し、一心が丸太によじ登ろうとしては転がり落ちるのを繰り返すのは、 スポ根ものの文脈なのかと思われますが、くどくてあまり面白くならず(^^;
 一方、街では外国から食糧を運んできた貨物船がレッドバットンによって撃沈され、更にその罪がコンドールマンになすりつけられてしまう。 十重二十重の包囲網がコンドールマンに迫る中、事件の真相を追っていた一心義兄は目撃者ごとレッドバットンに消されそうになるが、 そこに駆けつけるコンドールマン。
 「ゴールデンコンドル!」
 遂に天高く飛翔したコンドールマンがゴールデンコンドルに姿を変えた所で、つづく。
 クリフハンガー形式は恒例ですが、それにしても丸太登りで時間を費やした末に、 見た目パッとしないゴールデンコンドルが何の活躍も見せないまま次回に持ち越してしまうので余りにもスッキリせず(^^;  コンドールジュニアがコンドールマンを探す、という要素も今回の中では何も活かされませんし、 あちこち話が散らばった末にてんでばらばらのまま雑な場面の繋ぎで、後半のテンポが悪くなってしまいました。

◆第9話「恐怖の吐かせ屋!」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:山崎晴哉)
 サブタイトルが既に凄い……と思うのも束の間、第三の化身・ゴールデンコンドルと空中で衝突し、
 レッドバットン、瞬殺。
 長々頑張ってきたのに、タイトルコールから5秒で撃墜(笑)
 どうやら当座の指揮官クラスの賞味期限は4話程度に設定されているようですが、あまりにも呆気ない最期。
 だが妹レッドバットンの死に反応して藻掻き苦しむ姉秘書が、妹の恨みと魔力を吸収し、鬼女そのものの本性を見せる。
 「おのれコンドールマン、貴様を殺さずにおくものかぁー。だが、ただ殺しはしないよ! 貴様の正体を暴き、 痛めに痛めてなぶり殺しにしてくれる。妹の恨み、晴らさずにおくものかぁぁぁ!」
 雷鳴轟くゴシックホラー演出に、物凄い迫力の化粧で、子供が泣きそうなレベルでかなり怖い。
 堅介とカメラ助手を無事に助け出すコンドールマンであったが、黒井大臣の会見により、 食糧輸送船を狙う悪のシンボルとして名指しされ、現実問題として怪しい全身タイツの男として、立場が悪くなっていく事に。
 三矢家の茶の間でこの会見を見ていた一心は、大臣に何か異常なものを感じておもむろにコンドールアイを使ってみるが、 ムー帝国の超能力は現代家電と相性が悪かったのか、TVが映らなくなってしまう。
 ナレーション「コンドールマンは、コンドールアイを使ってみたが、画面が乱れただけで、相手がモンスターかどうかは、 わからなかった」
 実はこの時、会見場では大臣が急に苦しみだして会見を打ち切ると部屋を退出した所でその正体を曝しており、 現場では割と混乱があったし、舞台裏では実際に本性を見せる所まで追い詰めているのだけど、 しかし画像が乱れてしまったのでコンドールマン視点では何もわからなかった、という、 情報の限定や一方通行がかなり意識的に織り込まれているのは、今作の面白い所。
 これ、下手すると00年代以降でも、いつの間にか重要な情報が共通認識にすり替わっていたり、 視聴者視点と劇中人物視点の情報を無造作に共有させてしまいがちなのですが、 今作は一心−コンドールマンと周辺の人々の関係から始まって、簡単に情報が共有されずに個々人の認識にすれ違いがある、 というのが随所に意識されているのを感じます。
 (※ちなみによく書きますが、特撮ジャンルにおいて、この「情報のギャップによる錯誤」を用いるのが抜群に巧いのが、 全盛期の井上敏樹)
 日本に近づいていた第二輸送船団は新たなモンスター・ブタ磁石によってまたも沈められてしまい、 これまたコンドールマンにその罪がなすりつけられてしまう。号外配りが腰につけた鈴を鳴らして耳目を集めているのは、 当時の風俗でしょうか。
 首尾良く襲撃を成し遂げたブタ磁石――ケニアの吐かせ屋コインマーはアジトを訪れ、 本部へ出張中のゴードンに変わって姉バットの指揮下に入る事に。
 「おまえにかかったら、どんなに強い信念の持ち主でも、参らない者は無いそうだね?」
 「アフリカの大物はみんな締め上げました。ところで、私のいたぶるコンドールマンって、逞しい? それとも痩せ? 私痩せ嫌いなのよ」
 チョビ髭の小男というコインマー人間体がしなをつくって鞄を開くと、その中に詰まっているのは怪しげな道具の数々。
 「いろんな責め道具を持っているんだね。さすがだね」
 ……え。「締め上げた」って、そういう事なの?!(^^;
 今、コンドールマンに、空前絶後の危機が迫る!!
