ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『超人バロム・1』 感想の、まとめ3(15話〜21話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
- ◆第15話「魔人ミノゲルゲが君の町をねらう!!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:島田真之)
- 虫取りに来て山中で迷子になる、猛・健太郎・松五郎。
「ばかやろーおまえ、地図が間違ってるわけねぇじゃねぇかよ。俺たちが歩いてきたとこが間違ってるんだよ」
松五郎、勢いでこの世の真理を突く。
「あー! この地図10年前のじゃないか」
は、面白かったです(笑)
なんとか小さな村に辿り着く3人だが、そこは吸い込んだ人間を何もやる気の無い怠け者に変えてしまう、 怠けガスを放つミノゲルゲの実験場にされていた。ミノゲルゲは自分の正体を目にした少女を口封じの為に轢き逃げし、 重体となる少女。ようやく怠けガスを浴びていないまともな医者が見つかるが、それはバロムワンを誘き出す為の陽動であり、 少女は蓑虫にさらわれてしまう。
「医者は来ない。その代わりに、悪のエージェントがやってきたのだ!」
バロムイヤーは地獄耳で追跡したバロムワンは罠にかかって蓑の中に閉じ込められるが、 バロムワンに蓑の檻は通用しないのだ!
ナレーションによる説明さえなく、あっさりと内側から蓑地獄を打ち破ったバロムワンは普通の爆弾パンチで蓑虫を一撃。
「バロムワン! 俺はおまえと戦うのが面倒になった……俺は死ぬぞ!」
頭を強打したショックか、自ら人生を投げ捨てた蓑虫はダムから転落して爆散し………… 前回の特訓は何だったのか。
アクションパートの長さがドラマパートをかなり圧迫している今作ですが、 序盤に強調された少女と父親の親子関係が生かされるわけでもなく、怠け者達が特に面白くなるわけでもなく、あまりに大雑把。 第13話に引き続いて、島田脚本が残念な出来。
- ◆第16話「魔女ランゲルゲは鏡に呪う」◆ (監督:田口勝彦 脚本:滝沢真理)
- 今回のアントマンは、花をあしらった細身の剣を振るい、お洒落。
しかしドルゲは、他にもっと予算をかけるべき所があるのではないでしょうか……。
「鏡よ鏡、この私より美しい者に、死を。この私より幸せな者に、不幸を」
ドルゲは、洋館で他人を呪う美女・黒沼嵐子の顔をただれさせ、その顔を元に戻したければ命令を聞け、 と悪のエージェント・ランゲルゲにスカウト。ランゲルゲは金色のフロイドP型血液を持つ少女をさらい、 ドルゲはそれによって地上の生物を全てドルゲ魔人に変えようと計画する。
容貌を元に戻してほしいあまりに暗躍するランゲルゲは2人目の少女をバレエ発表会からさらい、
「松五郎のシャツの袖だ。さては!」
と、なんか嫌な物証で拉致に気付くバロムワン。
猛と健太郎は同じ血液型を持つ3人目の少女を守ろうと動き、いつの間にか親世代にも存在を認識されているけど、 書き置きの文字が、ひらがなばかりだバロムワン。
一足遅く連れ去られてしまう少女だが、松五郎を囮に使った爆破作戦が怪人の裏目に出て、バロムワンはアジトを強襲。 カチコミについてきた松五郎が大きな事を言うも、いざ突入を前にすると尻込みする、 というギャグは毎度テンポを悪くしていて困りものですが、その松五郎の危機に、 バロムワンは純粋にボップを投げつけてアントマンを撃破。
「はぁ〜。ボップの威力ってのは大変なもんだなぁ」
扱いは手頃な大きさの石と同じにも関わらず、凄く不自然に強調されるのですが、これは、 いざとなれば飛び道具にもなるアイテムとしての販促なのでしょうか(笑) 遊び方としては凄く危険が気がするのですが!
