ブログ「ものかきの繰り言」に時たま書いていた『バトルフィーバーJ』 感想(1〜5、33、37、50〜52話)のサルベージまとめ。だいぶ適当です。文体の統一や誤字脱字の修正などに加え、 ほどほど追記。
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<主な登場人物>
- ☆バトルジャパン/伝正夫:バトルフィーバー隊の多分リーダー。レンタカーただ乗りの常習犯で、空手や柔道の使い手。
☆バトルコサック(初代)/白石謙作:子供好きで心優しい熱血漢。パチンコが大好きで、コサックダンスの使い手。
☆バトルコサック(二代目)/神誠:謙作の先輩で、その跡を継ぐ。射撃の名手で、心と服装はカウボーイ。
☆バトルフランス/志田京介:美容師の顔も持つ、伊達男。キザで女好きで、フラメンコの使い手。
☆バトルケニア/曙四郎:動物と心を通わせる事ができる野生児。卓越した運動神経の持ち主で、空気とかは読まない。
☆ミスアメリカ(初代)/ダイアン・マーチン:FBIの秘密捜査官で、ディスコダンスの達人。
☆ミスアメリカ(二代目)/汀マリア:アメリカへ帰国したダイアンの跡を継いだ二代目。水泳や新体操が得意。
☆倉間哲山:国防省の重鎮であり、バトルフィーバー隊を創設した、最高司令官。優れた指揮官にして科学者にして剣の達人であり、 劇中最強の存在。肩書きは何故か、将軍。
−−−
★サタンエゴス:エゴスの神。怪人製造カプセルに遺伝子伝達光線を放つ事で、御子たるエゴス怪人を誕生させる力を持つ。
★ヘッダー指揮官:邪神流の達人で、サタンエゴスに忠誠を誓う、エゴスの戦闘指揮官。
★サロメ:ヘッダー指揮官の愛弟子、エゴス・アメリカ支部から来日。変装の達人であると同時に、戦闘力も高い。
第1話、この時期の戦隊は、演出・脚本ともに『キイハンター』からの流れの影響がまだ色濃いので、 ハードボイルドなタッチが面白い。
防衛庁の要人を次々と暗殺していく赤いこうもり傘の女……密かに集められたバトルフィーバーの面々は、 事件の謎を追うのであった……。
事件の説明の合間に、
「将軍、暗殺犯人は何者ですか」
さらっと凄い肩書き。
鉄山将軍を演じるは、1950〜60年代の東映時代劇黄金期の大スターの一人、東千代之介。
いっけん良識の塊みたいな見た目なのに、部下に抜き身の日本刀を飛び越えさせたり、 ばっちり狂っています。
「君たちはそれぞれ、踊りの名手だ」
て、バトルフィーバーの選抜理由、それなのか(笑)
まあ、肩書きと選抜とミスアメリカのスーツは鉄山将軍の責任ではないかもしれませんが。
なお戦闘シーンでは、スーツ姿のバトルに合わせて、各自がダンス衣装で踊っているカットが挿入されるのですが、 バトルジャパンのそれは、どう見ても空手の演武なのですが、踊りという事でいいのか。どうなんだ。
初名乗りの時に、エゴス怪人達は傘をくるくる回すのに忙しかったり(演出そのものは印象的で格好いい)、 怪人がいつの間にか正体を見せて雑魚戦に紛れ込んでいたり、戦闘シーンはいかにもな演出からちょっとズラしているのですが、 面白いというよりは、今見るとどこかもどかしい(^^;
その辺り含めて、ハードボイルドとコミカルのバランスなど、方向性の試行錯誤が全体から窺えます。
必殺技・ペンタフォースは、ビッグボンバーの流れを汲んだ有無を言わさぬ系(笑)
2話は、憎しみにとらわれた女子中学生のエゴスへの祈りにより同級生が死亡するという、なかなかハードな展開。
連続する謎の怪死事件を調査するよう命じられたバトルフィーバーだったが、ジャパン以外の姿が見えない。
「他の連中はどうした?」
「フランスとダイアンはおそらく……」
「おそらくなんだ?!」
ディスコで踊り狂っていた(笑)
「ケニアは?!」
公園に飼育小屋を作って捨て犬猫を世話していた。
「コサックは?!」
パチンコでフィーバーしていた。
「ジャパン。儂は一連の事件を捜査しろと命じたんだ」
予想外に、カリスマ性低いぞ、将軍。
そこへ景品かかえたコサックが帰って来て、
「馬鹿者! 勝手にしろ! どいつもこいつも!」
将軍、遂に仕事を放棄(笑)
ちょっとしたお笑いシーンなのですが、一番破壊力が高いのは、 それぞれが「ジャパン」とか「フランス」とか呼び合っている、という事実。
むしろ「将軍」がまともに思えてきた!