 変態怪人というのもある種の伝統ですが、作風が作風だけに胸の動悸が収まりません。
 姉バットとブタはゼニクレージーと今後の作戦を検討する為に議事堂へ向かうが、 議事堂の前に張り付いて道行く車にコンドールアイをかけまくっていた不審者もとい三矢一心に運転手の魔神コンバットが正体を見抜かれ、 咄嗟に座席に伏せて回避。その事を銭大臣にも伝える。
 「注意といえば、この辺をコンドールマンがうろついているんだ。十分気をつけておくれ」
 「なにコンドールマンが?」
 「そんなに慌てる事はないんだよ。まさかここまでは入ってこれないからねぇ」
 それ、某JPさんなら法の壁をぶち破って突入してくるフラグですし、 金満商事の会議室に乱入した前科のあるコンドールマンもやりかねないと思ったのですが、ここは自重。
 3人は、食糧輸送船の襲撃により引き続きコンドールマンを悪者に仕立て上げて社会的に追い詰め、焦って行動に出た所を罠にかける、 という方針を確認。
 「なるほど。そして捕まえた後は、このケニアの吐かせ屋の出番。ほほほほほほほほほ、さて……どうやっていたぶってやろうかしら。 ほほほほほほほ」
 妹バットが、コンドールマンが浴びるヒーローとしての賞賛を我が物にしようとしていたのに対し、 姉バットはコンドールマンというヒーローの名声を地に墜とそうとする、と、日本飢餓作戦の継続以外にも、 キャラクターの行動が関連付けられているのは面白い所。
 70年代作品なので今見ると雑な部分は勿論多いのですが、根っこの所での物語の構造が非常に巧く出来ています。
 この場面の会話を聞いている限りではバット秘書の方が組織の階級では高位のようなのですが、 そんな上官にも作戦協力の見返りとして平然と札束を要求するゼニクレイジー(笑) 履かせ屋ブタ磁石の方は、 バット秘書が取り出した小銭の山を左手の磁石にくっつけると口に運んでご満悦。
 「しかしコインマー。どうしておまえはそう、小銭ばかり好きなんだろうね」
 モンスターの性癖に、顔をしかめるお姉さん、本当に、大変そうな職場です。
 なお、今日もパンツに札束を突っ込んでいた銭大臣が、コインの山に対しては、何それつまんねー、みたいな表情なのもおいしい(笑)
 げに個人の性癖というものは、深く暗いクレバスのごとし。
 吐かせ屋はさっそく街で大衆を扇動し、それに反論したまことと石松、袋だたきに。
 最初に火を付けたのはコインマーの取り巻き(正体は魔神コンバット)なのですが、 一度ある方向に流れてしまうと小学生相手でも容赦なく暴力を振るう一般大衆の姿が、群衆心理というものを容赦なくえぐりだします。
 なお、真っ先にまことに殴りかかった取り巻き役は大葉健二で、小学生女子に殴りかかる大葉健二が見られるのは、 たぶん『コンドールマン』だけ!!