割と接近戦に強かったランゲルゲだが、4連続バック転回避も飛び出す激しい格闘の末、 バロムワンが某赤い筋現象も使っていた腕ぐるぐるで花粉返し、自らの毒で弱った所を蹴りで痛めつけ、トドメは爆弾パンチ。
…………ええと、だから、特訓の意味は。
新必殺技は、ここぞの切り札扱いなのか。或いは急遽話数の入れ替えがあって、必殺爆弾パンチの修得は本来第14話ではなかったのか、 とでも考えたくなります。
助け出された少女達がバロムワンに声援を送り、定番の“子供達のヒーロー”強化演出。 嵐子は川岸で人間に戻った姿を発見され――悪のエージェントになる前から醜い心の持ち主であった事を爆殺の理由にするのかと思いましたが――マイルドに着地。 また、派手な爆発から間を置いて人間の姿を見せた事で、結局のところこれまでのドルゲ魔人も皆、 派手な爆発の後に元の人間に戻ったのかもしれないなぁ……とエクスキューズの効く描写になりました (序盤はそれでも描写的に言い訳ききにくいのが数回ありますが)。
次回――伊東温泉、といえば、ダッカー本部の近く。
- ◆第17話「魔人ウミウシゲが君をアントマンにする」◆ (監督:田口勝彦 脚本:前川洋之)
- サブタイトルのノリが段々、
「ドンホラーの息子が魔空城に帰って来た」
「学校から帰ったらぼくの家はマクー基地」
などを思い出させますが、順序でいうとむしろ、『宇宙刑事ギャバン』がこの流れなのか。
ドルゲはウミウシゲにアントマン補充作戦を支持し、伊東の山に立つ、 なんだか『タイガーマスク』のOPにあったような気がする巨大なグリフィン?の像の足下から地上へ出撃するウミウシゲ。 なんだこれ? と思って調べてみるもよくわからなったのですが……なんだこれ?
(※伊豆シャボテン公園の高原竜との事)
その頃、松五郎は空手部の後輩達の夏期合宿を指導していたが、その部員達がアントマン候補として狙われる事になり、 一人ずつ姿を消していく……。
さらわれた部員を助けようとするバロムワンだが、打撃無効の粘着皮膚にバロムパンチを受け止められ、番組史上最大の危機に。 絶壁から叩き落とされたバロムは更に粘着液をかけられて行動不能に陥り、満潮になるとそのまま海に沈んで溺れ死ぬという恐るべき窮地に陥ってしまう!
ここまで非常に高い属性防御力で戦闘を優位に運んでいたバロムワンですが、その割に攻撃力が低く、 あまり笑ってしまうほど強いヒーローというわけでもなかったので、今回珍しくピンチになるのは、 逆転のカタルシスを増幅させて良かったと思います。
「こうしている間に、罪の無い人が次から次へと……」
……アントマン化したらもはや手遅れという事なのでしょうが、 その罪の無い人々を片っ端から首ちょんぱしたり真っ二つに割ったりしていたのはコプーは正義! ドルゲは悪!
リアルにマスクが海水に洗われつつ、接着された部分の岩を割り砕いて引きはがす、という力技でバロムワンは死地からの脱出に成功。 地下アジトを強襲し、部員達の救出に成功する。
夏の浜辺でむさくるしい男だらけのアントマン増員作戦が失敗に終わり、 ドルゲから左手のカッターを火炎放射器に改造されたウミウシゲは、もはや水棲怪人であった事を忘れ、伊東の街を無差別放火。
「罪なき善良な市民を、こんな目に遭わせるとは。正義のエージェント、バロム・1が、死んでも許さんぞー!」
だがなんと、バロム・1には炎が有効だった!!