一方、BF隊の敵であり、世界の平和を脅かすエゴス。
ナレーション「エゴスとは、現在の文明が発達する以前に、地球で栄えた、原始科学の一団である。現代なお、謎とされている、 巨石文化の数々も、エゴスの原始科学を用いて築かれたものだと、彼等は主張する」
主張しているだけなのかっ!
エゴスは、「念じれば夢がかなう」と言葉巧みに会員を増やしているという、宗教的結社。そして連続怪死事件の裏には、 欲望に取り憑かれた会員達の邪悪な祈りがあった。会員の祈りに応えて怪人が暗殺→会員の望みがかなう→噂が口コミで広がる→ 会員が増えてうっはうっは、と、エゴスは地味かつ確実にその脅威を社会に浸蝕させていたのである!
バトルフィーバーは怪死事件の背後にある、エゴスの出先機関・未来道場の存在に気付き、 フランスがなぜかフランス人のふりをして潜入。あっさり捕まるなどあったものの、見事に未来道場を壊滅させ、 人々を洗脳から解放するのであった。
途中で未来道場の会員になっている母が息子に向けて、
「洗脳してもらえば、勉強好きの子になるわ」
とか言い出すのが、凄く上原正三(笑)
敵組織が超常的な怪人を用いつつも、誰もが胸に秘めた一般人のちょっとした悪意をそそのかす事で勢力を拡大している、というのは、 なかなか刺激的。結局、自分の憎しみから友人を死に追いやった女子中学生の行為が取り返せる筈もなく、かといって一切のフォローもない、 という最後の放り投げっぷりも含めて、上原大先生の持ち味が炸裂しております。
1話から少しずつ巨大ロボット作成中を見せているのは面白い。また、エゴスの怪人は、エゴスの子供=神の御子で、 ヘッダー指揮官より格上、というのも面白い所。まあ、偉いけど前線に出て、フィーバー!されてしまうのですが。
第3話、国防省内部でのスパイ疑惑に、速攻でお互い疑い合うメンバー……仲悪いな!
フランスとダイアンのお洒落談義中に、ケニアが動物を連れてやってきて、臭い臭いの大合唱……仲悪いな!
というかダイアンは、本気でケニアの事を嫌いっぽい。
一方、エゴスにさらわれた元上司の事を心配しながら、コサックはパチンコ中。
唯一、真面目に仕事をしているように見えるジャパンは、レンタカーただ乗りの常連。
駄目だこの人達。
毎回コミカルなシーンを入れる、というお約束でやっているようなのですが、 前後の流れを無視して突然コミカルシーンが放り込まれる上に後で一切フォローがないので、今見ると面食らいます(笑)
ただ、ダイアンさんは美人だから許す。
第4話、超能力者の尾行を皆で妨害して罠にかけようとするなど、引き続き『Gメン』などの流れを汲んだテイスト。
サタンエゴスによって超能力を100万ボルトに増幅されたベンガルの虎は、 無意識下の予知能力で危険を察知し、これも無意識下で発動した念動力によって危険を回避するという、 恐るべきスーパー超能力者なのだ!
まあ、特捜テイストと言っても尺その他の都合で筋道はぐだぐだになって最後はナレーションで強引に処理されるのですが。
ゲスト敵の超能力者・ベンガルの虎は、降板した潮健児に代わってヘッダー指揮官の代役を務める事になった石橋雅史。 その為、この回は石橋ヘッダーに差し替えられておらず、急にヘッダー指揮官が潮健児(こちらの方が、怪僧っぽくはある)、 と少々不思議な事になっています(^^;
第5話、バトルフィーバーロボ発進!