 あと、同じく取り巻きの一員で登場の高橋利道さんは、どの時代で見ても、もみあげてですぐわかるなぁ(笑)
 そこに駆けつけた一心は、まことと石松を助け出し、身代わりに袋だたきに。暴徒と化した一般市民が、 鬱憤をぶちまける為にもはや誰が相手でも構わなくなっているしそれが見えなくなっている、というのも実に恐ろしい映像です。
 ナレーション「飢えに苦しむ人々の深い憤りを知るコンドールマンは、甘んじて殴られた。それは、 まだモンスターを倒す事のできない自分に対する人々の怒りでもあるのだと、自らに言い聞かせるのだった」
 そこへ通りすがったさゆりが更に一心をかばうも、袋だたき続行(^^;
 ボロボロになった一心はアパートに運び込まれてさゆりの看病を受け、見舞いに来るカメラ助手。
 「一心くん! お安くないわね」
 「そんなんじゃないよ!」
 ここだけ一心の反応が普通の人間のようで、おかしいといえばおかしいのですが、変に面白い事に。
 カメラ助手はさゆりとは既知のようなのですが、一体全体、この状況をどう捉えているのか(^^;  さすがに本物の一心の死去を知らない事はないと思うのですが、C一心をどう紹介されてどう思っているのかは、凄く謎。 これだけ一心に生き写しの男が出てきたら、さゆりが気にするのは当然、ぐらいの考えなのかもですが。
 その頃、釣りに出て海を漂流していた父子が、輸送船団の生き残りの船が魔界島に運び込まれるのを目撃。 モンスター一族は輸送船団全てを沈めず、輸入されてきた食糧を掠め取った上で秘密基地に一時保管し他国に売りさばく事で、 飢餓作戦・コンドールマンの社会的抹殺・金儲け、の一石三鳥をもくろんでいたのである。
 コンドールジュニアの一員であった子供は岸辺に辿り着くとまことに連絡を取るが、父親ともどもブタ磁石に捕まってしまう。 まことから一心に連絡が繋がり、父子のピンチに駆けつけるコンドールマン!
 定番の主題歌バトルなのですが、民衆に袋だたきにされた直後なので、どこの どこの どこの誰から頼まれた♪という歌詞が、 いつも以上に深く沁みます。
 それでも一人の青年の恩義に応える為に、命を懸けるコンドールマンは、父子を救ってブタ&コンバットと激突。 引き続きスピーディな戦闘シーンなのですが、前回あたりから、コンドールマンの打撃音が「びよーん」「びよーん」と、 スプリングのような軽い音になってしまったのが気になります(^^; しゅ、修行の作用なの……?!
 コンバットを蹴散らすコンドールマンだが、ブタの投げつける爆弾攻撃を受けた所で、つづく。
 ――果たして次回、コンドールマンは大人のアイテムの餌食になってしまうのか?!

◆第10話「海の罠・魔界島」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:山崎晴哉)
 ……あ、そうか、コインマーの顔がどうして豚モチーフなのか首をひねっていたのですが、貯金箱か!
 コンドールマンはベルトから放つ「コンドルミサイル!」で爆弾攻撃を防ぎ、ブタ磁石は一時退却。 追跡するコンドールマンは凄く普通に海上を走るマッハコンドル(超能力ではなくホバークラフトの原理との事)で魔界島へと向かうが、 それはモンスター一族の罠であった!
 その頃、ニューヨークにはモンスター一族の重役達が集い、世界各地における征服計画の進捗について話し合っていた。
 モンスター一族、皆で報告に拍手を送り合う素晴らしい社風(笑)
 「諸君頼むぞ。我らモンスター一族の名誉に賭けて、世界制覇の為に頑張るのだ」
 「「「「「「ハールマゲドン」」」」」」
 まことの家には、「一心くんと魔界島へ向かう。明日の昼には食糧を取り戻す予定」というコンドールマンからの手紙が届き、 コンドールマンにC一心の不在についてフォローする意識があったのにビックリです(笑) この後、 魔界島へ上陸した時点では何故か一心に化身しているので、車で移動中に一心に→まことへの手紙を書く→ 海鳥を操って手紙を届けさせる→上陸、みたいな成り行きでしょうか。
 島の各所に仕掛けられた地雷の罠に気付いた一心は、再びコンドールマンに化身して立ちふさがるコンバット部隊を蹴散らすと、 逃げたコインマーを追って洞窟の中へ。その奥で山と積まれた食糧を遂に発見するが、その洞窟は、 潮が満ちてくると中に海水が流れ込んでしまうのだった!