第17話にしてバロムワンの弱点属性が判明するのですが、緑色か、緑色だからなのか。
実際に燃えている建物(角材などで簡易的に小屋のように見える物を組んだのか?)に挟まれながらアントマンを相手に立ち回り、 そこに松五郎率いる空手部消防団が駆けつけて怪人に放水するという混沌とした殺陣は、70年代ならではの勢いを感じます(笑)
逃げるウミウシを追ったバロムワンは空中高速大回転により吹きつけられる炎を逆流させると、 トドメはバロム爆弾パンチで脳天をたたき割って撃破するのであった。
…………もしかして、「爆弾パンチ」と「必殺爆弾パンチ」は別の技ではなく、 特訓により「爆弾パンチ」がバージョンアップしたという事なのか……? ……映像的には、頭上から頭部を殴りつけるのと、 横っ飛びからストレートを決めるのと、やはり別の技には見えるのですが……。
初参加の脚本家でしたが、ピンチからの大逆転、バロムワンが助けた空手部員達がバロムワンを助ける、 という構造は今作にこれまで無かった味付けで良かったです。引き続き健太郎と猛の存在感が薄くなる一方なのは残念ですが、 地元の女の子に格好つけようとして、それぞれバロムワンの正体について口を滑らせかけてツッコミを受ける、 というのが入ったのも良かった。
- ◆第18話「魔人アンモナイルゲがパパをおそう」◆ (監督:田口勝彦 脚本:島田真之)
- 突然、ボップを空高く投げて猛と健太郎が高々と跳び上がり、空中で腕を組むという新バロムクロスが炸裂。
二人が加速をつけて人間離れしていくのですが、いずれ、戦う為だけの生物兵器になってしまうのか。
「ドールゲ〜。今こそ2億年の眠りから目覚めるのだ、メルザード一族古代貝アンモナイトよ!」
アンモナイトの化石から魔人アンモナイルゲを生み出したドルゲは、恐怖のアンモナイト菌で人間が大事にしている幸せをぶち壊せ、 とファジーな指令を下し、たぶん電話帳で調べた幸せそうな一家の襲撃を命じる。アンモナイルゲの毒を打ち込まれた父は、 他の人間に触れて毒をうつせば死なずに済む、という悪魔の誘惑を受け、人間の正義の心に挑戦するという要素が入ってきたのは面白い。
そして正義とは、前回の今回で、アントマンの顔面に槍を突き刺して抹殺する事だ!
前回はさすまた風で、今回は巻き貝の意匠が入った槍、とアントマンの武装は長柄武器路線。
アンモナイトを追おうとして巨大蟻地獄の罠にはまったバロムワンは2話続けて窒息死を目論まれるが、大雑把に脱出。 置き手紙を残して父が失踪した為さらわれそうになる母子を助けようとするが、アンモナイト菌を注入されて顔が青く変色してしまう!
毒で極端に弱ったバロムワンがさらわれた母子を懸命に追う姿が悲壮感たっぷりに描かれ、 前回今回とヒーローとして路線修正してきた気配が窺えます。
「俺は死んでも構わない! こうなりたくなかったら、来るんじゃない!」
アンモナイトは、悪魔の誘惑を断ち切る為に人里離れた洞穴に潜んでいた父の元に母子を連れて行くと、 今度は母子の方に自ら父に触れるようにそそのかし、これまでのドルゲの活動からはだいぶ異色なものの、 悪辣さも含めてなかなか面白いシチュエーション。この葛藤をもっと中心に描いても面白かったとは思いますが、全体の作風の関係で、 そこまで詰めないのが少々勿体なかったところ。
それにしても毎度の事ながらこの時代の作品は、30前後の人物でも戦後の混乱期をくぐり抜けてきている事になる為か、 一般人の覚悟の決まり具合がフィクションにしても現代人とはだいぶ感覚が違うように思えます。
多分、家に猟銃があったら、自分で自分を撃っていた。
一家が絶望の淵に追い込まれた時、バロムフライもままならず崖を転がるように落ちながらも、 洞穴に辿り着いたバロムワンが魔人とアントマンを一家から引き離し、苦しむお父さんを置いて、 大好きなバロムワンを追う少年(笑)
猛・健太郎よりも更に年少の、バロムワンの大ファンであるゲストを置く事でバロムワンのヒーロー性を補強しているのですが、
お父さん < バロムワン
が容赦なさすぎて酷い(笑)
果敢に魔人に立ち向かうも、毒の影響で青息吐息のバロムワンは絶体絶命の危機に陥るが、その時、 少年お手製のバロムペンダントが光り、突然のパワー回復。
……まあ、逆転の理由付けにあまり期待はしていませんでしたが、かなり徹底して追い詰めていただけに、残念な事に。 今回やたら強調されるバロムペンダントは、少年自作の同人グッズと思われる割に、猛と健太郎が妙にすんなり存在を受け入れるのですが、 実は知らない間にバロムワンが配って歩いている、コンドールバッジ的な何かなのか。
「な、な、何故?! 何故おまえに力が、甦ったのだぁ……!」
「最後まで私を信頼してくれた道雄くんの信頼のエネルギーが、宇宙の正義に伝わったのだ。 おまえは宇宙の正義に敗れたのだ。人間の信頼のエネルギーにな」
いきなりペンダントが光って復活という描写は非常にがっくりだったのですが、 そもそも友情のエネルギーというあやふやな力で動いているので、台詞の方は妙な説得力が(笑) そして、宇宙が、おまえの敵だーーー!!