前回、伝がエゴス戦闘員の壁抜けに滅茶苦茶驚いていましたが、今回もエゴス雑魚が壁抜けして国防省の偉い人の子供を誘拐。 国防省は真剣に関係者のセキュリティ強化を考慮するレベルで、エゴスに狙われすぎです(^^;
そしてどう見ても公衆電話から脅迫電話をかけるヘッダー指揮官。
何してるんですか。
家族を人質にされた坂口情報局長は、国防省に辞表を提出した上で、バトルフィーバー基地に潜入。 設計図を盗み出そうとする元同僚に普通に短刀を投げつけ、日本刀を持って迫る鉄山将軍。
「俺は、このままでは君を斬らねばばならない」
坂口は拳銃を取り出すと、逃亡。エゴスにバトルフィーバーロボの完成にはまだ時間がかかると情報を流すと、二人の子供を救出。 子供達の行方を追っていたケニアに二人を託すと、自らは責任を取る為に腹マイトでエゴス基地に突貫し 、子供達の目の前で秘密基地を木っ端微塵に粉砕して大爆死。
どうして戦後30年以上経過しているのに、70年代特撮の登場人物達は、特攻精神に溢れすぎているのか。
こうやって憎しみの環は広がっていくんですよ……!
坂口の情報を鵜呑みにしたエゴスは、バトルフィーバーロボ対策として制作していた悪魔ロボットを出撃させる。 エゴス怪人と同様のデザイの悪魔ロボット(御子である怪人の弟という設定)は大暴れし、立ち向かうも思い切り蹴り飛ばされるコサック。
敵の巨大ロボットに「俺がやっつけてやる」と突撃して、あっさり蹴り飛ばされるヒーローは初めて見たかもしれない。
だがその時、万能空中戦艦バトルシャークが出撃。坂口の流したのは偽情報で、既にバトルフィーバーロボは、 出撃可能な状態だったのだ!
というわけで、1話から開発シーンなどを見せて引っ張っていたバトルフィーバーロボが遂に登場。
初戦闘シーンは、まさかの空中戦。
どちらかというとアニメっぽい、如何にも玩具玩具したバトルフィーバーロボですが、日本刀を振るっての鎬を削る戦いは、迫力満点。 多分これ、戦闘モーションは鉄山将軍の動きを元にインプットされているのだろうなぁ……将軍、 虎の子の超兵器に趣味を入れすぎです。
だいぶ飛んで、第33話、コサック愛に死す。
10年越しに研究開発されていた強力な新兵器・ドリルミサイルの設計図がエゴスに奪われ、研究していた博士が殺害されてしまう。 博士の娘・まゆみと親しかった謙作は、父を目の前で殺されたショックで入院してしまった少女を気遣うが……
「何も心配しなくていいからね。お兄ちゃんがついてるぞ」子供の口から、頭部狙いの豪速球を投げまくる、上原大先生、恐るべし。
「帰って!」
「今……なんて言った」
「人殺しは嫌いよ。帰ってよ!」
「僕は人殺しじゃない。エゴスと戦っている、バトルフィーバーの隊員なんだ」
「殺し合いするんですもの、同じよ!」
「おいおい。そんなさみしくなるような事言わないでくれよ。笑顔を見せておくれ」
「血の匂いがするわー」
「…………血の匂い?」
特に、他と比べてやけに棒読みで放たれる「血の匂いがするわー」が強烈。
自分は確かに正義の為にエゴスと戦ってきた……しかし、突き詰めれば同じ、血まみれの人殺しに過ぎないのか?
かつて、目の前で父親代わりの人物を殺されたという過去を持つ謙作は、まゆみと自分を重ね合わせ、何とか彼女の力になりたいと、 洗面所で執拗に手を洗いこする……。
そんなある日、だいぶ回復してきたまゆみを気分転換に郊外へと連れ出す謙作。まゆみの心を思い、 血と硝煙の匂いの染みついた戦闘服を敢えて基地に置いて出る謙作だったが、不幸にも、そこにエゴスの襲撃を受けてしまう。 人質にされたまゆみを救い出すのには成功するが、エゴス戦闘員の銃撃を受け、謙作は変身できないまま鉛玉の雨を全身に浴びて倒れる。
謙作が出かける際に残り4人が、「戦闘服持ってけよ!」と言って、後から謙作の後を追って届けさせるのですが、自分達では行かずに、 事務の女の子2人に追いかけさせるのが、凄くBF隊。
戦闘服を届けに来た2人と連絡を受けてやってきた4人の仲間、先輩であり博士の助手であった神誠、そしてまゆみに囲まれ、 力尽きる謙作。
「ああ……かき氷食いてえなぁ。体中がカッカするぜ。エゴスの野郎、今度会ったら承知しねえぞ。今度会ったら……」
少女を思う優しさとその愛ゆえに、白石謙作、ここに殉職。
神誠は謙作の亡骸の上に置かれた戦闘服を手にすると、復讐の為にエゴスの基地に殴り込みをかける――今ここに、 特に長官の許可も得ずに、新たなバトルコサックが誕生したのだった!