 敵の声の誘導とは知りながらも、人々が待ち望む食料品を守る為に、 鍵のかからない扉を閉めて自らの力で海水の圧力からそれを支えるコンドールマン。
 「これが我々の本当の罠だ。コンドールマンをとうとう捕まえたぞ。ふはははははは……」
 コンドールマンの動きを封じる為に、その正義と善意を利用するという、凄い罠。いってみれば食糧を人質に取っているわけですが、 ここまで10話、如何に人々が食べ物を求めているかを丹念に描いてきた事でその重要性が強く伝わり、 その上でコンドールマンが抗うのは膨大な海水(自然の力)というのが、コンドールマンのヒーロー性をますます引き立てます。
 「それにしても、コンドールマンって予想以上に逞しいのね。私、逞しいのだーいすき。ふふひひひひひ」
 姉バットの詰めるアジトに映像が中継される中、拷問道具を物色した豚は背後からモーニングスターでコンドールマンを殴りつけ、 紅く染まっていくコンドルマンの白い装束……!
 ちなみに、コンドールマンが扉を支えるのを止めると、多分、豚も一緒に海水に飲み込まれますが、いやまあ、 秘密の逃げ道ぐらい用意していると信じたい(笑)
 (全身が粉々に砕けそうだ。だがここで負けては、飢えに苦しむ人々を救えない。耐えていれば、このモンスターのボスも、 そのうち必ず出てくるだろう。それを突き止めるまでは)
 「本当にしぶといやつね。ますます気に入ったわ〜。次はなんでいじめてやろうかしら。これかな〜、それとも、これかな〜」
 コインマーは用途不明の大人の玩具を次々と手にし、拷問の様子を見つめながら酒をあおる姉バット。
 コンドールマンの正体を知るならば覆面を剥いでしまえばいいのでは、と思う所ですが、コインマーは嗜虐心を満たしたい、 姉バットは妹の恨みを晴らす為に徹底的に痛めつけたい、と拷問を長引かせる動機がそれぞれあるので矛盾はしません。また、 コンドールマンが化身である事を考えると、そもそも覆面が剥がせるのか、という疑問はあり、視聴者からは覆面に見えますが、 あの世界では“ああいう顔”として認識されているのかもしれません。
 「本当はね、この扉はスイッチ一つで自動的に閉まる仕組みになってるの。おまえの返事次第だよ」
 「私は負けないっ」
 コンドールマンをバーナーであぶるコインマー、肉体的な拷問ばかりではなく精神的に揺さぶりをかけてくる姿が、 吐かせ屋の造形として秀逸です。
 その頃街ではコンドールジュニア達が、明日の昼にはコンドールマンが食糧を届けてくれると広報に勤しみ、 帰還のハードルを上げていた。
 しかし世間の風は冷たく、ここで、食糧を奪う悪のシンボルにされたコンドールマンを、 正義のシンボルの座に戻そうとするジュニア達の取る行動が、コンドールマンは食糧を配ってくれる人、 という形で図らずも義賊・紅コウモリの行動とかぶる、というのは、大衆から見た正義と悪の移ろいやすさを示しているようで、 何とも皮肉。
 今作の背景に太平洋戦争の影がある事を考えると、かなり痛烈な風刺といえます。
 魔界島では拷問に疲れた豚が船を漕ぐ中、必死に扉を支え続けるコンドールマンにもいよいよ限界が迫っていた。
 一心の帰りを待ち続けるさゆりと、コンドールマンを信じ続けるまことの姿がそこに重なり、全身の力を振り絞るコンドールマン。
 (そうだ……こんな所で死んでたまるものか。敵をここまで追い詰めたのに、死んでなるものか。たとえ片腕一本になろうとも、 この身が粉々になろうとも、子供達との約束を守ってみせる。ここを支え通してみせる。モンスターの正体を突き止めずにおくものか)
 まことの家に届いた手紙がタイミング的に不自然すぎて、モンスター一族の罠の可能性も疑っていたのですが、そうか、 わざわざ手紙を投函したのは、自分で自分のハードルを上げる為だったのか!