「いがぁぁぁーーーーー!!」
爆弾パンチを受けたアンモナイトは爆散し、お父さんは無事に回復して大団円。
毒に冒されながらも悪魔の誘惑をはね除ける父と、ヒーローを信じ続ける少年、という二つの要素が物語上で分離してしまい、 どちらも中途半端になってしまったのですが、「家族の信頼と愛情」と「少年からヒーローへの信頼」を“人間の持つ正義”として綺麗に重ねる事が出来ていれば、 今作コンセプトと合わせて大逆転の説得力も生まれたと思われ、惜しいエピソード。
プロット上はそういう設計だったのに、テクニック的な問題で巧くいかなかったのでは、という気もしますが。
正直ここしばらく低調だったのですが、前回今回はバロムワンの苦戦により自然と物語に緩急がついて悪くなかったです。後はもう一度、 猛と健太郎を立て直してくれると嬉しいのですが、戦闘時に二人の人格が消えているからこそバロムワンを容赦なく追い詰める事が出来るようになった末の展開ではあるので、 あちら立てればこちら立たずになりそうなのが難しい所。
次回、夏休みお化け屋敷回のようなので、スポットが当たってくれる事に期待。
- ◆第19話「魔人ヤゴゲルゲが子守歌で呪う」◆ (監督:小山幹夫 脚本:伊上勝)
- OP、マッハロッドが走ってくるのがオフロードから舗装道路に変わり、顔アップの所にタイトルがかかるなど、 少々マイナーチェンジ。また、バロム・1のスーツの色が、再び初期の緑色に。マスクの顎部分も青色が鮮やかになっているのですが、 リペイントしたのか新調したのか。
そしてドルゲ様の一人称は「俺」ではなかった気がするのですが、連戦連敗のショックでドルゲ様の心も新調されたのか。
冒頭、子供達の主観映像で割とグロめのお化け屋敷の映像が描かれ、そこに紛れ込んでいたヤゴゲルゲにより、 眠らされた子供達が大量にさらわれてしまう。
「ヤゴヤゴヤーゴの子守歌〜」
ひとり難を逃れた道子という少女が、お化けのバイトをしていた松五郎に助けを求めるも、 今回は海野とバロムクロスしていなかったのか、松五郎は役立たずで結局さらわれてしまう事に。 お化け屋敷の入り口では「子供達が中から戻ってこない」と騒ぎになっており、事情を伝えようとする松五郎だったが、 そこに子供達が帰ってきて万事解決。ところが、戻ってきた子供達に対してボップがドルゲ反応を警告する――。
作戦の全容が明かされないまま、街の遠景やそこからのズームインに、ド〜ルゲ〜という不気味な声が重なり、 いっけん平穏な街に悪の気配が迫る、というミステリアスな見せ方が秀逸。
道子が部屋で勉強しているとヤゴの歌が響き、赤く明滅する光に照らされて眉毛が映らず黒目だけがくっきりと浮かび上がる、 道子の笑顔が超ホラー。
ヤゴの歌に導かれ、続々と町外れの墓場に集まる子供達は霧の中に消えてしまい、 道子をストーキングしていた猛と健太郎はその姿を見失ってしまう。ドラムがかき鳴らされるBGMから墓地の各所で白煙が噴き上がり、 そこに出現するアントマン軍団。通して、今作初参加の小山監督の凝った演出が光ります。
二人は空中バロムクロスを決め、角度の問題で一旦距離をおかないといけないらしく、予備動作はかえって大変になっているような(笑)
そしてこの時代はホント、平気で墓地で戦うな……(^^;
姿を見せたヤゴゲルゲは、子供アントマン計画をネタ割れすると、狂乱音波・呪いの子守歌によりバロム・1を攻撃。 炎に続き音波にも弱かったバロム・1は、マッハロッドのステアリングを握りながら「意識が薄れる……」と危ない事を言い出すと、 爆弾を投げつけられて車ごと崖から転落してしまう。
「バロム・1は死んだ!」
崖下で岩に挟まれ気絶していた猛はドルゲ洞にさらわれて十字架に磔にされ、健太郎と松五郎はお化け屋敷から地下アジトへと潜入。 囚われの猛を見つけるも罠で3人まとめて捕まってしまい、呪いの子守歌によって目を覚まさない猛とバロムクロスできないまま、 放棄されるアジトの爆破により地下に生き埋めに!