切れ味鋭い台詞が炸裂する一方で、いきなりケニアとフランスに無言でサブマシンガン浴びせてフォローのない神誠とか、 いつの間にか場所が判明しているエゴスの基地とか、結局ドリルミサイルの開発は間に合わないとか、 良い面でも悪い面でも上原正三ワールド全開。
新コサックは見事な活躍を見せ、新生バトルフィーバーJはエゴス怪人を撃破。エゴスの、 相手の開発した新兵器を奪ってバトルシャークを破壊してやろう作戦は、失敗に終わるのだった。
最後は謙作の墓に花を供えて決意を新たにするBF隊、で終わるのですが、謙作の気遣いの結果として、 まゆみちゃんに更なるトラウマが刻まれているのが恐ろしい。
つまりこの話の教訓は、外野が何を言おうが、最後に立っていた方が正義である、と。
第37話、鉄山将軍大活躍の「電光剣対風車剣」。
エゴスはとある漁師町に祀られる四面龍神像を入手しようとしていた。100%怪しいレオタードと覆面姿の人達に平気で話しかける地元一般市民の母子、 そんな地元住民を無視してとりあえず目的の像の爆破をはかるサロメさん、導火線に飛びつき、 像と一緒に海へ吹っ飛ぶ少年(笑)
冒頭から破壊力抜群。
少年が海に落ちて行方不明の報に、「そんなの消防の仕事だろ?」と、カードゲームに夢中で、 相変わらず最低なバトルフィーバー隊。
BF隊の職業戦隊とは思えないやる気の無さは、「最低」通り越して「異常」レベル。あれか、前作が、 サイボーグに改造されちゃう上に主役強奪されるアレだったから、真面目に働くのが馬鹿らしいのか。
……わからないでもない。
背後にはエゴスの暗躍があると上司にせっつかれたBF隊が重い腰を上げて漁師町へ向かうと、龍神像の加護か、 少年が奇跡の生還を遂げていた。だが、一緒に浜辺に流れ着いた龍神像は、まんまとエゴスによって回収されてしまう。 龍神像の中に収められていた宇宙エネルギーの蓄積された水晶玉から、新たなエゴスの御子、四面怪人が誕生。 ケニアと少年は龍神像を追ってエゴスに囚われてしまうが、四面怪人を見た少年は、それが目覚めた龍神様だと勘違い、と軽いひねり。
四面怪人は原子力研究所を襲撃し、6本の腕で振るう武器と、必殺の風車剣でバトルフィーバーを圧倒。 ケニア不在でペンタフォース使えねーし、と泣きの入るBF隊に「わかった。儂がいこう」と、鉄山将軍は出撃を決断する。
「風車剣を儂の電光剣が斬る!」
ここも、
「風車剣が強いんすよ!」
「いや、おまえら頑張れよ」
「ペンタフォースが使えねーんすよ!」
「ケニア待ってられないから、頑張れって」
「無理っすよ!!」
「……おまえら役に立たねーから儂が出るよ」
と、BF隊には、知恵とか勇気とか色々と足りていない気がします。
超破壊兵器作成の為に、濃縮ウランに続いてダイヤモンドを強奪しようと宝石店を襲撃する四面怪人。一応、 給料分は働かないとなるまいと、鉄山将軍が来るまでの足止めを図るBF隊に、少年を連れて脱出に成功したケニアが合流。
よーしじゃあペンタフォースやっちゃうぞーと構えるBF隊だが、四面怪人を龍神様だと思いこんでいる少年に止められ、 泣き落としを受けたケニアがペンタフォースの使用を拒否。結局それぞれ戦う事になるが、強敵・四面怪人に手も足もでない。
……というか、少年的に、ペンタフォースは駄目でも、殴り合いはOKなのか。あと、君が龍神様だと信じているものに、 割とシリアスにコサック辺りが殺されそうになっているが、それもOKなのか。……まあ、顔も知らない仮面のおっさんの命とか、 どうでもいいといえばいいのかもしれませんが。
ここで戦いの合間には、袴姿の鉄山将軍が走ってくるカットが挿入され、クライマックスに向かって変な盛り上がりを見せます。 弟ロボも出現して破壊活動を始め、いよいよバトルフィーバー大ピンチの所に、宇宙水晶手に入れたしもういらねーや、 とエゴスがポイ捨てした龍神像を回収した事務員コンビが駆けつけ、怪人が龍神様ではない事に納得する少年。
よーし、今度こそ必殺技で格好良く決めちゃうぞーと満を持してペンタフォースを放つバトルフィーバー。
弾かれる。
……あ、あれ?