 かなり無理はありましたが、 子供達との約束を力に変えるコンドールマン・コンドールマンから貰った勇気と希望を街の人々にも伝えようとするジュニア達、 という構図も繋がり、お見事。
 同時に、(演出的にはともかく)さゆりとまことの声がコンドールマンに届いている、というわけでは恐らくないので、 あくまでも具体的な「約束(を守ろうとする信義の心)」が土壇場でコンドールマンに限界を超える力を引き出させているのであり、 決して突然奇跡の力が発動しているわけではない、というのも良いバランスです。
 コンドールマンは一心不乱に呪文(ニュアンス的には念仏か)を唱えて集中力を高めると扉を支え続け、その姿に重なる、 帰りを待つ二人の姿。打ち寄せる波に抗い続ける正義のシンボル! 果たして黄金の翼は、再び輝く事ができるのか?! 次回へ続く!
 いやぁ……凄かった。
 怪人クラスとの戦闘は冒頭のみで、Bパートは戦闘員を軽く蹴散らした後はコンドールマンはほぼずっと拷問されているだけ、 というヒーロー物の定型からはかなり外れた構成なのですが、にも関わらず、コンドールマンとは如何なるヒーローであるのか、 がこの上なく鮮やかに描き出され、ただただ扉を押さえているだけなのに気高いヒーローの姿にカタルシスまで発生してしまうという、 強烈な展開。
 参りました。

◆第11話「ゼニクレージー大反撃」◆ (監督:まつしまみのる 脚本:伊東恒久)
 OPのキャストクレジットに、「レオナ高倉」とか「黒井大臣」とか役名がしっかり表記されるように。
 サブタイトル前に毎回入る「これまでの『コンドールマン』」に、ジュニア達にその証としてコンドールバッジ(黄金の羽のモチーフ) を渡すコンドールマン、という見た記憶のない映像が入り、新撮かカットされていたシーンかはわかりませんが、 過去補完シーンの挿入としてはスマートなやり方で良かったと思います。それが今回のキーとなるのを、スムーズに強調できましたし。
 朝焼けの光を浴びながら海岸でジュニア達がコンドールマンを待つ中、 魔神島ではコンドールマンが賢明に扉を押さえている背後でコンバット部隊が食料品を運び出していた。
 身動き取れない主人公を心身共に散々いたぶった挙げ句、悪事の手伝いにまで利用する、 とヒーローをどこまでも踏みにじってきて実にえぐい。
 目の前でモンスター一族に運び去られる食糧を、それでも無にしない為、扉を支え続けるしかないコンドールマンだが、 そこに図に乗った黒井大臣が姿を見せ、遂にご対面。
 「黒井食糧大臣……! やはりお前か!」
 コンドールマンを嘲笑う黒井だが、ここでとうとう潮が引き、コンドールマン反撃開始。 鬱憤を晴らす鮮やかな格闘アクションがしばらく展開し、部下を見捨てて一人で逃げ出すゼニクレージー。 コンドールマンに襲いかかったコインマーは反撃の蹴りを食らうと銭が閉じた電流フェンスに直撃してしまい、感電爆死して小銭の山に。
 戦慄の怪人でしたが、やはり最後は呆気ない(^^;
 「コンドールマン、わしの銭儲けの食糧を守ってくれて、あんがとさん。お礼に島ごとぶっ飛ばしてくれるわ。あっはははははは!」
 コンドールマンが守った食糧はゼニクレージー配下によって輸送船で運び出されてしまい、爆発で崩壊していく魔界島。 この際、ミニチュアの爆発カットだけでなく、ゴールデンコンドルに化身する為に精神を集中するコンドールマンの背後で、 弾けまくる火薬という演出が、実に『コンドールマン』らしくて超格好いい。
 厄介なコンドールマンを葬り去ったとテンション上がるサラマンダー、姉バット、銭、「ハールマゲドン」唱和の後に、 なんか謎の愉快なポーズを取る大月ウルフ(笑)