バロム・1を完全に葬り去った、と悠々立ち去るヤゴゲルゲ一行だが、帰りのお化け屋敷に響く高らかな笑い声。
「はははははははははは、はははははははははは、ははははははははは!!」
息の長い笑い声にお化け屋敷のオブジェの映像が重ねられ、黄金バットでも出てきそうな勢いでドキドキ。
「だ、誰だ?!」
「私の声を忘れたかヤゴゲルゲ」
「ば、バロム・1の幽霊がもう出たのか」
「私は死なん! バローーーム!!」
作り物の石仏を中から割り、いつものポーズで登場する正義のエージェント。絶体絶命に追い込まれた猛と健太郎だったが、 洞窟が崩れた際のショックで猛が目を覚まし、バロムクロスに成功したのだ!!
毎度のように脱出の理屈は雑ですが、演出の勢いで強引に突破。松五郎が横に居る場面で怪人から 「猛が目を覚まさなければバロムクロスできないだろう、へへーん」など言われたりもしていますが、 自分たちの口からバラさなければ大丈夫なのです!
必死に逃げるヤゴゲルゲに高い所からバローーームし、心理的に追い詰める、恐怖のエージェント。
しばらく遊園地バトルとなり、奪った槍をアントマンの胸に突き刺したままジェットコースターのレール上を押して走って場所移動 (えぐい)、というのはなかなか珍しいような。
再び子守歌攻撃を受けて七転八倒するバロムだが、松五郎がステージのスピーカーから大音量で音楽を鳴らしてこれをかき消し、 スマートに助力。ヤゴの奥の手である光信号による攻撃を受けるも、とうとう、怪人相手にボップが飛び道具として炸裂(笑)
……思うに、怪人にぶつかって謎の爆発をするよりも、怪人の眼前でマッハロッド化させた方がダメージが大きいかもしれない。
逃げるヤゴを河口に追い詰め、ここで主題歌スタート。
「ゆくぞヤゴゲルゲ!」
ある程度の苦戦からヒーローのターンへの転換が鮮やかに決まり、今回はとにかく演出が見事。
水流の中での激戦の末、久々にバロムブレイク炸裂から続けて放った爆弾パンチはパンチ返しされるも、必殺二段パンチで撃破。 ……爆弾パンチの時、バンク映像の都合によりスーツの色が違うのが惜しい(笑)
シンプルながら猛&健太郎の能動的な活躍とピンチが描かれた脚本と、凝った演出が噛み合って、秀逸回でした。次回――天本英世、 登場!
- ◆第20話「魔人サソリルゲが地上を征服する!!」◆ (監督:小山幹夫 脚本:島田真之)
- 夜道で若い女に迫る、不気味な杖を持ち白いローブに黒いマントの天本英世!
……というのが残念ながら今回最大の見せ場(^^;
怪紳士にサソリを投げつけられた女は不気味な容貌と化し、次は自ら警察官を襲撃。
「警察官……悪の敵、許す事はできない」
吸血サソリに血を吸われた人間は悪の心を持つサソリ人間となり、次々と同じサソリ人間を増殖させていくのだ!