結局、ペンタフォースは通用しないという悲しすぎる現実。
だがその時、戦場にあの人がやってくる。
「儂が戦おう」
駆けつけた鉄山将軍が腰の日本刀を抜き放ち、戦いは四面怪人の呼び出した闇の中へ。雷鳴轟く漆黒の世界で、 長唄をBGMに切り結ぶ鉄山と四面怪人。四面怪人の連続攻撃を鮮やかに切り払い、鉄山の必殺剣が一閃。
「鉄山流・電光剣!」
闇が晴れ、四面怪人、大爆死。
そこは生身だから、という事か、爆発を回避する為に即座に走り去る鉄山将軍が楽しい。
というわけで、
ペンタフォース <<< 真の達人の必殺剣
というヒエラルキーが明示されてしまった『バトルフィーバーJ』。往年の時代劇スターの立ち回り、眼福でした。
……まあよくよく考えると、鉄山将軍を演じる東千代之介は日本舞踊の家元なので、何故か柔道の構えを取る伝正夫よりも、 むしろ真のバトルジャパンなのかもしれない。
エピソードとしては、少年が怪人を龍神様だと思いこむ、というひねりが心理的葛藤で劇を盛り上げる……というよりは、 純粋な尺稼ぎの為、というのが物凄い。挙げ句に、ようやく放ったペンタフォース、まさかの無効。で、次回別に、 新必殺技開発回とかでは無さそう、という(笑)
あ、弟ロボは、BF隊がバトルフィーバーロボで倒しました。
給料分は戦う、それが俺達のジャスティス。
第50話、離反者が続出するなど、組織に亀裂が生じ始めたエゴスは、バトルフィーバー隊の支柱、 鉄山の暗殺を計画する。
その為にまず、東映お馴染みの編み笠変装で、部下を連れて老人を闇討ちするヘッダー指揮官。ヘッダーが手にかけたのは、 邪神流の家元であり、ヘッダーの師にあたる、鬼一角。「卑怯も兵法の内」という邪神流の教えにのっとり師匠越えを果たしたヘッダーは、 鉄山の弟弟子を暗殺するなど、一騎打ちに誘き出そうと挑発を繰り返す。
なお、鉄山の師匠と鬼一角が同門で、そもそも邪神流と鉄山流は源を同じにする、という因縁が補強。
「貴方はバトルフィーバー隊の頭脳だ。頭脳が剣を振り回してはいけないと思います」
と、殺る気満々で出撃しようとする鉄山を神誠が止めるのですが、その頭脳、劇中最強の存在だから。
またこの回はエゴス怪人が、ヘッダーと鉄山の一騎打ちをBF隊が邪魔しないようにする仕事、という立場の逆転が、 少々面白い。鉄山の代わりにヘッダーの呼び出しに赴いたBF隊は、怪人は倒せないわヘッダーには帰られるわで、 もちろん役に立ちません!