 魔界島の爆発を知り、落ち込むジュニア達だが、みんなが徐々に座り込む中、まことだけが最後まで立っている、 というのも格好いい演出。そこに脱出に成功したゴールデンコンドルが飛来すると、メッセージを残して再び沖へ。
 「大臣がモンスター……!」
 「大変だ! 早く報せなくっちゃ!」
 食糧の代わりに、また騒動の種を……!(笑)
 ナレーション「コンドールマンの化身、ゴールデンコンドルの雄々しい姿は、まこと達に勇気と力を与えた」
 これは“正義のシンボル”コンドールマンというヒーローの本質を示していて、格好いいのですが。
 沖に戻るとほぼ怪獣みたいな勢いで輸送船を襲撃したGコンドルは、超能力光線でその操縦を奪うと、船を無事に入港させる事に成功。 だが計画をくじかれた黒井により、輸送船の爆破犯人として指名手配されてしまう。 それに抗議したジュニア達は魔神コンバットにまとめて捕まってしまい、コンドールマンの居場所を吐けと集団で折檻を受ける事に(^^;
 落ちていたコンドールバッジと鳥の目撃情報からこれを知ったコンドールマンは、そこに駆けつけると子供達を颯爽と救出。 前回があんまりだったので、今回は華麗に大活躍です。
 その頃、黒井大臣は記者会見で、コンドールマンがモンスター一族から取り返したと称して輸入された食料品は、 全て病原菌に汚染されていると嘘を発表。食糧を回収すると共にコンドールマンに更なる罪をなすりつけようとするが、 会場に殴り込んでくるコンドールマン。
 「今こそ、みんなの目の前で欲に凝り固まったお前の醜い正体を暴いてやる! コンドールアイ!」
 ゼニクレージーはその正体を全国中継され、カメラの前で取り巻きのコンバット部隊を蹴散らす姿でコンドールマンは汚名返上。
 公権力から徹底的に悪として貶められたコンドールマンに対し、食料品を回収しただけで世間がくるりと手の平返すのでは、 数話分の反撃としては簡単にすぎるのではないかと思っていたら、黒井が利用してきたTVと権力を逆手に取る、 という形で一押し入れてきたのは説得力も増してお見事で、踏みつけて踏みつけてからの逆転劇が、完璧な展開。
 会見場を逃げ出した銭とコンドールマンは東京タワーの前で激突し、コンドールマンに痛めつけられた銭はパンツから札束を取り出して命乞い。
 「やめろ。お金で正義や人の心が買えると思うのか!」
 「買えるとも」
 この局面で、一切躊躇無くて凄い(笑)
 「人間は欲の皮をかぶった獣よ。銭で買えないものはない」
 どこまでもいぎたないゼニクレージーは札束から噴射する冷凍ガスで反撃してくるが、 容赦なく戦闘員を盾にするコンドールマンの身代わり戦法の前に部下を氷漬けにしただけに終わり、 コンドールマンの必殺3段加速キック東京タワースペシャルの直撃を受け、溶解。古びた金庫の中に入った1万円札、 という正体をさらして死亡する。
 今回はこれで大団円かと思われたその時、サラマンダーが東京タワーの上の方で子供達を人質に! でつづく。
 人質で引っ張る(2回目)という展開はあまり繰り返されると冷めますが、今回に関しては、 そもそもジュニアが人質になったのはコンドールマンが必要以上の情報を与えすぎた為なので、自業自得というか何というか(^^;
 それにしても、TV番組なのに、東京タワーが悪の広告塔みたいな扱いなのは良いのでしょうか(笑)  TVの向こう側にもモンスターは沢山居るし、しかし一方で、使い方次第では正義を示す武器になる、という事なのでありましょうが。
 ところで、さゆりの出番ゼロでちょっと酷い(^^; 三矢まこと、この圧倒的ヒロイン力……!