「この世を支配するものは悪。倒さなければならないものは正義」
怪紳士――サソリルゲはドルゲの前で自らの毒サソリの力を披露し、 抵抗しようとサソリを踏みつけた捕虜はサソリの爆発により骨一つ残さず吹き飛んでしまう。
「いかかですかな、ドルゲ様。我々に、狙われた人間達は、サソリ人間になるか、もしくは死んでいくか」
地上をサソリ人間で埋め尽くし、少年サソリ戦闘員によってバロムワンを始末させるべく、 まずは最初の被害者・明美の友人達が狙われる。その一人であった猛の姉もサソリ人間にされてしまい、第20話にして初のフォーカス。 長らく中高生ぐらいかと思っていたのですが、明美のパーティに招かれた友人達はもう少し年上に見え、 ギリギリ成人していないぐらいの設定なのかもしかして。
地雷サソリによるバロム1の抹殺に失敗したサソリルゲは、ドルゲの命により猛暗殺の為に木戸家へと姉を送り返し、 居間に座ってまんじりと姉の帰宅を待つ男3人、時計の針が示す時間、などの演出から判断すると、 早朝5時過ぎに帰宅したという事のようなのですが、余りにも明るい空など、色々と無理のある感じに(^^;
この後で健太郎が駆けつけてくる都合なのか、夜間撮影できなかったのか、何やら事情があったのかとは思われますが、 見ていて一気に話と呼吸が合わなくなってしまいました。
猛姉の手引きで木戸家にはサソリ人間達が侵入し、次々と犠牲になっていく、松五郎、木戸刑事。今回、 赤と黒の照明効果を用いた怪奇な雰囲気が徹底されており、残された猛に迫り来るサソリ人間の集団、というのは印象的なのですが、 突然サソリルゲが「後は俺一人でやる」と言い出して、通常通りのvsドルゲ魔人の構図になってしまう為、とても台無しな事に。
ボップの信号により猛の危機に気付いた健太郎が駆けつけ、 近くまで来てボップを放り投げると猛の体が吸い込まれるように短距離瞬間移動して強制的に空中バロムクロスが発動するという、 トンデモな新機能が発現。
バロムワンがバロムスイングから落下型爆弾パンチでサソリルゲを抹殺すると、サソリ人間達は全て正気に戻り、 目を覚ますと皆で木戸家の居間に転がっている(若い女性多数)という意味不明な状況で、 木戸刑事の世間体が危ない!!
前回今回と、猛・健太郎の出番が増え、身近な所から悪が広がっていく感じは、 OPのマイナーチェンジと合わせて第3部スタートという雰囲気で良かったのですが、 今回は後半に行くにつれてグダグダになってしまいました。
- ◆第21話「魔人クチビルゲがバロム・1を食う!!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:滝沢真理)
- 今回一番面白かった台詞。
「食欲の化身・クチビルゲよ、よく我慢した」
宇宙的悪の化身も部下のマネジメントは大変そうです。
頭部が巨大な唇だけ、という奇っ怪な魔人・クチビルゲが登場。クチビルゲは喰らった人間を体内で毒のヘドロにしてしまい、 それを特殊な機械でスモッグに変えて全世界に振りまこうとするが、幼い兄妹に人を食べる現場を目撃されてしまい、バロムワンと戦闘。 兄妹をさらった唇は、ドルゲの命令でバロム・1の心臓を喰らおうと策謀をめぐらす……。
「人を食いたい……生きている人間を食いたい。うあぁぁぁ〜」
ホラー演出で井戸の底から登場した巨大な唇の怪物が酔っ払いの男を丸呑み! と怪人のインパクトは凄かったのですが…… 話の内容はガタガタで、ここまでワーストクラス(^^;
登場人物の行き来、ゲスト含めた個々のキャラクター性、怪人の行動設計、の全てがいつも以上に大雑把で、 空中分解どころか柱の高さがバラバラで部屋の一つも出来ない始末。
細かい見所は、
ボタンがあったらとりあえず押してみる猛
暗闇で鎌を鳴らすアントマン軍団
バロムクロスが完全に瞬間移動から可能になり、もはや妨害不能に
凄く普通に飛行するバロム・1
とうとう打撃武器として使われるボップ
(2017年7月16日)
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