結局、オペレーターの女の子(後の日高のり子)が人質にされ、羽織袴で出撃した鉄山将軍は、ヘッダー将軍と一騎打ち。 鉄山の日本刀とヘッダーのかぎ爪(アイアンクローのオマージュか)がぶつかり合う壮絶な戦いの末、 ヘッダーの裏技、邪神流の眼光を刀身で跳ね返した鉄山がその最強ぶりを遺憾なく発揮し、ヘッダーずんばらりん。
戦隊の司令官ポジションが敵の大幹部を真っ正面から滅殺する、というのは後にも先にもこれぐらいでしょうか?(^^;
折角、ヘッダー演じる石橋雅史さんが空手の使い手なのに、あまり動きやすそうではない、かぎ爪でのバトルになってしまったのは、 少々勿体なく感じたところ。
第51話、サブタイトルに掲げられた「エゴス復活の儀式」……は開始30秒で終了(笑)
前回、鉄山に斬殺されたヘッダーは、エゴス復活の儀式によって御子怪人として蘇生。声が甲高くなったヘッダー怪人は、 不死身の肉体と超魔力を操り、3体の悪魔ロボットを復活させて大攻勢を仕掛ける。
が、それは陽動。爆死したかと思われたヘッダー怪人は目玉だけを曙四郎の靴に貼り付くと、まんまとBF隊の基地に潜入。 執念深く鉄山の暗殺を狙うが、「儂はアリが畳をはう足音を聞く事ができる」鉄山のキチガイじみたスペックの前に、 またも暗殺に失敗。
なお、ヘッダー怪人が再生してべたべた歩いていた部屋で眠りこけていたケニアさんはどうすればいいですか将軍!
ならばとヘッダー怪人は、時限爆弾を起動。
だが、九分九厘の絶望の中でも最後の最後まで諦めない将軍の手により、メカ九官鳥から冷凍ガスが噴射され、 氷漬けになったヘッダー怪人はカプセルに閉じ込められた上で灼き尽くされ、無残な最期を遂げるのであった。
なお、将軍が格好良く逆転の一手を決めている間、棒立ちだったバトルフィーバー隊は今後どうすればいいですか!
悪魔ロボットもBFロボを苦しめるが、将軍が基地で謎のダイヤルをひねるとロボットがパワーアップ。 強烈な必殺攻撃で、ヘッダーを完全に葬り去るのであった。
最終話、鉄山将軍大フィーバーで、ヘッダー司令との決着に焦点が当たった50・51話から一転、 最後はサロメの裏切り?とエゴス本拠地を巡るスパイ物展開で、原点回帰。
BF隊に接触してくる謎の女とのやり取り、正体がばれながらも銃撃で重傷を負う迫真の裏切り演技でBF隊を信じ込ませるサロメ…… 女幹部が情報を売った金で高飛びの準備をしていた、というのが劇中でリアリティと裏切りの説得力を持つ、 というのは今作ならではの雰囲気で面白いところ。
しかし、サロメから得た情報でエゴスの本拠地に突入したバトルフィーバー隊を待ち受けていたのは、 「バトルフィーバー怪人計画」であった!
そう、エゴスはBF隊の5人を怪人の素材とする事で、国防省の戦力を激減させると同時に最強の怪人を造り出すという、 これ以上なく一石二鳥の最終作戦に賭けたのであった。
追い詰められた悪の組織が、肉を切らせて骨を断ち、あえてヒーローを懐に呼び込む事で、 大逆転をはかるという、まさかの奇手。
そんなわけで最終回の敵は怪人製造カプセル(笑)
喋るし、武者震いするし、色々とビックリです。
罠にはまったBF隊は怪人製造カプセルに飲み込まれ、あわやバトルフィーバー怪人の素材にされそうになるが、 間一髪、内部からその心臓部を破壊して脱出に成功。サロメは崩れ落ちるエゴス基地の下敷きになって死亡。 巨大化したサタンエゴスは、BFロボによって成敗され、ここに、エゴスは壊滅するのであった。
Aパートの原点回帰とBパートの予想外の最終作戦、タッチの違う前後半が巧く繋がり、思わぬ見応えのある最終回でした。 これは素直に面白かった。
今に繋がる巨大ロボ初登場の戦隊シリーズですが、改めて見ると、鉄山将軍が物凄い。
東千代之介という大物を配したという事もあるでしょうが、長官と博士ポジションを兼任した上に、劇中最強の存在。 頭脳だけど、最強。おまけに、お役所仕事で積極性に欠けるBF隊を度々叱咤し仕事に向かわせるなど、正真正銘、 なくてはならぬ存在。恐ろしい、人物でした。
なお後に、<メタルヒーロー>シリーズの一つである『世界忍者戦ジライヤ』に、山地哲山という、 主人公の義父にして師匠にして劇中最強の存在、というバランスブレイカーが登場するのですが、 果たして「てつざん」は、意識的なオマージュであったのか。
そんな事を考えさせる、鉄山フィーバーでありました。
“鉄山流・電光剣!”
(2014年5月13日)
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