 そして今回から、ラストの主題歌コーナーの映像が、今回ダイジェスト無しで全て次回のものとなり、やたら長い次回映像集に。 さすがにこれは見せすぎの感があり、次回以降もこの形になるなら、飛ばした方が無難かなぁ……。

◆第12話「魔のトライアングル作戦」◆ (監督:まつしまみのる 脚本:山崎晴哉)
 見所は、
 倉庫への不法侵入が段々楽しくなってきてしまう一心
 と、
 そんな倉庫の爆破活動が楽しくなってきてしまうモンスター一族
 「モンスター一族の辞書には、卑怯という文字はない!」
 東京タワーに縛り付けられたコンドールマンはサラマンダーの火炎攻撃でいたぶられるが、 大技コンドルサンダーでタワーに雷を落として窮地を脱出。コンドルハリケーンで吹き飛ばしたサラマンダーが人間の姿で逃げようとするのを追うが、 突如現れた新たなモンスターによってマンホールの中に引きずり込まれてしまう。
 ブタ顔のモンスターは、第2話で葬ったバーべーキューの妻、まさかのマダム・バーベキュー(チャン・カンフーの息子、的な)。
 サラマンダーを探す一心は堅介に黒井大臣と関係していた会社の再調査を助言し、 倉庫に眠る大量の食料品を発見するが倉庫は証拠隠滅の為に爆破されてしまい、一心達の向かう先々で次々と弾け飛んでいく倉庫。
 「正義さえなければ、人間なんぞ放っておいても、戦争なんかで互いに殺し合って滅んじまうもの。だが、正義を信じられると、 我々手出しがしにくくなるね」
 作戦の遅れをキングから叱責されたサラマンダーは、極東支部の戦力を、“正義のシンボル”コンドールマン抹殺の為に集中する事に。
 「モンスターにしてやられる正義なんて、信じたって、何にもならねぇや」
 一方、コンドールマンを信じるかどうかで揉める子供達だったが、そこに通りすがった一心が正義を信じる心を説き、仲直り。
 (明日の将来を担う子供達。その子供達までもが、正義を信じなくなったら……)
 今作におけるコンドールマン、そして子供達、の意味が直球で放り込まれるのですが、エピソードの面白みと繋がっていない為に、 強引に台詞だけ入れた感じになってしまっていて、話のテンポも悪く残念。
 一心として倉庫を調査中に姉バットの爆撃を受け、それを迎撃したコンドールマンは姉バットを追うが、 それは3人がかり(+戦闘員)でコンドールマンを葬り去ろうという、トライアングル作戦の幕開けであった。
 3モンスターが協力してコンドールマンと一大決戦、という流れではあるのですが、 サラマンダーが極東司令官として大した仕事をしていない為に、もう一つ盛り上がらず(^^; そしてそんな戦いで、 コンドールミサイルの直撃を受けた姉バット、消滅。怪人のリタイアが呆気ないのは毎度の事ですが、一応、 第1話から登場しているキャラクターなので、リタイアするなら作戦のメインを張る姿を見たかった所です。 これといった特殊能力も見せられませんでしたし、マダム・バーベキューと入れ替わりでは、どうにも勿体ない。
 そのマダムの放ったバーベキュー結界に閉じ込められてしまったコンドールマンは、 マイクロウェーブでちりちりオーブンされる事に……で、つづく。
 9−10−11話と続いた良回の流れが一段落して空気を変えようという意識もあったのか、かなりコミカル寄りに展開するのですが、 あまり面白くならず。何故か見た目、亀+レスラー、というサラマンダーのキャラクターの弱さも足を引っ張ってしまっていますが、 次回、ここから挽回なるか。

→〔その3へ続く〕

(2017年4月21日)

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